Camino Secreto  ―秘密の道―

「君たちはいつもここで遊んでいるの?」
 試しに子供に聞いてみると、彼らはニヤッと笑って首を振った。
「勝手に入ったら怒られるよ。でもお祈りの日と、お祭りの間は、怒られない」
「なるほど、普段はこっそり入って遊んでるってことだね」
 呆れてリオが言うと、二人の子供はニヤニヤしたまま頷いた。子供というのはいつの時代も困ったものだ。自分もかつてはその一人だったのだから、咎める気も起こらないのだけれど。
「普段はどうやってここへ?」
「向こうの外のとこから。外に出ればばれないんだよ」
 ぼさぼさ髪の男の子が、自慢げに胸を張る。
「この石垣がどこまで続いてるか、案内してくれるかい?」
 リオが尋ねると、二人は元気よく頷いた。
 子供達に案内されて斜面を下へと下っていく。サンゲソウの模様は、石組みが土手に埋もれていくのにつれてだんだんと疎らになっていった。しかし、雑草の間から時折覗く石組みは、先程の石組みが間違いなく続いていることを示していた。
 驚くべきことに、石組みの終点は、なんと城壁の外だった。町の塁壁が途中で途切れ、垣根と接続している。垣根だった石組みは城壁の下まで続き、地面の下に消えていた。
 修道院から辿ってきた石組みは垣根ではなく、古い時代の城壁だったのか。どうりで町の外壁にしては低いと感じたはずだ。古い部分は土に埋まっていたのだから。
「驚いたな。ここまで繋がっていたなんて」
 後ろを振り返ると、茂ったシダ類や土手を覆うような灌木のせいで、この先に道が続いているとはなかなかわかりづらい。
「こっち側から見つけるの超大変だったんだぜ」
「この道、大人に教えちゃだめだかんね」
 巻き毛の男の子がこっそり耳打ちした。リオは苦笑する。
「わかった。秘密の道だな」
 口にしながら、リオは自分で妙に納得した。
 道は秘匿されていなければならない。
 修道院からの道が城壁へと続いているのではない。実際にはその逆だ。
 苔と狼と赤い石を繋げてくれた石組みは、修道院へと続いているのだ。
3/3ページ
スキ