補足・小ネタ

ジェイド視点の『最近知り合った後輩は異世界から来たらしい』の削除した部分。かつてIF短編で書いていたシーンです。供養。こんな未来になるかはわからない、まだまだ遠い話。時間軸は三章後完結から、四章開始までの間あたり。



元『ギザ歯先輩は後輩をヤバイ奴だと思ってる』



読み返せば、目を伏せた。
ノートを閉じる。


このはじまりは、ノートが一冊落ちたところから。部屋にある授業の資料や、表にだせない学園関係者個人情報を整理していたら、あるノートが一冊床に落ちた。

【図書館で授業の資料を探し中、国資料スペースにて珊瑚の海の本を閲覧中の監督生に遭遇した。人魚がいるという情報を嬉しそうにしている、海産物が喋らないことを必死に祈っているので、思わず笑ってしまい気づかれてしまった。そのまま立ち去ってもよかったが、阿保そうなので簡単に情報を引き出せそうだと接触した。最初に人魚の話で釣ろうとしてみたが、警戒され失敗。思ったより手強そうなのかと思い、少し慌てて暮らしについて知りたくないかと言えば、驚く速さで食いついてきた…】

『……これは、初期の頃のアレの観察日記ですか』

自身らしくなく雑に書かれたアレーーー異世界の迷い子・監督生との接触した時の情報が書かれている。学期末試験の前までなので途切れたままだ。そうも昔じゃないのに、懐かしく思うのは日々が濃すぎるせいか否か。

(捨ててしまいましょうか?)

アズールもフロイドもあの事件が終わってから、故意にアレを利用や傷つけようとすることはやめたようなので、もうこれは必要がない。そもそも、意味不明な行動が多すぎて参考にならなかった。立地のいいオンボロ寮を手に入れるために、監督生やまわりの情報を集めていたものの一つとしてするには…なんとも。

(必要ありませんが、捨てる前に読み返してみましょうか)

部屋の資料はだいぶ片づいている。休憩がてらにベットへと、ジェイドは腰をおろした。





「なんだか、妙に小恥ずかしい」

学期末事件、予想外の出来事が起こりに起こり。オクタヴィネルはお灸を据えられたが、ラウンジは色々手は入ったものの取り上げられなかった。他の学園の関係者たちとも、前より関係がよくなったような気がする。

「それも、あの子の存在もあるんでしょうが…」

あれだけ酷いことをしたにも関わらず、彼はあっさり許した。自分との交流もバレた。まわりが猛抗議していたが、全然気にしていなかった。そもそも問題起こり中もおかしな行動をとっていたし、嫌気をさした雰囲気もなかった。自身のユニーク魔法も使ったが………うん、使わなければよかった。強制心情暴露から気を使う?のをやめたらしく、ゴーストカメラ片手にたまにウツボ姿を撮影していいかと、迫ってくる。スマホの待ち受け画像にしたいから、ウツボ姿の写真を撮らせてくれとお願いされたりする。頭が痛い。その件については、アズールもフロイドもドン引いていた。なんだかんだヤバイ奴なので、オクタヴィネル寮でもやっていけるのだろうと、ひっそり思っている。

「副寮長ーーー!?いらっしゃいますか!?フロイドさんが監督生を肩車して全力疾走で引きづり回してるんです!ハーツラビュルの寮長からクレームが!」
「はい、はい。またですか…困りましたねぇ」

自分が、いつもの表情を浮かべているのを感じながら、部屋の外へとでていった。

「もうすぐ、水泳シーズンです。どうしましょうか?はぁ……」

色々なゴタゴタが終わって、新たなゴタゴタが始まってる。

そんなある日のジェイドのお話。



【ジェイド・リーチ先輩】好意10%悪意90%で丁寧に後輩に接している。ちょっと疲れてる。
【監督生】気づいているのかいないのか好意100%で打ち返している。もっと構って欲しい。



※カットシーン※

少ししてから、体力育成教師がアレの筋トレの様子を見にきたので、寸前のところだったと気づいた。二人の会話を察するに、アレと体力育成教師の関係は良好らしく、むしろ可愛がっていた。もしあの姿をこのナルシストに見られたりでもしたら、2年E組の午後の授業の飛行術が筋肉バーストしていたに違いない。危ないところだった。当分、この教師を見るたびにアレを思いだすのかと、げんなりした。今回の珍しい敗因は、アレの思考回路を予測できなかったことだ。対策を練り直さないといけない。うっかり口をもらさないように、アレに口止めしておいた。
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