ハレクラニ短編
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秋のよく晴れた日、ハレルヤランドの喧騒から少し離れたとあるベンチにこの遊園地の主であるハレクラニは座っていた。黒いシャツに白いズボンというラフな格好の彼の視線の先には、周囲の風景を楽しそうに見つめているハカナが映っていた。その視線に気がついたハカナは、微笑みを絶やさずにハレクラニの方へ近づく。
「今日は、どこの視察?」と、ハカナが尋ねる。ハレクラニは無造作に肩をすくめながら「貴様は、私をなんだと思っているんだ」と答えた。首を傾げるハカナに対してハレクラニが深い溜め息を吐く。
「視察目的でもない遊園地にスーツで来る馬鹿がどこにいる」
「ふふっ、そうよね、ごめんなさい。だって、ハレクラニさん、いつもお仕事忙しそうだし、今日だって「ハレルヤランドに行くぞ」だけしか言わないんだからてっきり視察だと思っちゃった」
くるくると忙しなく変わるハカナの表情に絆されてか、ハレクラニの口許も優しげに緩んでいる。笑うハカナの細い手にハレクラニは、手を伸ばす。ゆっくりとした動きでハカナの手をつかむ。
「ハレクラニさん?」
繋いだ手を見つめるハレクラニの視線にハカナは、またも首を傾げた。冷たくなってきた秋の季節の外気の中でもハカナの手は温かい。手を繋ぐことは今までも何度かあったのだが、ふとした時に感じるその温もりにやわらかく微笑んだハレクラニを見たハカナは、穏やかな眼差しで彼を見つめていた。
「は、ハレクラニさんの手は、大きいですね。私の手なんか片手で包まれちゃいます」
ハレクラニは一瞬、目を伏せると、掴んでいたハカナの手の指先と己の指先を絡め合うと一般的に言う恋人繋ぎをした。ほんの少しの力を入れてしまえば簡単に折れてしまいそうなくらいに白く細いハカナの手を見たハレクラニの奥底では常に彼女をもっと近くに感じたいと思っている。しかし、時に冷酷と他者に言われてしまう己の性格が故に、ハカナに対しての想いを時折隠してしまう。
それでも。
「私は…ハカナのことが好きだ」と、ハレクラニはようやく言葉を口にした。ハカナは驚いた表情を浮かべたが、すぐに優しい微笑みを返した。
「ええ、私もよ。ハレクラニさんのことが大好きです」
その瞬間、ハレクラニの心が温かくなった。敵、味方である部下からも恐れられる彼でもハカナの言葉には心が揺れ動く。
あぁ、その笑顔も声も仕草も全て私のものなのだ。だから、今までもこれから先も彼女にとっての男は、自分だけでいい。と、仄暗い想いを□□に悟られないように自身の心に蓋をする。蓋をしてハカナにだけに見せるほほ笑みを浮かべる。
「これからも、その先もずっと一緒にいてほしい」
ハカナを見上げたハレクラニは、心の奥から声を絞り出した。ハカナはうなずき、ハレクラニの手を握り返しながら頬をほんの少しだけ赤く染めて「私も、一緒にいたいわ。」と、花のような笑顔を浮かべた。
ハカナの頬にもう一方の手を添えてハカナに顔を寄せたハレクラニと目を伏せたハカナの二人の距離が縮まっていく。そっと離された熱に顔を真っ赤に染めたハカナを見てハレクラニは優しげに目を細めたのだった。
fin.
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