第六話 花の色

次の日の朝。
玄関から鍵の回る音がして、目を覚ました。
スマホを開くと、すでに時刻は11時を回っていた。
(うわ…もうこんな時間。きのうはさすがに夜更かししすぎたな…)
(ママ、もう帰ってきたの?)
夜勤が明けたら看護師仲間と遊びに行くというメモ書きが残っていたはずので、疑問に思いつつ、寝起きの状態で玄関へと向かう。
「お姉ちゃん!?」
スーツケース片手に立っていたのは、私の姉だった。
「おはよう、咲良。まさか今起きたの?」
「う、うるさい…ってかお姉ちゃんこそこんな時間に何?早くない?聞いてないんだけど」
「中間テストも終わったことだし、咲良に急に会いたくなって。始発で来ちゃった」
「もう、ほんとシスコン…」
「ん〜…咲良、どうしたの?」
振り返ると、寝ぼけたさっしーが目をこすりながらこちらへやってきた。
「あ、ごめんさっしー!起こしちゃった」
「いや、もうすぐ昼だから別にいいけど…ってかその人って、お姉さん?」
さっしーの視線がお姉ちゃんに向かう。
「はじめまして、咲良がいつもお世話になってます。姉の柏木由紀です」
お姉ちゃんは丁寧にお辞儀をするが、頭を上げたときの目が凍りついていた。
さっしーも、なぜか怪訝そうな顔をする。
初対面のはずのふたりに漂う重い空気。
違和感を感じながら、私の脳みそがみるみるうちに冴えていく。
そんな午前11時だった。
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