私とテニスと自転車と
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丸井視点
人のざわめく声も、電車の音も…全く耳に入ってこねぇ。耳に入るのは…、微かな呼吸音と心臓の音。
俺は香苗を抱きしめている。その事実がたまらなく嬉しい。だけどその反面…苦しく辛い気持ちになった
『…はな、して…』
「、あ…ごめ…」
強く抱きしめていた腕の力を弛めると勢いよく離れたあとこっちを向いて…思いっきりビンタされた
バチン!!
「っ」
手のひら全体で叩かれた。重みがあって、次第にヒリヒリしてきて…すごくいてぇ
『バカじゃないの!?』
大きく、ハッキリとした声で怒鳴られた。わかってる、いきなり抱きしめられればそりゃ怒るだろうな…しかも俺に
でも予想とは違ってた
『あの状況で引っ張って…もしあんたや尽八に怪我があったらどうするつもりよ!大会控えた選手なんだから!』
「…え、そっち?」
『あといきなりあんなこと二度としないで!驚くし危ないでしょ!』
「あ、えと…」
『返事は!?』
「わ、わりぃ!」
『ほんとに…危ないんだから…っ』
抱きつかれたことより体の心配か…なんか、少し変わった気がする。そう言えば怒られるのも初めてな気がする。前はもっと困った顔しながら赤くなって、恥ずかしそうにしてたのに…。3年ってのは…こんな風に人を変えてしまうのか…
「ほんとに、ゴメン…」
『あ、いゃ…別に…』
もう一度ちゃんと謝ると怒ってた顔を一変させて困った顔をさせる。あぁ、この表情は変わってない。
「俺、ただ… 香苗とちゃんと話したくて…連れがいたのに…ゴメン」
『あ、う、ん…』
「…彼氏?」
聞きたくないけど
聞かなきゃ、損する
『いや、違う…部活の…』
…違うみたいだ、よかった…なんて言う資格ないけど…嬉しい
けど、違和感を感じた
「…テニスの?」
同じ部活…ならばテニスであるけど…さっきのやつ…見たことない。
なぁ、まさか… 香苗…
『……違う』
違う
違うって、なんだよ…
「え……?」
『私は…テニスしてない』
テニスをしてない……?
『…辞めたから、テニス』
やめ、た…?
「な、なん、で…!?なんでテニス辞めんだよぃ!」
香苗がテニスを辞めるはずがない!だってあんなにうめぇのに!誰よりも強くて!…強すぎるのに。世界だって…夢じゃないはずなのに!
『…それ、本気で聞いてる?』
「あ、当たり前だろ!だって…!」
『ふざけないでよ』
「!」
なんだよその声…初めて聞く、香苗のこんな低い声に俺は言葉がでなかった
『…なにも知らないのね。私の気持ちを知ろうともしなかったくせに…よくそんなこと聞けたね』
「っ」
『ずっと独りで、頼れるのはブン太しかいなかったのに…っ、なのに側にはいなくって…テニスを辞めることしか出来なかった』
「っ、香苗…っ俺、!」
『私はただ、楽しくテニスがしたかった…っ!』
「っ!」
俺はもう一度謝ろうとした
あの日のことも、今までのことも
またやり直したかったから
だけどそのフレーズは
またあの日を思い出させた
『なのに私が求めたテニスはあそこにはなかった…なくなったの』
「っ、あ…」
やめろ、聞きたくない…っ
『……ブン太も結局』
いやだ、聞きたくない!!
それだけは…っいやだ!
『私の前から「言うな!」っ』
やめてくれ…っ
あれは夢だけで終わってほしいんだ
それ以上の言葉を聞けば、俺はもう…
立ち直れる気がしない…っ
「ゴメン…、ゴメン… 香苗っ。俺、バカだったから…周りばっか気にして…傷つけた…っ」
『っ…』
「いなくなって気づいたんだ、俺、香苗のこと、やっぱ好きだったんだって…っ」
『え…っ?』
「好きなんだよっどうしても…っ、あんな酷いことして、お前傷つけたけど…っ、テニスしてようがしてなくても…っ好きだ」
『っ…っブン、太…っ』
もう一度、今度は優しく、震える香苗の体を…いや、俺の震えかもしれない。そのどちらか分からないけどそれを止めるように、1つになるように…抱きしめた
「香苗…もっかいだけやり直させてくれね…?今度こそ、お前を理解したい。守りたい…」
『…理解したい?』
そう言った香苗の表情は、あの日のように…曇ってた。どんよりした曇天のような…暗く、重い…
グッと左手で胸を押し返された
そして、ハッキリと…言われた
『…無理』
「…っ」
ズキッ、て…痛くなった
心臓が抉られた感覚だ
香苗の明らかな拒絶は
恐ろしく鋭利な刃物のようだ
『…分かってない、何にも』
「そ、そんなこと…」
『そんな言葉で、元に戻るって思ってるの?馬鹿にしないで』
「っ」
グサッ、グサッ、て刺さってく
両足で立つのがやっとなくらい重い言葉
『もうあの時に、私は変わったの…
テニスもブン太も皆も
私は捨てた』
すて、た…っ
『…帰って、2度と、会いたくない』
「… 香苗っ」
『…帰って!』
ズキッ!!
"ブン太なんて…大っ嫌い…っ!"
…あぁ、なんで
あの日を思い出したんだ…
あの日に戻りたいって
あの頃に戻りたいって思ったからか…?
でも、もう…戻れない
「…そ、か…わりぃ…。俺、ら…もう…駄目なんだ、な…っ」
ブワッと涙は濁流のように流れる
頬を伝って、地面に落ちた
『…っ、』
「ごめんな…っ、香苗、ごめん。引っ張って悪かった…っ、俺、かえ、るな…っ?」
『っ…っ』
なぁ、なんで泣くんだよ
香苗を泣かせたい訳じゃないんだ
「香苗…っせめて、さ…っもっかいだけ…笑ってくんね…っ?前、みたいに」
笑った顔をみたい
それで俺は割りきれるかもしれない
『…っごめん』
「…っはは、笑うことも、したくねぇってか?ゴメン…」
『ちが、そう、じゃなくて…っ』
「じゃあな」
『っ、ブン太!』
もう声を聞きたくない
もう耳にいれてはいけない
もう名前を呼んではいけない
もう、振り返ってはいけない…っ
じゃあな、香苗
ごめんな…っ
人のざわめく声も、電車の音も…全く耳に入ってこねぇ。耳に入るのは…、微かな呼吸音と心臓の音。
俺は香苗を抱きしめている。その事実がたまらなく嬉しい。だけどその反面…苦しく辛い気持ちになった
『…はな、して…』
「、あ…ごめ…」
強く抱きしめていた腕の力を弛めると勢いよく離れたあとこっちを向いて…思いっきりビンタされた
バチン!!
「っ」
手のひら全体で叩かれた。重みがあって、次第にヒリヒリしてきて…すごくいてぇ
『バカじゃないの!?』
大きく、ハッキリとした声で怒鳴られた。わかってる、いきなり抱きしめられればそりゃ怒るだろうな…しかも俺に
でも予想とは違ってた
『あの状況で引っ張って…もしあんたや尽八に怪我があったらどうするつもりよ!大会控えた選手なんだから!』
「…え、そっち?」
『あといきなりあんなこと二度としないで!驚くし危ないでしょ!』
「あ、えと…」
『返事は!?』
「わ、わりぃ!」
『ほんとに…危ないんだから…っ』
抱きつかれたことより体の心配か…なんか、少し変わった気がする。そう言えば怒られるのも初めてな気がする。前はもっと困った顔しながら赤くなって、恥ずかしそうにしてたのに…。3年ってのは…こんな風に人を変えてしまうのか…
「ほんとに、ゴメン…」
『あ、いゃ…別に…』
もう一度ちゃんと謝ると怒ってた顔を一変させて困った顔をさせる。あぁ、この表情は変わってない。
「俺、ただ… 香苗とちゃんと話したくて…連れがいたのに…ゴメン」
『あ、う、ん…』
「…彼氏?」
聞きたくないけど
聞かなきゃ、損する
『いや、違う…部活の…』
…違うみたいだ、よかった…なんて言う資格ないけど…嬉しい
けど、違和感を感じた
「…テニスの?」
同じ部活…ならばテニスであるけど…さっきのやつ…見たことない。
なぁ、まさか… 香苗…
『……違う』
違う
違うって、なんだよ…
「え……?」
『私は…テニスしてない』
テニスをしてない……?
『…辞めたから、テニス』
やめ、た…?
「な、なん、で…!?なんでテニス辞めんだよぃ!」
香苗がテニスを辞めるはずがない!だってあんなにうめぇのに!誰よりも強くて!…強すぎるのに。世界だって…夢じゃないはずなのに!
『…それ、本気で聞いてる?』
「あ、当たり前だろ!だって…!」
『ふざけないでよ』
「!」
なんだよその声…初めて聞く、香苗のこんな低い声に俺は言葉がでなかった
『…なにも知らないのね。私の気持ちを知ろうともしなかったくせに…よくそんなこと聞けたね』
「っ」
『ずっと独りで、頼れるのはブン太しかいなかったのに…っ、なのに側にはいなくって…テニスを辞めることしか出来なかった』
「っ、香苗…っ俺、!」
『私はただ、楽しくテニスがしたかった…っ!』
「っ!」
俺はもう一度謝ろうとした
あの日のことも、今までのことも
またやり直したかったから
だけどそのフレーズは
またあの日を思い出させた
『なのに私が求めたテニスはあそこにはなかった…なくなったの』
「っ、あ…」
やめろ、聞きたくない…っ
『……ブン太も結局』
いやだ、聞きたくない!!
それだけは…っいやだ!
『私の前から「言うな!」っ』
やめてくれ…っ
あれは夢だけで終わってほしいんだ
それ以上の言葉を聞けば、俺はもう…
立ち直れる気がしない…っ
「ゴメン…、ゴメン… 香苗っ。俺、バカだったから…周りばっか気にして…傷つけた…っ」
『っ…』
「いなくなって気づいたんだ、俺、香苗のこと、やっぱ好きだったんだって…っ」
『え…っ?』
「好きなんだよっどうしても…っ、あんな酷いことして、お前傷つけたけど…っ、テニスしてようがしてなくても…っ好きだ」
『っ…っブン、太…っ』
もう一度、今度は優しく、震える香苗の体を…いや、俺の震えかもしれない。そのどちらか分からないけどそれを止めるように、1つになるように…抱きしめた
「香苗…もっかいだけやり直させてくれね…?今度こそ、お前を理解したい。守りたい…」
『…理解したい?』
そう言った香苗の表情は、あの日のように…曇ってた。どんよりした曇天のような…暗く、重い…
グッと左手で胸を押し返された
そして、ハッキリと…言われた
『…無理』
「…っ」
ズキッ、て…痛くなった
心臓が抉られた感覚だ
香苗の明らかな拒絶は
恐ろしく鋭利な刃物のようだ
『…分かってない、何にも』
「そ、そんなこと…」
『そんな言葉で、元に戻るって思ってるの?馬鹿にしないで』
「っ」
グサッ、グサッ、て刺さってく
両足で立つのがやっとなくらい重い言葉
『もうあの時に、私は変わったの…
テニスもブン太も皆も
私は捨てた』
すて、た…っ
『…帰って、2度と、会いたくない』
「… 香苗っ」
『…帰って!』
ズキッ!!
"ブン太なんて…大っ嫌い…っ!"
…あぁ、なんで
あの日を思い出したんだ…
あの日に戻りたいって
あの頃に戻りたいって思ったからか…?
でも、もう…戻れない
「…そ、か…わりぃ…。俺、ら…もう…駄目なんだ、な…っ」
ブワッと涙は濁流のように流れる
頬を伝って、地面に落ちた
『…っ、』
「ごめんな…っ、香苗、ごめん。引っ張って悪かった…っ、俺、かえ、るな…っ?」
『っ…っ』
なぁ、なんで泣くんだよ
香苗を泣かせたい訳じゃないんだ
「香苗…っせめて、さ…っもっかいだけ…笑ってくんね…っ?前、みたいに」
笑った顔をみたい
それで俺は割りきれるかもしれない
『…っごめん』
「…っはは、笑うことも、したくねぇってか?ゴメン…」
『ちが、そう、じゃなくて…っ』
「じゃあな」
『っ、ブン太!』
もう声を聞きたくない
もう耳にいれてはいけない
もう名前を呼んではいけない
もう、振り返ってはいけない…っ
じゃあな、香苗
ごめんな…っ