学パロ
「重雲重雲」
そんな声と共に隣の席からこつん、と丁寧に折り畳まれたメモ用紙が投げられる。・・・今は授業中である。隣の席の彼は・・・まぁ要領がいいというかなんというか、教員やクラスメートからは真面目な人だと思われているが、授業中に手紙を回したりするぐらいには普通の少年らしいところがある。今は授業中だぞ、と叱るような目線を投げるも、当の本人はもうノートに向かっていた。溜息を1つ零して、メモを開く。
『今日の放課後空いてる?』
メモには充分なスペースがあるというのにたった1行だけが水色のペンでそこに書かれていた。呆れたように行秋を見ると、上機嫌でもう一つのメモ帳を差し出される。どうやら手紙の交換をしたいらしい。幸いにもここは1番後ろの窓側の2席である。確かにバレにくいだろうけど。シンプルなペンケースから紺色のボールペンを取り出して行秋から渡されたメモ帳を1枚千切る。
『授業中だぞ。放課後は空いてる。』
さらさらっと文字を書いてバレないように行秋の机に置く。メモを手に取り開いた行秋がくすりと笑う。その笑顔が何だか可愛く見えて、少しドキリとする。行秋はまたメモを書いてぼくの机に飛ばす。
『真面目だね。でも良かった、行きたい店があるんだ。』
特徴ある癖字の手紙が届く。行きたい店・・・か、また新しい本屋でも見つけたのだろうか。
『構わない。』
そう一言だけ書いて手紙を渡す。特に重要な用事でも無いらしく、ただただ手紙のやり取りがしたかっただけなのだろう。授業に戻ろうと黒板に目をやった時、またもやコツンとメモが投げられる。・・・まだ終わっていなかったのか。まぁ別に嫌ではないしいいのだが・・・これ以上何を話すというのだろう。
かさりと音を立てながらメモを開く。
『好きな人いる?』
「・・・は?」
思わず声が出てしまい、慌てて口を塞ぐ。幸いにも周りには聞こえていなかったようだが・・・隣に座る行秋の肩が震えている。してやられた・・・確信犯である。
『行秋には関係ないだろう』
『ふーん?っていうことはいるのかな?』
いるも何も隣に座る人物のことが好きなのだが。
『そうとは言ってない』
『いやぁ、あの重雲がねぇ。今度紹介してよ。』
鏡を見てくれ。映ってるから。こっちの気も知らないで、ぼくの好きな人についての話題が始まってしまう。同じクラスか、先輩か。頭文字は?など・・・恋バナを話し合う女子のように質問攻めされる。何度も言うが、隣にいるのだ。
『行秋、そろそろ勘弁してくれ・・・』
『む、君の好きな人についてまだ何も知らないんだけど?』
『どうしてそう知りたがるんだ・・・?』
ピタリと手紙の猛攻撃が止む。暫く無言の時が流れる。行秋の手は新しいメモ帳の上で止まっている。・・・悩んでいるのだろうか。しばらく迷っていたペン先が一つに定まって、何かをサラサラと書き込む。こっちに視線をよこさず、折り畳んだメモが行秋の指に弾かれる。
もう手紙交換する気が無くなったのか行秋はノートを書き始めたようだ。一体なんだったのだ・・・と不審に思いつつも行秋からもらった最後の手紙を開く。
『君のことなら何でも知りたいよ。だって✕✕だから』
一部分がペンで消された手紙。どういう意味だ?と横を見ると窓から入ってきた風が行秋の髪をふわりと撫でた。その隙間から見えた行秋の耳は真っ赤に染っていた。
そんな声と共に隣の席からこつん、と丁寧に折り畳まれたメモ用紙が投げられる。・・・今は授業中である。隣の席の彼は・・・まぁ要領がいいというかなんというか、教員やクラスメートからは真面目な人だと思われているが、授業中に手紙を回したりするぐらいには普通の少年らしいところがある。今は授業中だぞ、と叱るような目線を投げるも、当の本人はもうノートに向かっていた。溜息を1つ零して、メモを開く。
『今日の放課後空いてる?』
メモには充分なスペースがあるというのにたった1行だけが水色のペンでそこに書かれていた。呆れたように行秋を見ると、上機嫌でもう一つのメモ帳を差し出される。どうやら手紙の交換をしたいらしい。幸いにもここは1番後ろの窓側の2席である。確かにバレにくいだろうけど。シンプルなペンケースから紺色のボールペンを取り出して行秋から渡されたメモ帳を1枚千切る。
『授業中だぞ。放課後は空いてる。』
さらさらっと文字を書いてバレないように行秋の机に置く。メモを手に取り開いた行秋がくすりと笑う。その笑顔が何だか可愛く見えて、少しドキリとする。行秋はまたメモを書いてぼくの机に飛ばす。
『真面目だね。でも良かった、行きたい店があるんだ。』
特徴ある癖字の手紙が届く。行きたい店・・・か、また新しい本屋でも見つけたのだろうか。
『構わない。』
そう一言だけ書いて手紙を渡す。特に重要な用事でも無いらしく、ただただ手紙のやり取りがしたかっただけなのだろう。授業に戻ろうと黒板に目をやった時、またもやコツンとメモが投げられる。・・・まだ終わっていなかったのか。まぁ別に嫌ではないしいいのだが・・・これ以上何を話すというのだろう。
かさりと音を立てながらメモを開く。
『好きな人いる?』
「・・・は?」
思わず声が出てしまい、慌てて口を塞ぐ。幸いにも周りには聞こえていなかったようだが・・・隣に座る行秋の肩が震えている。してやられた・・・確信犯である。
『行秋には関係ないだろう』
『ふーん?っていうことはいるのかな?』
いるも何も隣に座る人物のことが好きなのだが。
『そうとは言ってない』
『いやぁ、あの重雲がねぇ。今度紹介してよ。』
鏡を見てくれ。映ってるから。こっちの気も知らないで、ぼくの好きな人についての話題が始まってしまう。同じクラスか、先輩か。頭文字は?など・・・恋バナを話し合う女子のように質問攻めされる。何度も言うが、隣にいるのだ。
『行秋、そろそろ勘弁してくれ・・・』
『む、君の好きな人についてまだ何も知らないんだけど?』
『どうしてそう知りたがるんだ・・・?』
ピタリと手紙の猛攻撃が止む。暫く無言の時が流れる。行秋の手は新しいメモ帳の上で止まっている。・・・悩んでいるのだろうか。しばらく迷っていたペン先が一つに定まって、何かをサラサラと書き込む。こっちに視線をよこさず、折り畳んだメモが行秋の指に弾かれる。
もう手紙交換する気が無くなったのか行秋はノートを書き始めたようだ。一体なんだったのだ・・・と不審に思いつつも行秋からもらった最後の手紙を開く。
『君のことなら何でも知りたいよ。だって✕✕だから』
一部分がペンで消された手紙。どういう意味だ?と横を見ると窓から入ってきた風が行秋の髪をふわりと撫でた。その隙間から見えた行秋の耳は真っ赤に染っていた。