まな板の上の鯉 第2話
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ハンター試験会場へと向かう船内で共に乗った私と2つ下の従弟カイン
服は私のお古の青い民族衣装を着ている。
一時はアルビニズムという先天性メラニンが欠損する病気ではないかと疑ったレベルに常人より白い肌と、肩まで伸びた私と同じ色の金髪の髪は、試験が終わって落ち着いたら、迷惑なおかしな輩から目を付けられない為にも、切ってやらなければいけない。
私も中性的な顔をしているらしく、女性と勘違いされる事もあるが、カインは不幸な事に、私から見ても、可憐な女子にしか見えない容姿をしている為、初めて会った相手には高確率で女子と思われてしまう。
茶色の瞳が固有のクルタ族には珍しく、カインはクルタ族ではない父親から受け継いだのであろう紫色の珍しい瞳だ。
その船内で知り合った黒髪の髪が逆立ち、ツンツンとしたウニの様な重力に逆らった様な奇抜な髪型をしている少年ゴン。
カインよりも2つ下で、この中で一番最年少だが、彼にはカインと共に不思議な魅力を感じている。
恐らくそれは、人を引き付ける天性的な魅力なのだろう。
もう1人は、サングラスに黒スーツ、チンピラの様な見た目通りに態度は軽薄、無粋な碌でもない奴の類いだとばかり思ってはいたのだが
レオリオと共に、荒れ狂う船内の嵐の中で船の船員を危険を顧みず助ける事に協力し合った事で奴の認識を私は改め、我々は打ち解ける事が出来た。
ドーレ港から船長に教わった一本杉を目指し進んで行くと、老婆の出題するクイズを突破し、一本杉に続く正解の道の扉を開けて貰い、一本杉の下で住む夫婦が道案内をやっていると教えられ、夜頃に彼らの住む住居までたどり着くと、 凶狸狐 と呼ばれる、人に化ける事の出来る変幻魔獣がその家の住民を襲っている所に我々は丁度居合わせ
ゴンとカインは凶狸狐を追い、私は攫われていた妻らしき女性を助け、レオリオは怪我人の男の手当てをそれぞれ行い、やがて
この場で会った面々が全て案内人役の家族の凶狸狐達だと判明する。
私には違いはさっぱり分からなかったのだが、ゴンとカインによれば
「だって全然顔がちがうじゃん
声だって右の子の方が少し高くて、細い感じだし」
……そ、そうなのか?
「右の奥さんの方は毛並みもとても綺麗だし、左の旦那さんは体格がガッチリしてて、カッコいいよ?」
2匹の凶狸狐達はそれを聞いて上機嫌で喋り出す。
「毎日ブラッシングは欠かせませんからねぇ、やっぱりわかる子には分かっちゃうのねぇ?、ホホホホホ」
「いやー、日頃から体力作り頑張ってるからねぇ?」
等と言うのだが、私には全く判別がつかない……
「右側が嫁さんで左側が旦那っつーのだけはカインの説明で
分かったが、それ以外の違いは分かるか?」
レオリオの問いに自分だけではなかったと内心ほっとし、私は首を横に振って答える。
「いや、さっぱり分からん」
「えー、こんなに違うのにねぇ?、カイン
なんでレオリオとクラピカは分かんないんだろ?」
「そうだねぇ?、ゴン」
ゴンとカインは同じく動物に好かれる体質同士気が合う様で、船内で出会った時から意気投合したのか、よく一緒にいる事が多い。
普段から大人しくて、争い事を好まないカインにこうして友人と言える存在が出来て、良かったとは思う物の、このまま、連れて行っていいものなのか、正直悩んでいる。
「お前達と一緒にするなっ‼
普通は分かんねーものなのっ‼
あっちの娘や息子も、元のキリコに戻ったら
どっちがどっちだかわっかんねーんだよっ‼」
自分より年下のゴンとカインの言葉に、レオリオはこの中で1番最年長でもある筈なのに大人気なく怒鳴り付ける。
捕まっていた演技をしていた若い女の姿に化けていた凶狸狐と、旦那を語っていた凶狸狐が面白そうにレオリオの言葉に乗っかってしまう、アイツめ、又余計な事を……
「へー?、では実際にやってみようかね?」
「面白そうね?」
そう言って、彼らも、人間の男女の姿から、元の凶狸狐の姿に戻り、我々の周りを凶狸狐4匹がぐるぐると円を描くように何週かするとピタッと突然止まり
「「「「さあ、当ててごらん?、私はだーれだ?」」」」
4匹全員同時に同じタイミングで凶狸狐達が声をハモらせて尋ねて来た。
……勘弁してくれ、こんなの逆立ちしても見分け等付かないぞ?
「はーい分かったぁっ~」
「僕もっ」
そこにゴンとカインの2人が元気良く手を上げる。
「じゃあさ、左側から、2人ずつ言おうよ、オレから言っていい?」
「うん」
ゴンの言葉にカインは頷く。
「まず左側の端っこから奥さんでしょ?
隣の君は息子だね?」
ゴンの次にカインが凶狸狐達を言い当てる。
「息子さんの隣は旦那さん、その隣は娘さんでしょ?」
「正解‼‼~、君達、本当に大した物だっ」
左側の3番目、旦那の方がゴンとカインの頭をよしよしと撫でている。
レオリオの奴は見事な顔芸をしながら引き気味でぼやく
「いやいや、マジで無理だろさっきのは……
種族の壁を超えなきゃ、見分けるのなんざ無理だぜ」
確かに、それはお前に同意する。
「因みに、2人共、息子と娘の違いはなんだ?」
私が興味本位で尋ねてみると、ゴンとカインの2人は、至極当然の様に答える。
「息子の子はこの中で1番背丈が高くて
ほっそりした体系の子だよ?」
「娘さんはこの中で1番華奢で、背が小さくて声が高いよ?、可愛いから分かり易いと思うけど」
改めて凶狸狐達4匹を見て見る。
うむ、どれも同じにしか見えない、これが超えられぬ種族の壁だと言うのか……
「きゃーバレちゃった~、あなた達本当に凄いわねぇ?~、なんだか2人共可愛く見えて来ちゃった。」
「人間の中でも、ここまでオレ等を見分けられる奴なんて
中々いねぇぜ?、やるじゃん」
左から2番目の息子と最後の端っこにいる娘も、ゴンとカインを撫でたり、抱きしめたりしている。
ゴンとカインの2人共はそれを楽しそうに受け入れたり、抱きしめ返したりしているほのぼのとした光景がそこに広がっていた。
……ここの凶狸狐達は、思っていたよりも危険な存在ではないようだな……むしろ、希少な種族になってしまった私達2人にとって、同族の人間の方が警戒すべき対象か……
コホンと、咳払いをして、もう位置が変わってしまったので旦那だか娘か息子か妻なのか全く判別不能だが、凶狸狐の1匹が真面目な口調で語り出す。
「博学を持って、ヒントを見逃さず、私達2人が夫婦ではないと見破ったクラピカ殿」
違う凶狸狐も次々と私達を認め出す言葉を語ってくる。
「レオリオ殿は、結局私の正体に気が付きませんでしたが、キズの応急処置は従来の医者よりも早く的確で、妻の身を案じるふりをする私に対し、ずっと温かい励ましの言葉をかけ続けてくれました。」
「いやーまいったね」
気恥ずかしいのか、頭を掻いて照れだすレオリオ
「そして、人間離れした運動能力と観察力を持つゴン殿と、同じくカイン殿」
「合格だ、君達4人を会場まで案内し」
そう凶狸狐の1匹が言いかけた所で私は止めに入る。
「待って欲しい、あなた達に頼みがある。
カインを、私が戻って来るまでここで預かってくれないでしょうか?」
「え?、兄さん、どうして?……」
キョトンと大きく、クルタ族の固有の色ではない紫色の瞳を大きく見開いてカインは悲しそうに私を見て来る。
「お、おいクラピカ、おめー突然何言い出しやがるんだよ?
カインも試験を受けるのは同意してんだろが?
それを今更なしよとか、そうゆーのは
試験前にちゃんとお前等で話し合っとけよ?
ここで兄弟ゲンカで時間取られるなんて本当に勘弁だぜ?」
確かに、これは今まで決断出来なかった私の非だしな……レオリオの当然の非難に私は謝罪する。
「すまん、すぐに終わらせる。」
当然ながら、カインと仲の良いゴンは私に抗議をして来る。
「クラピカ‼️、なんで突然そんな事言うの‼?
カインはオレより2つ上の14歳なんだよ?
試験を受ける資格なら問題ないじゃんっ‼
さっきだって、カインは認められたんだよ?」
「悪いがゴン、これは私達の問題だ
今は口を出さないでくれ?」
ゴンはむっとした表情をしたままだが、私達の成り行きを見守ってくれる様だ。
俯いているカインを見て尋ねる。
「なあカイン、ハンター試験がどんな物か散々
説明したな?、試験で死ぬ人々も沢山いると……」
カインは落ち込んだ様子で俯いたまま震える声で喋る。
「うん、聞いたよ?……でも、僕……
兄さんの、力になりたいんだ……だから
もし……戦う事になっても……あの子の……力を借りれば……」
「それは、戦う相手が、私やレオリオ、ゴンになっても、出来るのか?、試験の内容によっては、私達が果し合いをさせられる可能性もあるんだぞ?
その時お前は、自分の好きな相手でも、傷つけられる覚悟があるのか?」
カインはどう答えたらいいのか分からない様子で、涙目になって首を横に振った。
これでも、最低限レベルの護身術は教えてやっている甲斐もあって何とか覚えてはいるのだが、一度気を許した相手に、このカインでは本気で戦おうとはしないだろう。
極端にコイツは、根が優しすぎて、根本から争い事に向いていない、そんなカインをここまで連れて来てしまったのは、ひとえに私の弱さでもある。
ここでカインを切り放さなければ、もうコイツの力に頼るのを止めなければいけない。
でなければ、きっと、カインを手放す事が出来ずに、地獄まで付き合わせてしまう事になる。
私は凶狸狐達を見て、どれが親なのか全く判別不明なのだが、頭を下げて頼み込む。
「どうか、お願いできないでしょうか?
お礼は、試験後になるべくお支払いしますから」
4匹の凶狸狐達は顔を合わせて相談し始める。
「どうすんの父ちゃん?」
「私は別にいいけど?~金髪の子は
ヒヨコみたいで可愛いし?」
この2匹は多分、会話内容から息子と娘か?
「うむ、まあそれは別に構わないが、お客様扱いとはいかないよ?」
「同居する者として、炊事も洗濯、掃除も手伝って貰う事になるが
構わないかね?」
凶狸狐達の言葉に私は頷き
「それなら問題ないです、戦う事よりそっちの方が
出来ますので、ほらカイン、お前からも頼むんだ?」
私はカインを凶狸狐達の前まで片腕を掴んで引っ張って行くと、頭に手を乗せて下げさせる。
カインは、若干紫色の瞳を緋色に変化させる段階ですすり泣きながら凶狸狐達に頼む。
「ひっく……うぅ……
よろしく…お願い、します。」
その後に私を見て、とても悲しそうな表情で聞いてきた。
「クラピカ兄さん……兄さんも、僕の事なんか必要なくなってしまったの?
僕……邪魔なの?、もう、いらないの?」
その言葉に、後ろ髪を引かれる思いで一杯だったが、それでも、カインの手を今取る訳にはいかない
それは絶対に、コイツの為にならないからだ。
私はカインを抱きしめて真っ直ぐに見つめて言う。
「そんな訳あるか、お前に何かあったら
もう私は耐えられないんだ、だから
頼むから、安全な場所にいてくれ、必ず、迎えに来るから」
私はここからカインに耳打ちする。
「だから、あの力を使って追っては来るなよ?
お前もちゃんと、2人でここにいるんだ」
抱きしめるのを止め離れると、カインは寂しそうな表情をしながら私を見て頷く
凶狸狐達は蝙蝠の様な巨大な翼を生やすと我々に腕を掴む様に言い、1匹ずつの凶狸狐達に我々3人が彼等に掴み終わると夜空に浮かび上がって行く。
カインは1匹の凶狸狐と共に我々に片手を振りながら下の方で叫ぶ
「クラピカ兄さん〜ゴン〜レオリオ〜ハンター試験皆頑張ってね?、行ってらっしゃい〜‼︎」
私達を見送るその姿は、クルタ族の里を出る時に、見送ってくれた私の一番の親友の姿と重なった。
大丈夫、今度こそは……2度と、同族を失ってたまるものか
服は私のお古の青い民族衣装を着ている。
一時はアルビニズムという先天性メラニンが欠損する病気ではないかと疑ったレベルに常人より白い肌と、肩まで伸びた私と同じ色の金髪の髪は、試験が終わって落ち着いたら、迷惑なおかしな輩から目を付けられない為にも、切ってやらなければいけない。
私も中性的な顔をしているらしく、女性と勘違いされる事もあるが、カインは不幸な事に、私から見ても、可憐な女子にしか見えない容姿をしている為、初めて会った相手には高確率で女子と思われてしまう。
茶色の瞳が固有のクルタ族には珍しく、カインはクルタ族ではない父親から受け継いだのであろう紫色の珍しい瞳だ。
その船内で知り合った黒髪の髪が逆立ち、ツンツンとしたウニの様な重力に逆らった様な奇抜な髪型をしている少年ゴン。
カインよりも2つ下で、この中で一番最年少だが、彼にはカインと共に不思議な魅力を感じている。
恐らくそれは、人を引き付ける天性的な魅力なのだろう。
もう1人は、サングラスに黒スーツ、チンピラの様な見た目通りに態度は軽薄、無粋な碌でもない奴の類いだとばかり思ってはいたのだが
レオリオと共に、荒れ狂う船内の嵐の中で船の船員を危険を顧みず助ける事に協力し合った事で奴の認識を私は改め、我々は打ち解ける事が出来た。
ドーレ港から船長に教わった一本杉を目指し進んで行くと、老婆の出題するクイズを突破し、一本杉に続く正解の道の扉を開けて貰い、一本杉の下で住む夫婦が道案内をやっていると教えられ、夜頃に彼らの住む住居までたどり着くと、
ゴンとカインは凶狸狐を追い、私は攫われていた妻らしき女性を助け、レオリオは怪我人の男の手当てをそれぞれ行い、やがて
この場で会った面々が全て案内人役の家族の凶狸狐達だと判明する。
私には違いはさっぱり分からなかったのだが、ゴンとカインによれば
「だって全然顔がちがうじゃん
声だって右の子の方が少し高くて、細い感じだし」
……そ、そうなのか?
「右の奥さんの方は毛並みもとても綺麗だし、左の旦那さんは体格がガッチリしてて、カッコいいよ?」
2匹の凶狸狐達はそれを聞いて上機嫌で喋り出す。
「毎日ブラッシングは欠かせませんからねぇ、やっぱりわかる子には分かっちゃうのねぇ?、ホホホホホ」
「いやー、日頃から体力作り頑張ってるからねぇ?」
等と言うのだが、私には全く判別がつかない……
「右側が嫁さんで左側が旦那っつーのだけはカインの説明で
分かったが、それ以外の違いは分かるか?」
レオリオの問いに自分だけではなかったと内心ほっとし、私は首を横に振って答える。
「いや、さっぱり分からん」
「えー、こんなに違うのにねぇ?、カイン
なんでレオリオとクラピカは分かんないんだろ?」
「そうだねぇ?、ゴン」
ゴンとカインは同じく動物に好かれる体質同士気が合う様で、船内で出会った時から意気投合したのか、よく一緒にいる事が多い。
普段から大人しくて、争い事を好まないカインにこうして友人と言える存在が出来て、良かったとは思う物の、このまま、連れて行っていいものなのか、正直悩んでいる。
「お前達と一緒にするなっ‼
普通は分かんねーものなのっ‼
あっちの娘や息子も、元のキリコに戻ったら
どっちがどっちだかわっかんねーんだよっ‼」
自分より年下のゴンとカインの言葉に、レオリオはこの中で1番最年長でもある筈なのに大人気なく怒鳴り付ける。
捕まっていた演技をしていた若い女の姿に化けていた凶狸狐と、旦那を語っていた凶狸狐が面白そうにレオリオの言葉に乗っかってしまう、アイツめ、又余計な事を……
「へー?、では実際にやってみようかね?」
「面白そうね?」
そう言って、彼らも、人間の男女の姿から、元の凶狸狐の姿に戻り、我々の周りを凶狸狐4匹がぐるぐると円を描くように何週かするとピタッと突然止まり
「「「「さあ、当ててごらん?、私はだーれだ?」」」」
4匹全員同時に同じタイミングで凶狸狐達が声をハモらせて尋ねて来た。
……勘弁してくれ、こんなの逆立ちしても見分け等付かないぞ?
「はーい分かったぁっ~」
「僕もっ」
そこにゴンとカインの2人が元気良く手を上げる。
「じゃあさ、左側から、2人ずつ言おうよ、オレから言っていい?」
「うん」
ゴンの言葉にカインは頷く。
「まず左側の端っこから奥さんでしょ?
隣の君は息子だね?」
ゴンの次にカインが凶狸狐達を言い当てる。
「息子さんの隣は旦那さん、その隣は娘さんでしょ?」
「正解‼‼~、君達、本当に大した物だっ」
左側の3番目、旦那の方がゴンとカインの頭をよしよしと撫でている。
レオリオの奴は見事な顔芸をしながら引き気味でぼやく
「いやいや、マジで無理だろさっきのは……
種族の壁を超えなきゃ、見分けるのなんざ無理だぜ」
確かに、それはお前に同意する。
「因みに、2人共、息子と娘の違いはなんだ?」
私が興味本位で尋ねてみると、ゴンとカインの2人は、至極当然の様に答える。
「息子の子はこの中で1番背丈が高くて
ほっそりした体系の子だよ?」
「娘さんはこの中で1番華奢で、背が小さくて声が高いよ?、可愛いから分かり易いと思うけど」
改めて凶狸狐達4匹を見て見る。
うむ、どれも同じにしか見えない、これが超えられぬ種族の壁だと言うのか……
「きゃーバレちゃった~、あなた達本当に凄いわねぇ?~、なんだか2人共可愛く見えて来ちゃった。」
「人間の中でも、ここまでオレ等を見分けられる奴なんて
中々いねぇぜ?、やるじゃん」
左から2番目の息子と最後の端っこにいる娘も、ゴンとカインを撫でたり、抱きしめたりしている。
ゴンとカインの2人共はそれを楽しそうに受け入れたり、抱きしめ返したりしているほのぼのとした光景がそこに広がっていた。
……ここの凶狸狐達は、思っていたよりも危険な存在ではないようだな……むしろ、希少な種族になってしまった私達2人にとって、同族の人間の方が警戒すべき対象か……
コホンと、咳払いをして、もう位置が変わってしまったので旦那だか娘か息子か妻なのか全く判別不能だが、凶狸狐の1匹が真面目な口調で語り出す。
「博学を持って、ヒントを見逃さず、私達2人が夫婦ではないと見破ったクラピカ殿」
違う凶狸狐も次々と私達を認め出す言葉を語ってくる。
「レオリオ殿は、結局私の正体に気が付きませんでしたが、キズの応急処置は従来の医者よりも早く的確で、妻の身を案じるふりをする私に対し、ずっと温かい励ましの言葉をかけ続けてくれました。」
「いやーまいったね」
気恥ずかしいのか、頭を掻いて照れだすレオリオ
「そして、人間離れした運動能力と観察力を持つゴン殿と、同じくカイン殿」
「合格だ、君達4人を会場まで案内し」
そう凶狸狐の1匹が言いかけた所で私は止めに入る。
「待って欲しい、あなた達に頼みがある。
カインを、私が戻って来るまでここで預かってくれないでしょうか?」
「え?、兄さん、どうして?……」
キョトンと大きく、クルタ族の固有の色ではない紫色の瞳を大きく見開いてカインは悲しそうに私を見て来る。
「お、おいクラピカ、おめー突然何言い出しやがるんだよ?
カインも試験を受けるのは同意してんだろが?
それを今更なしよとか、そうゆーのは
試験前にちゃんとお前等で話し合っとけよ?
ここで兄弟ゲンカで時間取られるなんて本当に勘弁だぜ?」
確かに、これは今まで決断出来なかった私の非だしな……レオリオの当然の非難に私は謝罪する。
「すまん、すぐに終わらせる。」
当然ながら、カインと仲の良いゴンは私に抗議をして来る。
「クラピカ‼️、なんで突然そんな事言うの‼?
カインはオレより2つ上の14歳なんだよ?
試験を受ける資格なら問題ないじゃんっ‼
さっきだって、カインは認められたんだよ?」
「悪いがゴン、これは私達の問題だ
今は口を出さないでくれ?」
ゴンはむっとした表情をしたままだが、私達の成り行きを見守ってくれる様だ。
俯いているカインを見て尋ねる。
「なあカイン、ハンター試験がどんな物か散々
説明したな?、試験で死ぬ人々も沢山いると……」
カインは落ち込んだ様子で俯いたまま震える声で喋る。
「うん、聞いたよ?……でも、僕……
兄さんの、力になりたいんだ……だから
もし……戦う事になっても……あの子の……力を借りれば……」
「それは、戦う相手が、私やレオリオ、ゴンになっても、出来るのか?、試験の内容によっては、私達が果し合いをさせられる可能性もあるんだぞ?
その時お前は、自分の好きな相手でも、傷つけられる覚悟があるのか?」
カインはどう答えたらいいのか分からない様子で、涙目になって首を横に振った。
これでも、最低限レベルの護身術は教えてやっている甲斐もあって何とか覚えてはいるのだが、一度気を許した相手に、このカインでは本気で戦おうとはしないだろう。
極端にコイツは、根が優しすぎて、根本から争い事に向いていない、そんなカインをここまで連れて来てしまったのは、ひとえに私の弱さでもある。
ここでカインを切り放さなければ、もうコイツの力に頼るのを止めなければいけない。
でなければ、きっと、カインを手放す事が出来ずに、地獄まで付き合わせてしまう事になる。
私は凶狸狐達を見て、どれが親なのか全く判別不明なのだが、頭を下げて頼み込む。
「どうか、お願いできないでしょうか?
お礼は、試験後になるべくお支払いしますから」
4匹の凶狸狐達は顔を合わせて相談し始める。
「どうすんの父ちゃん?」
「私は別にいいけど?~金髪の子は
ヒヨコみたいで可愛いし?」
この2匹は多分、会話内容から息子と娘か?
「うむ、まあそれは別に構わないが、お客様扱いとはいかないよ?」
「同居する者として、炊事も洗濯、掃除も手伝って貰う事になるが
構わないかね?」
凶狸狐達の言葉に私は頷き
「それなら問題ないです、戦う事よりそっちの方が
出来ますので、ほらカイン、お前からも頼むんだ?」
私はカインを凶狸狐達の前まで片腕を掴んで引っ張って行くと、頭に手を乗せて下げさせる。
カインは、若干紫色の瞳を緋色に変化させる段階ですすり泣きながら凶狸狐達に頼む。
「ひっく……うぅ……
よろしく…お願い、します。」
その後に私を見て、とても悲しそうな表情で聞いてきた。
「クラピカ兄さん……兄さんも、僕の事なんか必要なくなってしまったの?
僕……邪魔なの?、もう、いらないの?」
その言葉に、後ろ髪を引かれる思いで一杯だったが、それでも、カインの手を今取る訳にはいかない
それは絶対に、コイツの為にならないからだ。
私はカインを抱きしめて真っ直ぐに見つめて言う。
「そんな訳あるか、お前に何かあったら
もう私は耐えられないんだ、だから
頼むから、安全な場所にいてくれ、必ず、迎えに来るから」
私はここからカインに耳打ちする。
「だから、あの力を使って追っては来るなよ?
お前もちゃんと、2人でここにいるんだ」
抱きしめるのを止め離れると、カインは寂しそうな表情をしながら私を見て頷く
凶狸狐達は蝙蝠の様な巨大な翼を生やすと我々に腕を掴む様に言い、1匹ずつの凶狸狐達に我々3人が彼等に掴み終わると夜空に浮かび上がって行く。
カインは1匹の凶狸狐と共に我々に片手を振りながら下の方で叫ぶ
「クラピカ兄さん〜ゴン〜レオリオ〜ハンター試験皆頑張ってね?、行ってらっしゃい〜‼︎」
私達を見送るその姿は、クルタ族の里を出る時に、見送ってくれた私の一番の親友の姿と重なった。
大丈夫、今度こそは……2度と、同族を失ってたまるものか