私とテニスと自転車と
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東「それでは行ってくるぞ!」
『部のことお願いね、あと…二人はちゃんと勉強しなよ』
放課後になって東堂と寿一と一緒に職員室に行き、監督から備品のお金と移動費をもらった。申し訳なさそうに頼むと会議に向かう監督。明日からテスト期間になるしそのための会議なんだろう。監督も先生なわけで、私たちのテスト作りをしなければならない。早々に職員室を後にして生徒玄関に向かうと先に向かったと思っていた荒北と新開が待っていた。一応釘を指したけど大丈夫なのかしら…心配だ。
新「そう怖い顔するなよ、ちゃんと勉強するさ。気をつけてな」
荒「…さっさと帰ってこい」
東「俺が共に行くんだ、問題ないぞ!」
荒「だぁから心配なんだヨ」
東「なにをー!」
なんでこうもこの二人はすぐこうなるの?仲良いんだか悪いんだか…1年の頃から変わってないそれに…ちょっと、安心してる自分がいる
福「香苗、何かあったら連絡してくれ」
『わかってる、じゃあそろそろ行かないと電車もバスもなくなる』
福「あぁ」
靴を履き替えて立ち上がる
荒「香苗」
『!なに?』
振り返ると荒北が目の前に…やだ、ついこの間のことを思い出してしまった。それに気づいた荒北は罰が悪そうに目を反らして頭を撫でてきた
荒「…マジで何かあったら電話しろ。東堂もいっケド…もし」
『…荒北』
撫でてる手のひらをつかんで下ろして荒北に目を向けた。反らしてた目はこっちを見ていて、不安を表に出している。珍しい荒北の表情にビックリしたけど大丈夫だと声を出す
『…行ってくる』
荒「あぁ…」
『東堂行くよ』
東「…そうだな!では部を頼むぞ福!二人はちゃんと勉強するのだ!ワハハハッ!」
荒「ルッセェ」
新「気をつけていけよ」
福「よろしく頼む」
軽く手を振って東堂の歩幅に合わして歩いた
大丈夫…不安になるな、大丈夫
暗示をかけるように…まずは小田原駅に向かうために学校前のバスに向かった
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荒北視点
新「…行っちまったな」
荒「…そりゃ行くダロ?んなことよりとっととローラーすんぞ」
もう姿が見えないあいつらを目で追っても仕方ねぇから反らすとニヤニヤしながら新開が俺を見てやがった
新「…靖友」
荒「…ンダヨ」
新「スゴい眉間にシワがよってるぜ?」
ウッセェヨ。シワくらい寄るダロ…つか俺が行きてぇっつーの。けどこれは仕方ねぇこと…わかってはいるが…アイツが東堂と二人きりで部のためとはいえ二人きりで…とか…
新「嫉妬が丸見えだ」
荒「ッセェッ!」
するだろ嫉妬くれぇ!
福「お前の気持ちはわかってはいるが公私混同はできない。本来なら俺が行きたいところだ」
福ちゃんが珍しくそう言うから新開と二人して福ちゃんを見る。よく見れば福ちゃんも眉間に深くシワが寄っていた
新「もしかして寿一もだったのか?」
福「…俺は別に、東堂に対して嫉妬をしていない。それに俺は香苗のことを家族のように思っているだけだ」
新「そういや幼なじみだったもんな」
福「そうだ、幼なじみだ。嫉妬はしない…ただ心配しているだけだ」
荒「心配…」
福「横浜…だからな」
新「横浜がなんだ?よく分からないよ寿一」
横浜だから?横浜…!まさか…いや、確か…そうだ!
荒「横浜にはアイツが通ってた中学校があんじゃネェか!!」
福「…そうだ」
荒「!」
やっぱりそうじゃねぇか!!
荒「つかそうだじゃネェよ!わかってんならなんで!」
福ちゃんは俺の言葉に厳しい表情で返す
福「…監督の指示だ。香苗の指示なしで動けるようにと後輩マネージャーの為だ。それに先程も言ったが公私混同は出来ない…」
荒「チ…ッ!」
納得いかねぇ…っ、もし香苗になんかあったらどうすんだよ…っ。
いや、何かあるかどうかさえ分かるわけねぇんだ。知り合いに会う確率なんて少ねぇ…ただ、不安だ…
アイツが…今度こそ泣きそうな気がして…
新「横浜に何があるんだ?…その話、詳しく聞かせてくれよ」
そしたら急に、ここまで喋らなかった新開が口を開いた。話すつもりはねぇ…そう思って声を荒あげた
荒「っ、いーんだよ!テメェには関係ねぇ話だ!」
新「関係なくないさ」
っ、新開の声が1オクターブ低くなった。それに気づいた福ちゃんも目を見開いて新開を見る。新開の表情は、真剣で、真っ直ぐに俺ら二人を見ている
新「聞かないわけにはいかない。俺だって香苗は友達で、仲間だ。心配になるよ…」
…眉を潜めながら小さく笑ったその表情に、見覚えがある。2年の時の…ウサギの事で自転車に一時期乗れなくなった…あの時だ
新「俺はみんなに助けてもらった。今こうして自転車に乗れるのは…靖友に寿一、尽八…それに香苗がいたからだ。俺はまだ、借りをちゃんと返してない… 香苗の為になるならなんでもするさ、そのつもりでいる。だからおめさんらだけの問題にしなくていい…俺も一緒に心配になりたいよ」
荒「…おまっ」
福「新開…」
新「…なんてな、かっこいいこと言っちまったよ。言いたくなきゃ言わなくていいさ」
…クソッ
俺は手のひらをグーにして軽く、新開の背中にパンチを入れた。それにビックリした新開。タレ目がしっかり俺を見た。俺は大きく息を吐いてから口を開く
荒「バァッカじゃネェの?んなウサギみてぇな表情しやがって」
新「え?や、靖と」
荒「まぁ、いいんじゃナァイ?」
新「…靖友?」
福「荒北」
止めようとする福ちゃんに制止をかけた
荒「福ちゃん、俺は香苗が好きだ、そう言ったよな?」
俺の言葉に驚く二人を無視して言葉を続ける
荒「だから気になるし心配だってする…俺はアイツが好きだから。福ちゃんはアイツを家族みたいに思ってっから守ろうとしてんだろ?
新開だって同じだ…仲間で、大事だと思ってっからアイツのこと知りてぇって言ってんだよ、形ちげぇけど一緒だろ?なら、新開にも聞く権利はある」
香苗に対する想いはみんなバラバラだ。けど、大切に思う気持ちは同じだ。それは…同じなんだよ福ちゃん、だから…福ちゃんが隠してる香苗のことも…全部理解してぇ
福「…お前は、すごい男だな」
荒「…別に大したこと言ってねぇっつーの。一々褒めんな…」
新「やっぱかっこいいぜ靖友!」
荒「ッセェ!!」
背中を軽く叩かれながらそう言われて言葉に詰まった俺は視線をコイツらから反らした
福「…わかった。後で話そう… 香苗のこと…全部だ」
荒「!…いいのかよ?」
福「本人に確認を取る…説得を試みよう」
マジか…っつーことはわかるのか
アイツのこと…
新「ヒュウ!そしたら尽八も入れてやってくれよ?…尽八だって、言葉にしてないけど… 香苗の感情を読み取ってはいるからさ」
荒「しゃーねぇなぁ…まぁ自称、香苗の親友だしな」
福「では夜に話そう、その前に練習…そして勉強だ」
あー…それあったの忘れてた
新開も思い出したみたいで苦笑いしてた
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