再会 第3話
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入り口のドアをノックをして私は声をかける。
「元長老、私だ、クラピカだ、もうレンちゃんという歌い手の生放送とやらは終わったんだろう?
先程も言ったが、大切な話しがあるんだ。
いい加減ここを開けてくれ」
だが全く中からは鍵を開錠する気配はない…………あのっクソジジイっ‼︎……
「俺からもお話しがあります、ここを開けて頂いて宜しいでしょうか?」
ジョシュダさんがそう声をかけると少ししてから人の足音が近づいてカチャリという施錠音と共にドアの扉が開いた。
部屋の中に私達3人が入ると偉そうにパソコンデスクの近くの椅子に座りながら他のクルタ族の大人達と共に私達を待ち構えている元長老の近くに向かう。
「クラピカだけならこのまま居留守でも使おうと思ったんじゃが……世話になってる
アンタまで来ちまったんじゃ話を聞かねえ訳にはいかねえな……
何だいジョシュダさんや、その話しってのは」
私だけだと話の席にも付かない積もりだったのか!?……何って人なんだ全くっ‼︎
ジョシュダさんが私を見て先に話して良いと言う仕草をしたので私はようやくここに来て目的の話をする。
「ベラドンナ叔母さんの子供のカインだけ、ここに連れて来る事の了承が欲しいんです。
クルタ族が虐殺されてから、あの女から引き離して今までずっと一緒にいたんです。」
「あの女の子供か……そりゃ駄目だ、諦めるんじゃ
疫病神等連れて来るな?、迷惑なんじゃよ?
揉め事の原因にしかならんだろそんな子供なんぞよ?」
元長老はあからさまに嫌な顔をして舌打ちをして断った。
その言葉に頭にきて私は声を上げる。
「カインは、あの女と違って、大人しくて、とても優しい子なんです、アイツは
決してここで問題を起こす様な子じゃない‼︎」
「そりゃーよぉ、クラピカ、あくまでお前の前でだけかも知れねーじゃねーかよ?
おめーの見てねー所でよ、他人に迷惑かけてるかも知れねーよ?」
「違う‼‼‼‼‼‼、あの子を知りもしないくせに想像で決めつけないでくれ!!!!!!!!」
長老の煽りに乗ってしまう私をパイロが肩を叩いて落ち着かせてくれる。
「クラピカ、落ち着いて?」
有難う…ああ、ここで血が昇っても駄目だよな?
「そりゃあのぅ、儂等が全員殺されてから、他の緋の眼を持つ奴を見つけて、そいつが年下でお前に従順な奴だったらよぉ、情がわいちまうのは仕方ねーよなぁ?
そのカインとかいう子供は、どうゆう状況でお前と会って、今どうしてるんじゃ?」
私はカインに出会った時の事、カインが叔母さんに虐待されて解離性症候群になってしまった事、アベルという人格がいて、念能力という特殊な力を使える事と、あの女がアベルにやった最低な事も、隠さずに言い
今良くしてくれている所に預けている事を話した。
話を聞いたパイロは、瞳を真っ赤にさせて呟く。
「酷いよ……そんなの、とてもじゃないけど、親が子供にする事じゃないよ?
最低すぎるっ……」
顔をしかめっ面にし、元長老は面倒そうにほざく
「…………そうか、じゃあそれでいいじゃねぇかよ?
預かってる所もそいつを気に入ってんじゃろ?
このまま迎えにいかないでカインって子供は預かってくれる所に養子にでもして貰う様連絡しておけ?
お前も、その覚悟があってここまで来たんだろクラピカ?
死んだ儂等が生き返ったと聞いて、これを罠だと思わなかった訳じゃないじゃろ?」
……それはっ
「いいか、お前達ももう物事を判別できる年齢じゃ
今だからあの女が何をして儂が里を追放したのか、教えてやる。
ベラドンナはなぁ、お前の母親よりも器量がよくて容量のいい女で、男共に取り入るのが上手くてよ?、里の多くの男達をとっかえひっかえ弄んでいた、その中にはクラピカ、お前の父親も入ってたんじゃよ?、ここにいる連中も何人か、弄ばれてたなぁ?」
長老の近くにいた男性陣が気まずそうに目をそらす中、余りにもショックが大きすぎて私は思わず言葉を漏らす。
「そんな……嘘だろ?、あんな最低な女と父さんが?……」
「それだけならまだ村八分程度の扱いじゃよ、だがあの女最後には、今だまだ見つかってねー、儂の息子にまで手を出しやがってな
その時にいた、病気で亡くなっちまった、前妻の孫息子を邪魔だからと毒を飲ませて殺しやがったんじゃよ?、だから追放した。
カインって子供も、アベルに人格が変わったら
念能力っつーおかしな力で、56人も殺したんだろ?
そんな迷惑で危険な奴連れてくんな?
現に、お前はアベルになったカインが人を殺すのを止められなかったんじゃろうが?」
違う……あれはカインやアベル達が悪いんじゃない……
「あれは、仕方なかったんです。
私も、今よりずっと子供の頃に……っ、小さな子供に
性的関心を持つ気味の悪い連中がいるなんて、知らなかった……
だから、そういう奴らに襲われて、私が被害に遭いそうになった時に、カインがアベルに変わって、アイツ等を殺してしまったんです。
他にも、クルタ族だと気づかれて、私達の緋の眼目当てで大勢の連中に狙われた事もありました。
……その時もアベルになって、又殺させてしまった。
あいつが人を殺したのは、全部私を守る為だったんです。」
元長老は私を厳しく睨み付けて叱る。
「クラピカ、お前も分かってんだろ?
やっちゃいけねー事にな、どんな言い訳で取り繕おうが、罪は罪なんだよ?
しかも人殺しなんて、大半の国が許さねえ大罪だろうが?
そんな危険な奴を儂らに押し付けて、又お前は気ままに行きたい所に行くんだろ?
今はパイロの目や足も治ってんだ、2人で好き勝手行っちまうかもしれないがの
言っとくがな、カインと言う子供が、自分のこれまでの状況を全て理解したら荒れるぞ?
一番最初に八つ当たりの被害に遭うのはお前の父親じゃろうなぁ?、そして次は儂等や世話になっとるファストン家の人々じゃ
それでもここにそんな危険な奴を連れて来るってか?」
その場にいた他の大人達も元長老に賛同する様に否定の言葉を次々に言い出す。
「あのベラドンナの子供なんだぞ?、どうせお前がいなくなったら
自分の都合しか考えられない、どうしようもない本性を現すさ?
自分の思い通りにならなかったら、念能力って力で、俺達を脅して我儘放題するに違いない」
違う……
「親が与えた禍根ってのは、子供は受け継ぎ易いんだよ?、虐待なんて、その典型さ?
どうせアベルと名乗って平気で人を殺す危険な人格の方が、カインって子供の本性じゃないのか?
お前の様に親にちゃんと愛されて育てられてこなかった奴は、人の接し方や愛し方なんて分からないよ?
どうせ優しくて大人しいなんて、あの女の様に全部演技さ?、騙されてるんだよ?」
違うっ‼‼
私は深く頭を下げて嘆願する。
「カイン達が、自分のされて来た事を理解して精神的に落ち着くまで
ここに連れて来たら、私がちゃんと面倒をみます。
それまで決して、あの子達から離れません。
ですから、あの子達を連れて来る許可を下さい。」
元長老は頑なに疑いの眼差しで私を睨み付けて否定の言葉を放つ
「お前一人で、カインがアベルに変わって、念能力って奴を使って
暴れ出したら、ちゃんと止められんのかよ?
いや、そもそも硫酸なんて、人が掴めるもんじゃないから止めようがないのぅ?」
「もしそんな事になったら、何があってもどんな事をしてでも全力で止めますっ‼︎
アベルがそういう事をしない様に、普段からちゃんと言い聞かせますっ‼︎‼︎
アベルも、ちゃんと私が言い聞かせれば言う事を聞いてくれる子何ですっ‼︎‼︎‼︎‼︎」
そう言い終えて更に深く頭を下げる私の隣でジョシュダさんが元長老に話しかける。
「その件については安心して下さい。
俺もカイン君が暴走した万が一の時は止めに入ります。
それに、今カイン君達を放っておく方が彼等を預かっている人達や彼らにとってとても危険なんです。
力のコントロールの仕方を知らなければ、その力に飲み込まれて自滅してしまう可能性があります。
カイン君が来たら、その力を安定して使える様に、周りに決して危害が及ばない様にちゃんと指導します。」
元長老は、難しい顔をして中々首を縦に振らない。
「あんたがそう言ってくれてもな……問題の本質は親がやった事のカインと言う子供への
禍根の影響の方じゃよ?
それだけは念能力っつー力のコントロールが出来ても、どうにもなるまい?」
ジョシュダさんは穏やかに笑って頼もしく言ってくれた。
「俺も過去に、色々な問題が重なって、精神的に酷く荒れていた時期があります。
でも、いつも傍で本気でぶつかって、支えてくれた人がいました。
その人がいたから、今の俺があります。
あの人の様に、カイン君達のこれから成長して行く精神面での負担も含めて、時には指導し、支えてあげたいと思います。」
そう言い終えるとジョシュダさんも私と同じ様に深く頭を下げて元長老に頼み込んでくれた。
「どうかお願いします、カイン君達がここに来る事を、許可してあげて下さい。
何かあった時の責任は、彼の師として、俺が持ちますから」
私は姿勢を戻してジョシュダさんに止める様に声をかける。
流石にこんなに里の人達がお世話になってる人に、迷惑はかけられない。
「止めて下さい、何もあなたまで頭を下げなくても」
彼は頭を下げた姿勢のまま私に言う。
「君達の師にこれからなると約束したのだから
俺が頭を下げるのは当たり前だろう?
こんな事でカイン君達がここで少しでも過ごし易くなるのなら
いくらでも下げるよ?」
彼の後ろから後光が見える様だ……聖人君子や清廉潔白な人なんて、所詮言葉だけだと思っていたが、実際にこんな人がいたとは……先程まで否定ばかりされる言葉を投げかけられて来たので、視界がじんわりと歪んでくる。
「僕からもお願いしますっ‼‼、カイン君達がここに来る事を認めてあげて下さいっっ‼‼
僕も時間がある時に、面倒を見ますからっ‼‼‼」
パイロも頭を深く下げて頼み込んでくれる。
ジョシュダさんが頭を下げている現状にに周りの大人達は不安そうに囁き出す。
「おい、あの人に頭下げさせたら不味くないか?、俺達いつもあんなに良くして貰ってるのに……」
「だからって、流石にあの女の子供だぞ?、絶対問題起こすって?……」
「でもよ、こんな所を、他の連中に見られたら
俺達が村八分の目に遭っちまうぞ?」
流石に今の状況はまずいと元長老も悟ったのかジョシュダさんに慌てた様子で声をかける。
「お、おい、ジョシュダさんや、頭を下げるのは取り合えず止めてくれんか?」
ジョシュダさんは頭を深く下げた姿勢のまま言う。
「いいえ、許可を頂けるまでここで下げ続けます。」
バンっ‼
元長老達にとって間の悪い事に、扉を開けて、満面の笑顔のフラヴィアがこの部屋に入って来る。
恐らく、誰かにジョシュダさんがここにいる事を聞いたのだろうが……アイツ、仕事ではなかったのか?、メイド服から、いつの間に民族衣装に着替えているが……
「ジョシュダさん、今日は早上がりさせて貰って有難います、それに美味しそうなデザートも貰ったって、お父さんから……えっ?」
フラヴィアはジョシュダさんが頭を下げている現状を見て笑顔から一変、瞳を真っ赤に変化させて、元長老達に怒鳴り付ける。
「ちょっと、いくら気に入らない事があるからって
ジョシュダさんに頭を下げさせるなんて、何考えてるのよっ‼‼
元長老だって、普段から美味しい物取り寄せて貰って隠れて食べてるの、私知ってるのよ‼?」
「お、おいフラヴィア違うんじゃ、変な誤解をするな‼」
長老の説明も聞かずにフラヴィアは部屋を出て行き、大声で叫ぶ。
「ちょっと、皆来てっ‼‼‼‼、元長老がジョシュダさんに頭下げさせてる‼‼‼‼~~~」
続々と生き返らせて貰ったクルタ族の人々がこの部屋に集まり、ジョシュダさんが頭を下げている現状を見て、元長老達を糾弾し始める。
「信じられない、あの人に頭を下げさせるなんて、あんなのが元私達の長だなんて……」
「俺達に、それぞれ合った仕事を割り振ってくれて、子供が高熱を出した時なんか、すぐ医者を呼んでくれて、今日は子供にずっとついててあげてくれって言って
有給扱いにしてくれる人なんだぞ?」
「他の連中も一緒にいてなんで止めないの?、ジョシュダさんが色々私達に取り計らってくれるから
里にいた時よりもここでずっといい生活が送れているのに
あんた達に感謝って言葉はないの?、人間の血が流れてない訳?」
まさか、リアルタイムで、本物の村八分が見れるとは……
「元長老、私だ、クラピカだ、もうレンちゃんという歌い手の生放送とやらは終わったんだろう?
先程も言ったが、大切な話しがあるんだ。
いい加減ここを開けてくれ」
だが全く中からは鍵を開錠する気配はない…………あのっクソジジイっ‼︎……
「俺からもお話しがあります、ここを開けて頂いて宜しいでしょうか?」
ジョシュダさんがそう声をかけると少ししてから人の足音が近づいてカチャリという施錠音と共にドアの扉が開いた。
部屋の中に私達3人が入ると偉そうにパソコンデスクの近くの椅子に座りながら他のクルタ族の大人達と共に私達を待ち構えている元長老の近くに向かう。
「クラピカだけならこのまま居留守でも使おうと思ったんじゃが……世話になってる
アンタまで来ちまったんじゃ話を聞かねえ訳にはいかねえな……
何だいジョシュダさんや、その話しってのは」
私だけだと話の席にも付かない積もりだったのか!?……何って人なんだ全くっ‼︎
ジョシュダさんが私を見て先に話して良いと言う仕草をしたので私はようやくここに来て目的の話をする。
「ベラドンナ叔母さんの子供のカインだけ、ここに連れて来る事の了承が欲しいんです。
クルタ族が虐殺されてから、あの女から引き離して今までずっと一緒にいたんです。」
「あの女の子供か……そりゃ駄目だ、諦めるんじゃ
疫病神等連れて来るな?、迷惑なんじゃよ?
揉め事の原因にしかならんだろそんな子供なんぞよ?」
元長老はあからさまに嫌な顔をして舌打ちをして断った。
その言葉に頭にきて私は声を上げる。
「カインは、あの女と違って、大人しくて、とても優しい子なんです、アイツは
決してここで問題を起こす様な子じゃない‼︎」
「そりゃーよぉ、クラピカ、あくまでお前の前でだけかも知れねーじゃねーかよ?
おめーの見てねー所でよ、他人に迷惑かけてるかも知れねーよ?」
「違う‼‼‼‼‼‼、あの子を知りもしないくせに想像で決めつけないでくれ!!!!!!!!」
長老の煽りに乗ってしまう私をパイロが肩を叩いて落ち着かせてくれる。
「クラピカ、落ち着いて?」
有難う…ああ、ここで血が昇っても駄目だよな?
「そりゃあのぅ、儂等が全員殺されてから、他の緋の眼を持つ奴を見つけて、そいつが年下でお前に従順な奴だったらよぉ、情がわいちまうのは仕方ねーよなぁ?
そのカインとかいう子供は、どうゆう状況でお前と会って、今どうしてるんじゃ?」
私はカインに出会った時の事、カインが叔母さんに虐待されて解離性症候群になってしまった事、アベルという人格がいて、念能力という特殊な力を使える事と、あの女がアベルにやった最低な事も、隠さずに言い
今良くしてくれている所に預けている事を話した。
話を聞いたパイロは、瞳を真っ赤にさせて呟く。
「酷いよ……そんなの、とてもじゃないけど、親が子供にする事じゃないよ?
最低すぎるっ……」
顔をしかめっ面にし、元長老は面倒そうにほざく
「…………そうか、じゃあそれでいいじゃねぇかよ?
預かってる所もそいつを気に入ってんじゃろ?
このまま迎えにいかないでカインって子供は預かってくれる所に養子にでもして貰う様連絡しておけ?
お前も、その覚悟があってここまで来たんだろクラピカ?
死んだ儂等が生き返ったと聞いて、これを罠だと思わなかった訳じゃないじゃろ?」
……それはっ
「いいか、お前達ももう物事を判別できる年齢じゃ
今だからあの女が何をして儂が里を追放したのか、教えてやる。
ベラドンナはなぁ、お前の母親よりも器量がよくて容量のいい女で、男共に取り入るのが上手くてよ?、里の多くの男達をとっかえひっかえ弄んでいた、その中にはクラピカ、お前の父親も入ってたんじゃよ?、ここにいる連中も何人か、弄ばれてたなぁ?」
長老の近くにいた男性陣が気まずそうに目をそらす中、余りにもショックが大きすぎて私は思わず言葉を漏らす。
「そんな……嘘だろ?、あんな最低な女と父さんが?……」
「それだけならまだ村八分程度の扱いじゃよ、だがあの女最後には、今だまだ見つかってねー、儂の息子にまで手を出しやがってな
その時にいた、病気で亡くなっちまった、前妻の孫息子を邪魔だからと毒を飲ませて殺しやがったんじゃよ?、だから追放した。
カインって子供も、アベルに人格が変わったら
念能力っつーおかしな力で、56人も殺したんだろ?
そんな迷惑で危険な奴連れてくんな?
現に、お前はアベルになったカインが人を殺すのを止められなかったんじゃろうが?」
違う……あれはカインやアベル達が悪いんじゃない……
「あれは、仕方なかったんです。
私も、今よりずっと子供の頃に……っ、小さな子供に
性的関心を持つ気味の悪い連中がいるなんて、知らなかった……
だから、そういう奴らに襲われて、私が被害に遭いそうになった時に、カインがアベルに変わって、アイツ等を殺してしまったんです。
他にも、クルタ族だと気づかれて、私達の緋の眼目当てで大勢の連中に狙われた事もありました。
……その時もアベルになって、又殺させてしまった。
あいつが人を殺したのは、全部私を守る為だったんです。」
元長老は私を厳しく睨み付けて叱る。
「クラピカ、お前も分かってんだろ?
やっちゃいけねー事にな、どんな言い訳で取り繕おうが、罪は罪なんだよ?
しかも人殺しなんて、大半の国が許さねえ大罪だろうが?
そんな危険な奴を儂らに押し付けて、又お前は気ままに行きたい所に行くんだろ?
今はパイロの目や足も治ってんだ、2人で好き勝手行っちまうかもしれないがの
言っとくがな、カインと言う子供が、自分のこれまでの状況を全て理解したら荒れるぞ?
一番最初に八つ当たりの被害に遭うのはお前の父親じゃろうなぁ?、そして次は儂等や世話になっとるファストン家の人々じゃ
それでもここにそんな危険な奴を連れて来るってか?」
その場にいた他の大人達も元長老に賛同する様に否定の言葉を次々に言い出す。
「あのベラドンナの子供なんだぞ?、どうせお前がいなくなったら
自分の都合しか考えられない、どうしようもない本性を現すさ?
自分の思い通りにならなかったら、念能力って力で、俺達を脅して我儘放題するに違いない」
違う……
「親が与えた禍根ってのは、子供は受け継ぎ易いんだよ?、虐待なんて、その典型さ?
どうせアベルと名乗って平気で人を殺す危険な人格の方が、カインって子供の本性じゃないのか?
お前の様に親にちゃんと愛されて育てられてこなかった奴は、人の接し方や愛し方なんて分からないよ?
どうせ優しくて大人しいなんて、あの女の様に全部演技さ?、騙されてるんだよ?」
違うっ‼‼
私は深く頭を下げて嘆願する。
「カイン達が、自分のされて来た事を理解して精神的に落ち着くまで
ここに連れて来たら、私がちゃんと面倒をみます。
それまで決して、あの子達から離れません。
ですから、あの子達を連れて来る許可を下さい。」
元長老は頑なに疑いの眼差しで私を睨み付けて否定の言葉を放つ
「お前一人で、カインがアベルに変わって、念能力って奴を使って
暴れ出したら、ちゃんと止められんのかよ?
いや、そもそも硫酸なんて、人が掴めるもんじゃないから止めようがないのぅ?」
「もしそんな事になったら、何があってもどんな事をしてでも全力で止めますっ‼︎
アベルがそういう事をしない様に、普段からちゃんと言い聞かせますっ‼︎‼︎
アベルも、ちゃんと私が言い聞かせれば言う事を聞いてくれる子何ですっ‼︎‼︎‼︎‼︎」
そう言い終えて更に深く頭を下げる私の隣でジョシュダさんが元長老に話しかける。
「その件については安心して下さい。
俺もカイン君が暴走した万が一の時は止めに入ります。
それに、今カイン君達を放っておく方が彼等を預かっている人達や彼らにとってとても危険なんです。
力のコントロールの仕方を知らなければ、その力に飲み込まれて自滅してしまう可能性があります。
カイン君が来たら、その力を安定して使える様に、周りに決して危害が及ばない様にちゃんと指導します。」
元長老は、難しい顔をして中々首を縦に振らない。
「あんたがそう言ってくれてもな……問題の本質は親がやった事のカインと言う子供への
禍根の影響の方じゃよ?
それだけは念能力っつー力のコントロールが出来ても、どうにもなるまい?」
ジョシュダさんは穏やかに笑って頼もしく言ってくれた。
「俺も過去に、色々な問題が重なって、精神的に酷く荒れていた時期があります。
でも、いつも傍で本気でぶつかって、支えてくれた人がいました。
その人がいたから、今の俺があります。
あの人の様に、カイン君達のこれから成長して行く精神面での負担も含めて、時には指導し、支えてあげたいと思います。」
そう言い終えるとジョシュダさんも私と同じ様に深く頭を下げて元長老に頼み込んでくれた。
「どうかお願いします、カイン君達がここに来る事を、許可してあげて下さい。
何かあった時の責任は、彼の師として、俺が持ちますから」
私は姿勢を戻してジョシュダさんに止める様に声をかける。
流石にこんなに里の人達がお世話になってる人に、迷惑はかけられない。
「止めて下さい、何もあなたまで頭を下げなくても」
彼は頭を下げた姿勢のまま私に言う。
「君達の師にこれからなると約束したのだから
俺が頭を下げるのは当たり前だろう?
こんな事でカイン君達がここで少しでも過ごし易くなるのなら
いくらでも下げるよ?」
彼の後ろから後光が見える様だ……聖人君子や清廉潔白な人なんて、所詮言葉だけだと思っていたが、実際にこんな人がいたとは……先程まで否定ばかりされる言葉を投げかけられて来たので、視界がじんわりと歪んでくる。
「僕からもお願いしますっ‼‼、カイン君達がここに来る事を認めてあげて下さいっっ‼‼
僕も時間がある時に、面倒を見ますからっ‼‼‼」
パイロも頭を深く下げて頼み込んでくれる。
ジョシュダさんが頭を下げている現状にに周りの大人達は不安そうに囁き出す。
「おい、あの人に頭下げさせたら不味くないか?、俺達いつもあんなに良くして貰ってるのに……」
「だからって、流石にあの女の子供だぞ?、絶対問題起こすって?……」
「でもよ、こんな所を、他の連中に見られたら
俺達が村八分の目に遭っちまうぞ?」
流石に今の状況はまずいと元長老も悟ったのかジョシュダさんに慌てた様子で声をかける。
「お、おい、ジョシュダさんや、頭を下げるのは取り合えず止めてくれんか?」
ジョシュダさんは頭を深く下げた姿勢のまま言う。
「いいえ、許可を頂けるまでここで下げ続けます。」
バンっ‼
元長老達にとって間の悪い事に、扉を開けて、満面の笑顔のフラヴィアがこの部屋に入って来る。
恐らく、誰かにジョシュダさんがここにいる事を聞いたのだろうが……アイツ、仕事ではなかったのか?、メイド服から、いつの間に民族衣装に着替えているが……
「ジョシュダさん、今日は早上がりさせて貰って有難います、それに美味しそうなデザートも貰ったって、お父さんから……えっ?」
フラヴィアはジョシュダさんが頭を下げている現状を見て笑顔から一変、瞳を真っ赤に変化させて、元長老達に怒鳴り付ける。
「ちょっと、いくら気に入らない事があるからって
ジョシュダさんに頭を下げさせるなんて、何考えてるのよっ‼‼
元長老だって、普段から美味しい物取り寄せて貰って隠れて食べてるの、私知ってるのよ‼?」
「お、おいフラヴィア違うんじゃ、変な誤解をするな‼」
長老の説明も聞かずにフラヴィアは部屋を出て行き、大声で叫ぶ。
「ちょっと、皆来てっ‼‼‼‼、元長老がジョシュダさんに頭下げさせてる‼‼‼‼~~~」
続々と生き返らせて貰ったクルタ族の人々がこの部屋に集まり、ジョシュダさんが頭を下げている現状を見て、元長老達を糾弾し始める。
「信じられない、あの人に頭を下げさせるなんて、あんなのが元私達の長だなんて……」
「俺達に、それぞれ合った仕事を割り振ってくれて、子供が高熱を出した時なんか、すぐ医者を呼んでくれて、今日は子供にずっとついててあげてくれって言って
有給扱いにしてくれる人なんだぞ?」
「他の連中も一緒にいてなんで止めないの?、ジョシュダさんが色々私達に取り計らってくれるから
里にいた時よりもここでずっといい生活が送れているのに
あんた達に感謝って言葉はないの?、人間の血が流れてない訳?」
まさか、リアルタイムで、本物の村八分が見れるとは……