第七話 真っ赤な色

劇場を出ると、外はすっかり暗くなっていた。
「咲良、今日はありがとう!」
「こっちこそついてきてくれてありがとう。いきなりだったのにごめんね」
「全然!ほんっとに楽しかった!」
さっしーは晴れやかな笑顔を見せた。
「よかった。元気になってくれて」
「変な気遣わせたならごめん。でも、咲良がそばにいてくれて心強かったよ」
「そう言ってくれて嬉しい。私、さっしーの味方だよ。友達だから」
私はさっしーの手をそっと握って言った。
「ありがとう…指原も……友達だよ」
なぜかさっしーは言い淀む。
よく見ると、彼女の瞳が揺れていた。
その瞳の奥に、さっしーの本当の姿がある気がして。
でも、その先に進む勇気は私にはなかった。

さっしーと別れて、マンションに帰宅した。
リビングに入ると、お姉ちゃんがスーツケースに荷物を詰めて、帰り支度をしていた。
「おかえり、咲良。指原さんと遊びに行ってたの?」
「うん。楽しかった」
「そう、それならよかった」
「お姉ちゃん、もう帰るの?泊まっていけばいいのに」
「うん。確かめなきゃいけないことがあるから」
(確かめなきゃいけないこと…?)
お姉ちゃんの瞳は決意に満ちていた。
戸惑っていると、支度の済んだお姉ちゃんはスタスタと玄関へ歩いて行った。
私は見送るために慌てて後を追う。
お姉ちゃんはもうすでに靴を履いていて、ドアノブに手をかけていた。
しかし、直前でその手を下ろして、振り返った。
「…咲良。今日は変な空気にさせてちゃってごめんね。指原さん、怖がってたよね…でも、今度ちゃんと理由を話すから。それまで待っていてほしいの。そして…咲良は、指原さんのこと、大切にしてあげてね」
「じゃあ、お姉ちゃん行くね。またすぐ帰ってくるからね」
「うん…またね」
お姉ちゃんは意味深な言葉を残して、家を出た。
(お姉ちゃん…さっしーのことで何か知ってるのかな?)
私は疑問に思いながらリビングへ戻った。
5/7ページ
スキ