第八話 過去の色
次の日学校に行くと、横山は里英ちゃんにべったりだった。
「なんかおまえら距離近くね?」
「んー、うちら昨日からカップルやからなぁ」
「え、まじ!?くわしく教えてよ」
しーちゃんとみゃおが騒ぎ立てていると、愛ちゃんが指原の視線に気づいて声をかけてくれた。
「さっしーおはよー」
「お、おはよ。」
「あ、莉乃ちゃん…おはよう」
里英ちゃんは気まずそうに視線をそらし、横山は完全スルー。
さすがに変だと思ったのか、しーちゃんたちも不思議そうにその光景を見ていた。
その日以降、指原は肩身が狭い日々を過ごしていた。
いじめられていないだけ大分のときよりマシかもしれないけど、前みたいに六人で笑い合える日はもう来ない。
それだけで心にぽっかり穴が空いたようだった。
ある日の放課後。
たまたま忘れ物をして教室に戻ったときのことだった。
「ねえ、由依、ここじゃ…」
「ええやん、ちょっとくらい」
「もう…」
ふたり以外誰もいない教室で、里英ちゃんに迫る横山。
(里英ちゃん、ふたりきりのときは由依って呼ぶんだ…)
「里英ちゃん、好き」
「私も…」
見つめ合って、そのまま唇が重なる。
この前、指原が占領していたその唇に。
横山のそれが重なる。
(やばい、もう無理)
その場にいるのが耐えられなくなって、慌てて廊下を走った。
とにかく走りまくって、人通りの多い秋葉原を通り過ぎてたどり着いた場所は秋葉原48のライブハウスだった。
優子ちゃんはいつも通りキラキラしていたけれど、そのキラキラに照らされた指原は、あまりにも暗くて汚くて腐っていて、楽しいはずの時間がとても苦しかった。
「さしはらー!久しぶりじゃん!文化祭どうだった?」
ライブ後の握手会、いつも通りの流れ。
そういえば、文化祭はメイド喫茶をやる、と話して以来握手会どころかライブにも来ていなかった。
そんな気分にはとてもなれなかったから。
「…優子ちゃん、今日もかわいいね」
返事がうまくできなくて会話のキャッチボールガン無視の回答をしてしまう。
「どした?なんか今日元気ないぞー」
優子ちゃんがこちらを覗き込んで心配してくれるけど、何が起きたかなんて言えない。
優子ちゃんにだけは言いたくない。
こんなにキラキラした人に、汚れを知ってほしくなんかない。
「…なんでもないよ」
「お時間でーす」
剥がしの男の人に剥がされ、指原はその場を去った。
いつも時間いっぱいまで笑顔で話すのに、こんなに時間が有り余ったのは初めてだ。
この日以来、優子ちゃんと会うことはなかった。
「なんかおまえら距離近くね?」
「んー、うちら昨日からカップルやからなぁ」
「え、まじ!?くわしく教えてよ」
しーちゃんとみゃおが騒ぎ立てていると、愛ちゃんが指原の視線に気づいて声をかけてくれた。
「さっしーおはよー」
「お、おはよ。」
「あ、莉乃ちゃん…おはよう」
里英ちゃんは気まずそうに視線をそらし、横山は完全スルー。
さすがに変だと思ったのか、しーちゃんたちも不思議そうにその光景を見ていた。
その日以降、指原は肩身が狭い日々を過ごしていた。
いじめられていないだけ大分のときよりマシかもしれないけど、前みたいに六人で笑い合える日はもう来ない。
それだけで心にぽっかり穴が空いたようだった。
ある日の放課後。
たまたま忘れ物をして教室に戻ったときのことだった。
「ねえ、由依、ここじゃ…」
「ええやん、ちょっとくらい」
「もう…」
ふたり以外誰もいない教室で、里英ちゃんに迫る横山。
(里英ちゃん、ふたりきりのときは由依って呼ぶんだ…)
「里英ちゃん、好き」
「私も…」
見つめ合って、そのまま唇が重なる。
この前、指原が占領していたその唇に。
横山のそれが重なる。
(やばい、もう無理)
その場にいるのが耐えられなくなって、慌てて廊下を走った。
とにかく走りまくって、人通りの多い秋葉原を通り過ぎてたどり着いた場所は秋葉原48のライブハウスだった。
優子ちゃんはいつも通りキラキラしていたけれど、そのキラキラに照らされた指原は、あまりにも暗くて汚くて腐っていて、楽しいはずの時間がとても苦しかった。
「さしはらー!久しぶりじゃん!文化祭どうだった?」
ライブ後の握手会、いつも通りの流れ。
そういえば、文化祭はメイド喫茶をやる、と話して以来握手会どころかライブにも来ていなかった。
そんな気分にはとてもなれなかったから。
「…優子ちゃん、今日もかわいいね」
返事がうまくできなくて会話のキャッチボールガン無視の回答をしてしまう。
「どした?なんか今日元気ないぞー」
優子ちゃんがこちらを覗き込んで心配してくれるけど、何が起きたかなんて言えない。
優子ちゃんにだけは言いたくない。
こんなにキラキラした人に、汚れを知ってほしくなんかない。
「…なんでもないよ」
「お時間でーす」
剥がしの男の人に剥がされ、指原はその場を去った。
いつも時間いっぱいまで笑顔で話すのに、こんなに時間が有り余ったのは初めてだ。
この日以来、優子ちゃんと会うことはなかった。