捻れた世界で生きてゆけ
《おや、おや!若君!来てらっしゃったのですか!》
《ソレは、魔法力に耐性がない人の子ですぞ》
《あちゃー、直に触れ気絶しちゃいましたな》
「ーーー久しく来てみれば、人の気配がすると思えばコレは…?」
《若君が、館内まで足を踏み入れるのは珍しいこと…》
《この寮に新しく住みはじめた副寮長ですぞ》
《気絶してしまったので、ベットに運んでやるか》
「経緯がわからないが、脅かしてしまったのか、また」
《いえいえ、ソレは若君を怖がって気絶したんではありませんぞ》
《疲れが溜まっていたところに、異なる存在の貴方様が濃色に接触してしまったからでしょう》
《たまたま間が悪かったのですよ。また改めて会えば良いのでは?》
「お前たち、今日はやけに饒舌だな。しかし、間が悪かったらしいということはわかった」
「気が向けば、また来ようか?」
ピィンと音が鳴り、魔法のように男は消えた。ゴーストたちはほっと息をつくと、気絶してしまった少年でもあり、少女でもある存在を魔法でそっとベットへと運ぶ。
[chapter:ファーストコンタクトにも満たなくて]
人知れず邂逅はすれ違っていく。その時が来るまで互いの存在は、まだ。