宵々町奇譚
そんな僕らに気付くこともなく、白鳥拓海
僕は流石にまずいと思ったけど、モミジ先輩が尚も付いて行こうと扉を開けた。
すると御一行様の姿は既に無く、その先には
「先輩、ここ立ち入り禁止って……流石にヤバいですよ」
僕の制止も聞かずモミジ先輩は階段を下り、扉を開けようとしたが鍵が掛かっていた。
「もう! 何よ! もう少しでシラタクに会えるところだったのにぃ~!」
先輩は悔しそうだ。
「帰りましょ先輩」
僕はしょんぼりする先輩の背中を押しながら謎の扉の前を後にした。
「それにしても……変わった
去り際の加枝留くんの呟きに僕はもう一度振り返って扉を見た。
扉には三角形を三つに重ねて作った星型とその上に赤と黒の渦巻を塗りつぶしているマークが描かれていた。
一体、何のマークだろ?
結局、白鳥拓海の謎は解明されないまま、イコンモールを出ると、空はすっかり夕闇に染まって、一番星がうっすらと顔を出していた。