第四話 近づく色
「はあ、疲れた…」
「ちょっと飛ばしすぎたかな。休憩する?」
「うん」
練習すること30分。
クラスがあがる話をしたからか、はるっぴもいつも以上に気合いが入っていた。
みっちり教えてもらって、少し体が痛い。
ふたりで鏡の前に座り込んだ。
「さくちゃんは本当に自由に動くね。楽しそう」
「はるっぴの言う通りにしてるだけだよ…でも、すごく楽しい。」
「それならよかった。さくちゃんっていつも楽しそうだよね。バレエ以外でも、いつも素敵な顔してる」
「そんなに褒めたってなにも出ないよ…私の毎日はいつも通りでなにも変わらない。さっしーとおしゃべりして、公演見て、レッスン受けて、はるっぴと一緒に踊って…ずっとそれの繰り返しだよ。それなのに、そんなに楽しそう?」
「うん。さくちゃんを見てると、いろんな気持ちを思い出せる。私、バレエが楽しいって気持ち、最近ずっと忘れてたから。学校も、本当のお友達なんていない。みんな私のバレエの功績しか見てない…麻友ちゃんとは学校でも仲良くしてるけど、どっちかっていうとライバルって感じで…やけん、さくちゃんが私の友達!」
「うん。私も友達。」
はるっぴはすごく笑顔なのに、その口から放たれる言葉は表情とは相反するほど残酷で。
思わず、手を握らずにはいられなかった。
握った手に気づいたはるっぴは、少しだけ顔を赤くして、私の手をそっと握り返した。
「さくちゃん、なにか面白い話ない〜?」
はるっぴはいきなり話題を変え、私の肩に頭を預けて、甘えるように言った。
私は動揺を隠しながら、平然を装って返事をする。
「えー、突然だね…正直、そんなに大した話ないんだよね。さっしーがまゆゆと会ったときの話を一生してくるから…もう四回目なんだけど!さすがに聞き飽きたって!」
「麻友ちゃんもよく指原さんと会ったときの話してくるよ。そんなに楽しかったのかなあ」
「そうなんだ…意外とあのふたり、相思相愛だったりして」
私は笑いながらはるっぴの顔を見る。
はるっぴは遠くを見ていて、握る手の力がいつのまにか強まっていた。
思わず見惚れてしまう、美しい彼女の横顔。
その視線の先を追えば、そこにあるのは鏡に映る私たち。
「なんだか、ちょっとうらやましいなあ。」
「それって、どういう意味…?」
私は恐る恐る聞く。
彼女は私の顔を覗き込みながら言った。
「私もさくちゃんと一緒に、遊びに行ったり、ゲームしたり、お茶したりしてみたいなあって。もう友達だけど、もっともっと仲良くなりたいの。」
そう言って、指を一本ずつ絡めていく。
絡まる指が増えるごとに、私の心拍音も上がった。
(友達って、言ってるじゃん…)
それを押さえつけるように、自分を落ち着かせる。
「はるっぴのおうちが厳しいのはわかってるから…せめて、ここにいる間だけでも、はるっぴには幸せでいてほしいな」
「私のこと、幸せにしてくれるん?」
「な、なに言って…!」
「さくちゃんが言ったんじゃん」
「あっ…!」
さっきから、完全にはるっぴのペースに乗せられている。
(友達って、こんなにドキドキするものなの?)
さっしーと話すときとは全然違う。
これ以上このままでいたら、おかしくなってしまいそうだ。
いや、もうおかしくなっているような気がする。
友達なのに、話すだけでこんなにもドキドキする。
触れられるだけで心臓が高鳴る。
早くこの状況から逃れたくて、絡まった手と手に、私の反対の手を乗せた。
「ね、ねえ。そろそろ練習再開しようよ」
「うん。そうだね」
はるっぴは立ち上がって伸びをした。
手の絡まりがようやくほどけて、ほっとするような、寂しいような気持ちになった。
「ちょっと飛ばしすぎたかな。休憩する?」
「うん」
練習すること30分。
クラスがあがる話をしたからか、はるっぴもいつも以上に気合いが入っていた。
みっちり教えてもらって、少し体が痛い。
ふたりで鏡の前に座り込んだ。
「さくちゃんは本当に自由に動くね。楽しそう」
「はるっぴの言う通りにしてるだけだよ…でも、すごく楽しい。」
「それならよかった。さくちゃんっていつも楽しそうだよね。バレエ以外でも、いつも素敵な顔してる」
「そんなに褒めたってなにも出ないよ…私の毎日はいつも通りでなにも変わらない。さっしーとおしゃべりして、公演見て、レッスン受けて、はるっぴと一緒に踊って…ずっとそれの繰り返しだよ。それなのに、そんなに楽しそう?」
「うん。さくちゃんを見てると、いろんな気持ちを思い出せる。私、バレエが楽しいって気持ち、最近ずっと忘れてたから。学校も、本当のお友達なんていない。みんな私のバレエの功績しか見てない…麻友ちゃんとは学校でも仲良くしてるけど、どっちかっていうとライバルって感じで…やけん、さくちゃんが私の友達!」
「うん。私も友達。」
はるっぴはすごく笑顔なのに、その口から放たれる言葉は表情とは相反するほど残酷で。
思わず、手を握らずにはいられなかった。
握った手に気づいたはるっぴは、少しだけ顔を赤くして、私の手をそっと握り返した。
「さくちゃん、なにか面白い話ない〜?」
はるっぴはいきなり話題を変え、私の肩に頭を預けて、甘えるように言った。
私は動揺を隠しながら、平然を装って返事をする。
「えー、突然だね…正直、そんなに大した話ないんだよね。さっしーがまゆゆと会ったときの話を一生してくるから…もう四回目なんだけど!さすがに聞き飽きたって!」
「麻友ちゃんもよく指原さんと会ったときの話してくるよ。そんなに楽しかったのかなあ」
「そうなんだ…意外とあのふたり、相思相愛だったりして」
私は笑いながらはるっぴの顔を見る。
はるっぴは遠くを見ていて、握る手の力がいつのまにか強まっていた。
思わず見惚れてしまう、美しい彼女の横顔。
その視線の先を追えば、そこにあるのは鏡に映る私たち。
「なんだか、ちょっとうらやましいなあ。」
「それって、どういう意味…?」
私は恐る恐る聞く。
彼女は私の顔を覗き込みながら言った。
「私もさくちゃんと一緒に、遊びに行ったり、ゲームしたり、お茶したりしてみたいなあって。もう友達だけど、もっともっと仲良くなりたいの。」
そう言って、指を一本ずつ絡めていく。
絡まる指が増えるごとに、私の心拍音も上がった。
(友達って、言ってるじゃん…)
それを押さえつけるように、自分を落ち着かせる。
「はるっぴのおうちが厳しいのはわかってるから…せめて、ここにいる間だけでも、はるっぴには幸せでいてほしいな」
「私のこと、幸せにしてくれるん?」
「な、なに言って…!」
「さくちゃんが言ったんじゃん」
「あっ…!」
さっきから、完全にはるっぴのペースに乗せられている。
(友達って、こんなにドキドキするものなの?)
さっしーと話すときとは全然違う。
これ以上このままでいたら、おかしくなってしまいそうだ。
いや、もうおかしくなっているような気がする。
友達なのに、話すだけでこんなにもドキドキする。
触れられるだけで心臓が高鳴る。
早くこの状況から逃れたくて、絡まった手と手に、私の反対の手を乗せた。
「ね、ねえ。そろそろ練習再開しようよ」
「うん。そうだね」
はるっぴは立ち上がって伸びをした。
手の絡まりがようやくほどけて、ほっとするような、寂しいような気持ちになった。