私とテニスと自転車と
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駐輪場に停めてた荒北の(元は寿一のだけど)ビアンキは無造作に置かれてて、急いで来たとはいえ私は直ぐにその場で説教した。反論してきたがそれは無視だ。普通の自転車よりも価値があり、大会でも使う自転車で、しかも寿一があげた自転車なんだ。今度したらメニュー4倍だと告げると苦い顔しながら「やっぱさっきの泣き虫に戻れ」とか言ってた。それも無視だ
街灯の灯りが少なく、暗い道をゆっくり帰った。言葉はポツポツ話す感じだったけど、ブン太と会った時の暗い心を明るくしてくれる。練習はちゃんとしたの?とか勉強はできたのか?とか、母親のような話し方に荒北はめんどくさそうな顔で親みたいに言うなと怒りながらもちゃんと答えた。
見覚えあるマンションに辿り着いた。私の家がある、マンション前でいいと告げたけど無視された。家の玄関まで一緒に歩いて…着いてしまった
鍵を開けて中に入る前に、荒北に向き直った
『…今日はありがとう、ほんとに…』
「ッセェ、んなのどーでもねぇっつーの。とっとと荷物寄越せよ帰るカラァ…」
『…上がってけば?』
「…マァジで言ってんノォ?」
私の言葉に、探りを入れるようなそんな目をしてこっちを見る
『今帰っても寮の夕御飯食べれないんでしょ?冷凍のご飯あるから簡単に作ってもいいけど?』
「…そーじゃネェだろ、テメェは俺が好きな女が目の前にいて何もしねぇ男だって思ってんノォ?」
…あぁ、そういうこと。
じゃあ牽制しとかないとね
『…何かするつもりなの?今日荒北が来てくれて本当に嬉しくてほだされそうだったのに…』
「……」
『でも、そうね…何かされるの怖いし、やっぱ申し訳ないけど帰った方がいいかもね』
「っ!ああっ!ウッゼ!!何もしねぇよっ!!飯食わせろボケナス!」
最初から何かするつもりなんてなかったくせにね
『それなら良かった。この後どうせコンビニで済まそうとしてたんでしょ?それはマネージャーとして選手の体調面は気にしてるから食べてくれる方が助かる』
最もらしいことを言うと荒北は眉間にシワを寄せた
「…何の用ダヨ」
『…なにが?』
「嘘ついてる匂いがすんだよ」
…さすが、って言っていいのかな
私の真意にすぐ勘づくんだから
『…とりあえず入って』
「…」
疑う目で見てくる荒北を無視してとりあえず中へ促した
私の住んでるマンションは1LDKで割と広いスペースになってる。リビングの扉を開けて中に入った荒北はキョロキョロと視線を移動させた
「…ばあさん達いねぇノォ?」
『いないよ、普段は横浜住んでるし。インフルで家にも寮にも居れなくなった荒北を、家で看病するってなった時にわざわざ着てくれたのよ。普段は一人だし』
「ンダョいねーのか」
『荒北はおばあちゃんの作ったご飯好きだったね』
「まーオメェの飯と味似てっからナァ」
『それは私のご飯の事も褒めてくれてるってこと?』
「セッ」
おばあちゃんが聞いたら喜ぶだろう。おばあちゃんは荒北のこと気に入ってるから…
私は箱学に入学してからずっと一人暮らしをしてる。寮でも良かったんだけど時間が制限されるのは嫌だし、自由に出来るからやめた。
祖父母は横浜に住んでて、荒北がインフルにかかった時にお願いをして来てくれたことはある。その時にどんな会話をしてたか知らないけどいつの間にか仲良くなってたから驚いた。まぁその話はいつかしようと思う
とりあえずソファーに座らせて私はキッチンに立つ。冷凍庫からご飯を取り出して電子レンジに入れる。
『あ、寿一に連絡入れといて』
「今電話してるっつー…あ、福ちゃん」
察した荒北は座ってすぐに掛けたんだろう、寿一と話し出した。途中リビングから出て行くのを見えたけどとりあえずご飯作っておこう