帰還 第4章
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カーヤ令嬢はにっこりと笑って言う。
「クラピカ君にとって、すぐ迎えに行く事が重要なのでしょう?
では、ジョシュダの縛りを解除して安全にドーレ港に
向かわせる事が、今最も適した判断ではないかしら?」
ジョシュダさんは辛そうな表情で食い下がろうとするが
「ですがっ…………」
「お爺様が高額な大金で彼らの眼や頭部を落札している現状もあって、放っておけば
危険なのはあなたも分かっているでしょう?
カイン君を無事に連れて来る事が、今は優先です。」
カーヤ令嬢にそう言われてジョシュダさんは辛そうに頭を下げる。
「……っ……分かりました、有難う御座います。」
カーヤ令嬢の身を心配するジョシュダさんには悪いが、今からでも早く到着出来るのならばそれに越した事はない。
財布は今持って来ているし、護身用の武器も服に隠して持っている。
今すぐに出かけても問題はないだろう。
私は父さん達の元に行き、カインを迎えに行く事を伝える。
「そうかい、今どうしても行かなくちゃいけないんだね?
なら気を付けて行って来なさい?」
「え~、クラピカったら、久し振りに会ったと思ったら
又何処かに行っちゃうの?」
頬を膨らませて言う母さんに私は申し訳ない気持ちで言う。
「ごめん、今度はすぐに帰って来るから?」
「うん、分かったわ、それじゃお土産よろしくね?、母さん、美味しい甘い物がいいわぁ~」
相変わらずのん気な母さんに内心呆れて言う
「だから、遊びに行くんじゃないんだって?」
「クラピカ君、使用人屋敷に戻らないで大丈夫なのかい?、必要な物があったら、今の内に
取って来てね?、一度君を送ったら、戻せないからね?」
ジョシュダさんにそう尋ねられ私は頷いて答える。
「大丈夫です。」
母さんは空気を読まずに無邪気に聞いて来る。
「ねーねー?、あの白くてカッコイイ変わった格好してる人、なんて言ってるのかしら?、あっちの小さな子も怪我は大丈夫なの?~」
そう言えば、私達の使っていた言葉や文字は、こっちの方では全然通じないんだよな?
では、今までの私達の会話内容は母さんには解らなかった訳だ。
ジョシュダさんは母さんに私達の使っていた言葉で話しかけて来てくれる。
生き返らせた里の人達から習ったんだろうか?
「始めまして、クラピカ君のお母さん、俺はジョシュダと言います。
今からクラピカ君を安全に目的地までお送り致しますので、道中心配でしょうが、どうかご容認下さい。」
そう母さんにも丁寧に頭を下げるジョシュダさんに続き
カーヤ令嬢も私達の使っていた言葉を流暢に我々が使っていた言葉を話して見せる。
「ご心配頂き、有難う御座います。
見ての通り、こうして歩く事には問題は御座いません。」
「まぁ、二人共私達の言葉が話せるのね?、良かった~、外界の人達だから
言葉が通じないのかと思っちゃった~」
母さんがのん気に言うなか、カーヤ令嬢が尋ねてくる。
「では、そろそろ宜しいかしら?、クラピカ君?」
「はい、お願いします。」
ジョシュダさんは右手を上げ
「おいで?」
彼が呟く様に言うと、最初に会った時に見たあの白いオコジョの様な生物に、手と足にある4つの爪が鎌の様に鋭利に伸びた生物が何処からともなく表れ、私の周りをぐるぐると浮遊して飛び回っている。
今度はカーヤ令嬢が私の方に左手を向けて
「lift 」
lift は持ち上げるとか、解除するという意味の言葉だったな?……
彼女がそう言うと、一瞬眩しくチカチカとジョシュダさんが出した生物は光を発っする。
「……ドーレ港へ、その子を連れて行ってあげてくれ」
彼の言葉が終ると同時に目の前でビュウビュウと私の周りを強い風が吹き、思わず目を瞑ってしまい、風が収まった頃に目を開くと、そこはもう潮の匂いが漂う、ハンター試験会場に向かう為に通ったドーレ港に既に到着していた。
あの時は常に潮風が吹いていたが、今は吹いていない様だな。
「凄いな……ここまでかなりの距離があるのに
本当に一瞬で来れた。」
これが、念能力という力なのか……今の段階では、ジョシュダさんや、カーヤ令嬢の力が、どれ程のレベルの物なのか今の私では測れないが、かなりの部類なのではないだろうか?
後に、私は彼らの能力が、どれ程強大な物なのか、理解させられる事になる。
ドーレ港は、ハンター試験前まではハンターになるのが目的の、屈強そうな人々が大勢試験会場を目指して押し寄せていたが、今はそれとは逆に、別の目的の人々が押し寄せている様だった。
「ねーねー、あの黒いアメーバみたいなの、動画に撮影したら絶対バズるよね?」
「ああ、100万、200万再生も夢じゃないぜ?、そしたら俺等、広告収入で大金が入るぞ?、オレ等もレンちゃんみたいに動画投稿で1か月位暮らせる収入が手に入るかも知れないぜ?」
「どけどけ邪魔だっ、あの黒いアメーバは、我々幻獣大好きっクラブが保護して、その生態を動画配信してこの世に送り届けるのだ‼‼‼‼」
「そーだそーだ、どけどけ~‼‼‼‼」
…………ポックルのテレビでの警告もむなしく、ここに集まっている、恐らくは電脳ページの動画共有サイトに投稿する活動をしている者達が数多く集まって来ている様だ。
ハンター試験の時とは違い、戦い方も全く教わっていないような素人の集まりの様な人々か……
あんな生物に出くわしたら、この人達には悪いが、格好の餌にしかならないだろう。
どちらにしろ余り関わりたくない部類の人達だな、早く一本杉を目指さなければ……
私が一本杉の生えていた山を目指して歩いて行くにつれ、段々と先程の彼らの様な人物達が更に増えて行き、都会でやる縁日の日の様な、行列になって来ていないか?
「いらっしゃいませ?~
黒アメーバのわたあめはいいかがですか?~」
「こっちは黒アメーバ焼きがあるよ?~
チーズもお肉もたっぷり入ってるから美味しいよ~?」
少し遠くの方を見たら何件かの屋台が設置してあるのが見える。
こんな時になんと招魂逞しい人々もいるものだ、この山の所有者にちゃんと出店許可は貰ったのだろうか?
……い、いや、そんな余計な事を考えるより今はカイン達を迎えに行くのが優先だ……
しかし、このまま進んで行っても、この先の道は行列だ、既に日も暮れてきた、悠長にはしていられないだろう……ならばっ
私は近くの木の上によじ登り、太い枝を伝って次々に飛び移って行きなんとか凶狸狐達の家の近くまでようやくたどり着くと木から地面に着地して駆け足で凶狸狐達の家のあった方まで目指す。
周辺にある木やあの立派だった大きな一本杉は一面に枯れ腐り、動画で見た通り2本に折れていた。
その下の凶狸狐達が住んでいた家は……辛うじて建物の形は残ってはいる物の、凶狸狐達の家はほぼ半壊に近かった。
私は信じられない気持ちで、半壊して壊れかけている凶狸狐達の家の中に入ってみる。
一体何があったんだ?……何処かに全員で避難しているのなら、何か手掛かりを残してくれているといいんだが……
家の中はほぼ壊れていて、既に何人かが入った後なのか、大量のゴミが廃棄され、スプレー缶で書かれた落書き等がしてある。
奇跡的に残っていたこの家の電話は繋がる状態の様だ。
あれだけの人々がこの山に来ていたら、悪戯でこの電話は既に使われているだろう。
家の中が半壊している中、まだ電気が通っているせいでどこかからパチパチと帯電している音が聞こえる。
私は電話の配線コードを引き抜いて、電話を瓦礫の下に見えない様に隠すと念の為山火事にならない用、この家の奥に見えるブレーカーを全て落としておく。
暫く周りを調べて見たが、残念だがここには何も手掛かりはない様だ。
……もしかしたら、今何処かに避難している凶狸狐達とは別に、カインだけならまだ近くにいるかもしれない。
私は凶狸狐達の家だった場所から出て、大声で叫ぶ。
「カイン~‼‼‼‼、私だっ‼‼‼‼
クラピカだっ‼‼‼‼、近くにいるのなら頼むから出て来てくれっ‼‼‼‼」
少ししてから、鳥の羽音が聞こえて来て、私の肩に、奇形種なのか、3本の足を持った黒い鴉が止まり
私の脳内にカインのまだ変声していない今にも泣き出しそうな声が直接私の脳内に響いてくる。
(兄さん……っ、みんな、皆っ、黒いどろどろした怖い生き物に食べられちゃったよ……)
続く
「クラピカ君にとって、すぐ迎えに行く事が重要なのでしょう?
では、ジョシュダの縛りを解除して安全にドーレ港に
向かわせる事が、今最も適した判断ではないかしら?」
ジョシュダさんは辛そうな表情で食い下がろうとするが
「ですがっ…………」
「お爺様が高額な大金で彼らの眼や頭部を落札している現状もあって、放っておけば
危険なのはあなたも分かっているでしょう?
カイン君を無事に連れて来る事が、今は優先です。」
カーヤ令嬢にそう言われてジョシュダさんは辛そうに頭を下げる。
「……っ……分かりました、有難う御座います。」
カーヤ令嬢の身を心配するジョシュダさんには悪いが、今からでも早く到着出来るのならばそれに越した事はない。
財布は今持って来ているし、護身用の武器も服に隠して持っている。
今すぐに出かけても問題はないだろう。
私は父さん達の元に行き、カインを迎えに行く事を伝える。
「そうかい、今どうしても行かなくちゃいけないんだね?
なら気を付けて行って来なさい?」
「え~、クラピカったら、久し振りに会ったと思ったら
又何処かに行っちゃうの?」
頬を膨らませて言う母さんに私は申し訳ない気持ちで言う。
「ごめん、今度はすぐに帰って来るから?」
「うん、分かったわ、それじゃお土産よろしくね?、母さん、美味しい甘い物がいいわぁ~」
相変わらずのん気な母さんに内心呆れて言う
「だから、遊びに行くんじゃないんだって?」
「クラピカ君、使用人屋敷に戻らないで大丈夫なのかい?、必要な物があったら、今の内に
取って来てね?、一度君を送ったら、戻せないからね?」
ジョシュダさんにそう尋ねられ私は頷いて答える。
「大丈夫です。」
母さんは空気を読まずに無邪気に聞いて来る。
「ねーねー?、あの白くてカッコイイ変わった格好してる人、なんて言ってるのかしら?、あっちの小さな子も怪我は大丈夫なの?~」
そう言えば、私達の使っていた言葉や文字は、こっちの方では全然通じないんだよな?
では、今までの私達の会話内容は母さんには解らなかった訳だ。
ジョシュダさんは母さんに私達の使っていた言葉で話しかけて来てくれる。
生き返らせた里の人達から習ったんだろうか?
「始めまして、クラピカ君のお母さん、俺はジョシュダと言います。
今からクラピカ君を安全に目的地までお送り致しますので、道中心配でしょうが、どうかご容認下さい。」
そう母さんにも丁寧に頭を下げるジョシュダさんに続き
カーヤ令嬢も私達の使っていた言葉を流暢に我々が使っていた言葉を話して見せる。
「ご心配頂き、有難う御座います。
見ての通り、こうして歩く事には問題は御座いません。」
「まぁ、二人共私達の言葉が話せるのね?、良かった~、外界の人達だから
言葉が通じないのかと思っちゃった~」
母さんがのん気に言うなか、カーヤ令嬢が尋ねてくる。
「では、そろそろ宜しいかしら?、クラピカ君?」
「はい、お願いします。」
ジョシュダさんは右手を上げ
「おいで?」
彼が呟く様に言うと、最初に会った時に見たあの白いオコジョの様な生物に、手と足にある4つの爪が鎌の様に鋭利に伸びた生物が何処からともなく表れ、私の周りをぐるぐると浮遊して飛び回っている。
今度はカーヤ令嬢が私の方に左手を向けて
「
彼女がそう言うと、一瞬眩しくチカチカとジョシュダさんが出した生物は光を発っする。
「……ドーレ港へ、その子を連れて行ってあげてくれ」
彼の言葉が終ると同時に目の前でビュウビュウと私の周りを強い風が吹き、思わず目を瞑ってしまい、風が収まった頃に目を開くと、そこはもう潮の匂いが漂う、ハンター試験会場に向かう為に通ったドーレ港に既に到着していた。
あの時は常に潮風が吹いていたが、今は吹いていない様だな。
「凄いな……ここまでかなりの距離があるのに
本当に一瞬で来れた。」
これが、念能力という力なのか……今の段階では、ジョシュダさんや、カーヤ令嬢の力が、どれ程のレベルの物なのか今の私では測れないが、かなりの部類なのではないだろうか?
後に、私は彼らの能力が、どれ程強大な物なのか、理解させられる事になる。
ドーレ港は、ハンター試験前まではハンターになるのが目的の、屈強そうな人々が大勢試験会場を目指して押し寄せていたが、今はそれとは逆に、別の目的の人々が押し寄せている様だった。
「ねーねー、あの黒いアメーバみたいなの、動画に撮影したら絶対バズるよね?」
「ああ、100万、200万再生も夢じゃないぜ?、そしたら俺等、広告収入で大金が入るぞ?、オレ等もレンちゃんみたいに動画投稿で1か月位暮らせる収入が手に入るかも知れないぜ?」
「どけどけ邪魔だっ、あの黒いアメーバは、我々幻獣大好きっクラブが保護して、その生態を動画配信してこの世に送り届けるのだ‼‼‼‼」
「そーだそーだ、どけどけ~‼‼‼‼」
…………ポックルのテレビでの警告もむなしく、ここに集まっている、恐らくは電脳ページの動画共有サイトに投稿する活動をしている者達が数多く集まって来ている様だ。
ハンター試験の時とは違い、戦い方も全く教わっていないような素人の集まりの様な人々か……
あんな生物に出くわしたら、この人達には悪いが、格好の餌にしかならないだろう。
どちらにしろ余り関わりたくない部類の人達だな、早く一本杉を目指さなければ……
私が一本杉の生えていた山を目指して歩いて行くにつれ、段々と先程の彼らの様な人物達が更に増えて行き、都会でやる縁日の日の様な、行列になって来ていないか?
「いらっしゃいませ?~
黒アメーバのわたあめはいいかがですか?~」
「こっちは黒アメーバ焼きがあるよ?~
チーズもお肉もたっぷり入ってるから美味しいよ~?」
少し遠くの方を見たら何件かの屋台が設置してあるのが見える。
こんな時になんと招魂逞しい人々もいるものだ、この山の所有者にちゃんと出店許可は貰ったのだろうか?
……い、いや、そんな余計な事を考えるより今はカイン達を迎えに行くのが優先だ……
しかし、このまま進んで行っても、この先の道は行列だ、既に日も暮れてきた、悠長にはしていられないだろう……ならばっ
私は近くの木の上によじ登り、太い枝を伝って次々に飛び移って行きなんとか凶狸狐達の家の近くまでようやくたどり着くと木から地面に着地して駆け足で凶狸狐達の家のあった方まで目指す。
周辺にある木やあの立派だった大きな一本杉は一面に枯れ腐り、動画で見た通り2本に折れていた。
その下の凶狸狐達が住んでいた家は……辛うじて建物の形は残ってはいる物の、凶狸狐達の家はほぼ半壊に近かった。
私は信じられない気持ちで、半壊して壊れかけている凶狸狐達の家の中に入ってみる。
一体何があったんだ?……何処かに全員で避難しているのなら、何か手掛かりを残してくれているといいんだが……
家の中はほぼ壊れていて、既に何人かが入った後なのか、大量のゴミが廃棄され、スプレー缶で書かれた落書き等がしてある。
奇跡的に残っていたこの家の電話は繋がる状態の様だ。
あれだけの人々がこの山に来ていたら、悪戯でこの電話は既に使われているだろう。
家の中が半壊している中、まだ電気が通っているせいでどこかからパチパチと帯電している音が聞こえる。
私は電話の配線コードを引き抜いて、電話を瓦礫の下に見えない様に隠すと念の為山火事にならない用、この家の奥に見えるブレーカーを全て落としておく。
暫く周りを調べて見たが、残念だがここには何も手掛かりはない様だ。
……もしかしたら、今何処かに避難している凶狸狐達とは別に、カインだけならまだ近くにいるかもしれない。
私は凶狸狐達の家だった場所から出て、大声で叫ぶ。
「カイン~‼‼‼‼、私だっ‼‼‼‼
クラピカだっ‼‼‼‼、近くにいるのなら頼むから出て来てくれっ‼‼‼‼」
少ししてから、鳥の羽音が聞こえて来て、私の肩に、奇形種なのか、3本の足を持った黒い鴉が止まり
私の脳内にカインのまだ変声していない今にも泣き出しそうな声が直接私の脳内に響いてくる。
(兄さん……っ、みんな、皆っ、黒いどろどろした怖い生き物に食べられちゃったよ……)
続く