私とテニスと自転車と
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ローラー場に着くと寿一が前に立つ。それだけで部員全員が緊張感を露にした。私は寿一の少し後ろで渡された用紙を見通す
福「今日集まってもらったのはテスト期間が終わってからの長期合宿についてだ」
長期合宿…毎年恒例の長野県で行う合宿だ。期間は1週間、その間学校は公欠扱いになる。標高の高い長野県の山で行うのは最適だ。それにロード専用のコースもあるし多種多様なスポーツをすることができる施設を借りて持久力、筋力をつけていくのが目的ではある…だけど本当の目的は違う
福「2、3年は分かっていると思うがこの合宿でトーナメントに参加できるものを決める」
つまり
インハイメンバーを決める重要な合宿だ
更に緊張感が高まった
福「香苗…」
『はい』
寿一が監督に渡されたプリントを学年ごとに渡した。たった1枚のプリントではあるが内容の重さに1年は不安を隠せないようだ
福「テスト期間が終わった次の日が出発だ。各自目を通しておくように」
「「「「「ハイッ!」」」」」
福「それともう1つ」
ん?もう1つ…?
福「これは監督からの指示だ。明日からのテスト期間…
成績が悪いものは有無を言わさず例えトーナメント表に選ばれていても外すことになった」
「「「「「ええっ!?」」」」」
福「箱根学園は文武両道だ。成績の面も監督としてちゃんとできなくてはならないと…そう言っていた」
まぁ、本分は学生だし…仕方ないだろう…
問題は…
荒「マジかョ」
新「ヤバイな…」
インハイメンバー有力者のこの二人だ
福「これで報告は終わる、解散してくれ。香苗と東堂…それに泉田と黒田、マネージャーたちはすまないが話がある」
え?口に出そうだった疑問だがとりあえず呼ばれた私たちは寿一の所に行く
福「すまない、手短に終わらせる。実はお前たちには部員たちの勉強をみてほしいんだ」
『…あー、そういうこと』
寿一なりに気遣ってテストのために勉強を教えてほしいとのことだった。確かにここにいるメンバーは成績に関して問題点はない。あっても小さなもので予習ができれば楽々テストはクリア出来るだろう。マネージャーの子達もできる方の子達だから心配はない
東「そう言うことなら仕方ないな!」
福「頼む、少々気がかりだったのでな」
『まぁ仕方ないわね、泉田と黒田は2年生のフォロー頼むわよ』
泉「ハイッ!」
黒「自分の復習にもなるからいいッスよ」
『皆も同学年のフォローをお願い』
「「「「わかりました!」」」」
これで1、2年は大丈夫だろう
『…で?私たち3年はどうするの?』
福「俺達で見るしかない。3年は全員寮生だから東堂と手分けして教えようと思う。学校にいる間は香苗にも手伝ってほしい」
『了解』
東「全く、日頃からちゃんと勉強しないから監督に言われるのだ」
全くその通りだ。自転車に打ち込むことも大事だが高校生として勉強を疎かにしてはいけない
『じゃあ今日からなんでしょ?今日の部活はどうするの?』
福「その事でもう1つ二人に頼みたい事がある」
私たち二人に?東堂と目を合わせてからもう一度寿一を見る
福「次の合宿に必要な備品を注文したのを覚えているか?」
『…あー、したわね。タイヤにオイル、ドリンクの粉とか…』
福「それを横浜のスポーツ店まで取りに行ってきてほしい。本当であれば監督と車で向かってほしいのだが会議あるそうだ。電車で向かうとなれば今日の放課後すぐに向かわなければ店の時間に間に合わない。俺も同行できればいいがそれでは練習の指示ができない。それに香苗1人では…」
『まぁ、荷物が多いわね』
それに…この腕だしね
東「それならばこの山神、香苗の手伝いをさせてもらおう!ワハハハッ!」
福「すまない、練習の妨げになってしまうが」
東「かまわんよ福。理由が理由だ、それにマネージャーの手伝いをするのも選手の仕事だ」
『…ありがとう東堂』
東「ワハハハッ!気にするな!その代わり」
そう言って私の耳元に口を近づけた
東「時間があれば中華街に行きたい」
『…なるほど、本命はそっちか』
東「そ、そんなことないぞ!ただ用事を済ませただけで箱根に戻るのに気が引けるだけだ!」
『はいはい、少しだけだからね』
東「!ありがとう香苗!」
ぱあっと明るい顔をする東堂に寿一が不思議に思う
福「何がありがとうなんだ?」
東「な、なんでもないぞ福!!」
自分の企てがバレないように慌てて否定をする。逆にそれが怪しいんだけどね
福「?そうか。…今日の部活のメニューだが一時間のローラーで終わりだ。それが終わり次第自転車部全員、図書室で勉強をする予定だ。一応7:30まで行うつもりでいる、お前たちは7時までには帰ってこい」
東「了解したぞ!」
『わかったゎ』
そうなると…30分も中華街には居られないことになるわね。まぁ私は長居する気はないから別にいいけど…東堂は分かっているのか?
東「香苗!この山神、東堂尽八に任せるのだ!ワハハハッ!」
『(分かってないわね)』
言わないどこ、早く帰れるかもしれないし
荒「ァアッ!?福ちゃん待てよ!横浜なら俺が行く!俺の方が道知ってッシ!!」
後ろから怒鳴るような声で荒北がそう言ってきた。確かに地元が横浜の荒北なら道案内には最適かもしれないが
『あんたはダメ。勉強しなさい、インハイ走りたくないの?』
荒「うっ!!」
インハイという単語は絶大な効果がある、現に荒北はなにも言えなくなった
福「成績を落とさないためにも、荒北はここに残るんだ」
東「残念だったな荒北!ワハハハッ!」
荒「ルッセェッ!! 」
『もう、喧嘩なら後にして。お昼休み終わっちゃうから』
新「そうだぜ?腹減っちまったよ。今日は香苗も一緒に昼飯どう?」
『そうする、寿一もいこう』
福「そうだな」
「「おい!置いてくな!秦野組!!」」
後ろでやーやー言ってる声をBGMに私は前を歩く。ふとよぎったのは横浜、という文字…
…会うわけない
だってそんな偶然、信じない
大丈夫…
東「楽しみだな放課後!」
『…うん』
荒「…」
私は 大丈夫