捻れた世界で生きてゆけ
差し入れされた、タルトを一口食べる。
「…本当においしいですね」
ハーツラビュルの騒動は知っている。それは〝必要〟なことだから。でも、少女の人柄は予想外だった。
お人好しで、扱いやすい人間だと〝知っている〟
「素直すぎるのも問題ですね」
少女を褒めれば否定するが、この世界でも〝元の世界〟でも利用されて生きづらいだろうに。
「この世界じゃ、そのスナオさは猛毒ですよ」
この世界の住人は学園の生徒は、どこかネジレていてヒネくれた側面を持っている。だからーーー自分も含めて猛毒だ。
「帰りたいでしょうけど、まだ帰れませんよ」
少女は必死で探すだろう、帰り方を、でも今は見つからない。
少女はこの御伽噺の〝主人公〟だ。御伽噺が終わるまで〝主人公〟の役目から解放されない。
役目が終わるまで、帰れないし、帰り方も見つからない。そうなるように世界はなっている。
「自分の〝役目〟果たさなければならない、ですが…」
ほんの少しばかり、手助けしてやってもいいでしょう?
[chapter:仮面の下で何を思う]
(ほだされすぎないようにしなければ)