第五話 遠のく色
秋葉原女子学園。
定時なんかとっくに過ぎて、薄暗い職員室にはもう誰もいなくなっていた。
私は周りを確認して、キーボックスからひとつの鍵を取る。
その鍵を、キャビネットの小さな鍵穴に刺した。
そして、キャビネットの中から一冊のファイルを取り出した。
昨年度の1年A組のクラス名簿。
私はその場に座り込んで、それを一ページずつゆっくりと開いていった。
『担任 前田敦子』
『4番 多田愛佳』
『5番 大家志津香』
『11番 北原里英』
『29番 宮崎美穂』
『32番 横山由依』
そして、最後のページ。
『退学 指原莉乃』
私は息を呑んだ。
(指原莉乃…咲良の友達と、同じ名前)
ずっと不自然に思っていた。
自分の担任クラスと受け持つ授業のクラスの生徒の名前はがんばって全員覚えていたはずなのに、この指原莉乃という名前だけは顔と名前が一致することはなかった。
それもそのはず、彼女は今、この学園にはいないのだから。
北原さんの寝言、多田さんたちの歯切れの悪いリアクション。
そして、咲良の友達のことを話すときの楽しそうな顔。
すべてがフラッシュバックする。
私は今年から教師になったから、去年何があったかなんて知らない。
でも、この名前を聞いたことがあったのは、なにかのうわさを小耳に挟んだのだろう。
そして、もうひとつの疑問。
(横山由依…この名前は、はじめて聞いた)
考えれば考えるほど、何も見えてこない。
(いったい、何があったの?咲良、大丈夫…?)
外は大雨。
私の心を表すかのように、雷が鳴り響いていた。
定時なんかとっくに過ぎて、薄暗い職員室にはもう誰もいなくなっていた。
私は周りを確認して、キーボックスからひとつの鍵を取る。
その鍵を、キャビネットの小さな鍵穴に刺した。
そして、キャビネットの中から一冊のファイルを取り出した。
昨年度の1年A組のクラス名簿。
私はその場に座り込んで、それを一ページずつゆっくりと開いていった。
『担任 前田敦子』
『4番 多田愛佳』
『5番 大家志津香』
『11番 北原里英』
『29番 宮崎美穂』
『32番 横山由依』
そして、最後のページ。
『退学 指原莉乃』
私は息を呑んだ。
(指原莉乃…咲良の友達と、同じ名前)
ずっと不自然に思っていた。
自分の担任クラスと受け持つ授業のクラスの生徒の名前はがんばって全員覚えていたはずなのに、この指原莉乃という名前だけは顔と名前が一致することはなかった。
それもそのはず、彼女は今、この学園にはいないのだから。
北原さんの寝言、多田さんたちの歯切れの悪いリアクション。
そして、咲良の友達のことを話すときの楽しそうな顔。
すべてがフラッシュバックする。
私は今年から教師になったから、去年何があったかなんて知らない。
でも、この名前を聞いたことがあったのは、なにかのうわさを小耳に挟んだのだろう。
そして、もうひとつの疑問。
(横山由依…この名前は、はじめて聞いた)
考えれば考えるほど、何も見えてこない。
(いったい、何があったの?咲良、大丈夫…?)
外は大雨。
私の心を表すかのように、雷が鳴り響いていた。