宵々町奇譚
僕の名前は
コンプレックスの小さい
僕は生まれた時からずっとこの宵々町で暮らしてる。
宵々町の住人はみんなこの町が大好きで、大抵の人はこの町の学校に通い、この町で就職を目指し、この町で結婚し、生涯を終える……なんて言うと大袈裟かもしれないけど、実際そんな人が結構多かったりする。
そして、僕もそんな人生設計を立てている一人です。
「行ってくるニャ!」
僕は朝食を
それは自宅から歩いて五分も掛からない距離にある、宵々第二公園にある。
公園に着くと、僕は早速、家から持ってきた猫用の煮干しが入った袋を
すると何処からともなく猫が数匹現われて僕を取り囲むのだ。
さあ、いりこパーティーの始まりニャ。
「ほーら、お食べ」
僕はハトにエサを
すると猫達は美味しそうに食べ、なくなると更に
可愛い猫たちに囲まれ
しかし、時には
「こらーっ! 野良猫にエサをやるなと何度言ったら分かるんだーっ!」
公園の近くに住む猫嫌いのおじいさんが、僕に石を投げながら鬼のような
「いたっ! イタタタ! やめるニャ!」
猫も僕も一斉に逃げだした。
至福のひとときはこうして無残にも終わりを告げた。
「フン、猫に餌をやったぐらいで石を投げるなんて……まったく
僕はぶつくさと独り言を言いながら学校へと向かった。
1/21ページ