小ネタ・補足・後書
現タイトル【逆ハーは回避したいのであなたに身代わりになってもらいます。】
旧タイトル【二度目の監督生は二人を応援したかった】
その思考回路は、無自覚に。良かれと思った善意は傲慢でヴィランに染まっているとは彼女は気づかない。100%の善意で彼女は今回も捻れに捻れた世界でハッピーエンドを目指すつもりだった。原作軸をハッピーエンドで終了して帰還した監督生が、転生してもう一度並行世界のワンダーランドに迷いこんでしまう。その世界のかつての親友たちや先輩たちの様子が違っていて戸惑う話。オチなし。
二番煎じ/監督生(性別不明→女(男装))/四章までバレあり、五章以降は捏造部分が多い/描写はないものの虐待設定あり/フロイド先輩→←not監督生男装主という要素あり/監督生に現在は矢印向いていなさそうですが?/色んなものがごちゃ混ぜ/書きたいところを書いた(シーン抜粋風)
◆
私には。
前世の記憶がある。
16歳まで普通の子供として生きてきた自分は、ある日突然転移して数年間別の世界で過ごした。ツイステッドワンダーランドという、魔法、獣人、人魚、妖精などなどファンタジーあふれる世界だった。仲良くなった人々と最悪の未来を回避しハッピーエンドで終わり、元の世界に戻った児童文学のような記憶。元の世界に戻ったら、来たときと同じ時間だったみたいで安心した。
あの世界の記憶は誰にも話さなかったけれど、元の世界にもそう馴染めなかった。元から浮いていたのもあったし。友達も必要最低限いらないと思った。
あれ以上の人間関係を作ることなんてできなかった。
なんやかんや巻き込んで利用したりするくせに、本当に困ったときプライド殴り捨ててでも助けに来てくれた同年代の友人たち。腹に底は見えない、本心は話してくれない、タダで助けてくれないくせに、時にそっと力を貸し言い訳つけて誤魔化してなんだかんだ助けてくれた先輩たち。大人の事情でふりまわすくせに、最終決戦は命がけで守ってくれた学園長と先生たち。
自分にとって大切なのは、血の繋がった家族だけだったから。戻ってきた後悔はない。
ーーーううん、違う。
誰かと家族になろうとしても、あの世界での家族。オンボロ寮のことを思いだすのだ。大切な相棒のグリムやゴーストのおじさんたちを思いだすのだ。
『……一緒にいてほしいんだゾ』
寝言でグリムが呟いたのを聞いたことがある。
起きている時は絶対そんなこと言わないし、学園長に元の世界へ帰る方法を発破かけてくれたりした。言うことはあいかわらず聞かないのに、悲しいときそっといつも寄り添ってくれた。彼とも色んなことがあったけれど、彼の本心を聞いてひっそり泣いた。でも、自分は別の世界の人間だ。帰らなければならない。元の世界に未練がある。
ーーー本当に?
この世界とあの世界に通じる道は方法は他にあったんじゃない?探す努力を放棄したんじゃない?戻らなくてもよかったんじゃない?
ほんの少し心のどこかで未練があった。
会いたいと思ったときがある苦しくて苦しくて、日記にあの世界での出来事を物語風に書いたりして紛らしたりしたこともある。
それでも、何事もなく高校生活は送り、普通に大学受験して合格して、成人して、社会人になって、年をとりいつの間にか死んだ。いっぱいガムシャラに働いて金に若干がめつくなったから、老後用の施設にお金が貯めといた。その影響はどこぞの鴉や胡散臭い人魚たちの影響もあるけれど。
両親は寿命で亡くなってから、最期まで一人で生きた。
他者から見たら孤独のように見えたかもしれないが、自分は充実した人生だったように思う。
ボケてたみたいだけれど、愛おしい記憶は最期まで忘れなかったよ。
◆◆◆
死んだら、人はどこにいくのだろう?
そう思っていたら、転生して生きていた。なんでや。
二度目の人生の家庭環境は最悪だった。暴力こそ振るわれなかったがネグレクトだった。自分から催促しなければ、なにもしてくれなかった。毒親から生まれちまったなぁと思い、幼いながら必死に生きていたら不気味がられさらに悪循環。
家にはほとんど人がいなかった。もういっそ児相に自ら通報してやろうかと思ったが、集団生活できるか不安なのでやめた。前世の記憶を持ったまま子供らしくもできなかったので、あいかわらず友達は少ないし。しかし、このままでは大人になる前に死ぬ危機があるから、めちゃまわりの大人たちに媚びまくった。子供の皮を被りいい子演じた。まわりも騙されてくれたずる賢い先輩や、腹黒い先輩たち、たくましく生きる先輩たちの姿を思いだし、必死に生きた。
いじめられたりもしたが、慈悲の精神に基づきやられたらやり返せ精神で、お礼参りしてたらいつの間にかクラスの裏の支配者になってしまった。とんだオクタヴィネルの悪影響。まさか餞別に教えてくれた、ジェイド先輩の裏垢特定技能や、イデア先輩のパソコンスキルが役立つなんて、業の深い世界に生まれてしまった。
そうこう過ごしているうちに、私は無事16歳まで生き残れた。その頃には、心優しい大人たちが私の家の事情を気にかけてくれ、動きだしている時期だった。この生活にもすっかり慣れている。
16歳なら一人でなにかとできるよなとNRCの学生たちを思い出しながら、あいつら精神年齢高かったよなと思い出に浸っていた。
◆◆◆
だから、まさか。
また、あの時と同じようにーーーグリムと出会うと思わなかった。その甲高い声を聞いた瞬間、私はその存在を勢いよく抱きしめた。
「なにするんだゾ!!」
腕の中で暴れる存在を決して離さないように。
今度はこの世界で、この相棒と生きていこう。
◆◆◆
一度目を乗り越えている私は吹っ切れていた。重要と思えない出来事はスキップしようと決めた。
グリムの生意気な態度を懐かしみつつ、だいしゅきホールドしていたので式典の騒動は安全にスキップできた。闇の鏡の公開処刑は回避できなかった。グリムつき図書室のイベントで、学園長が追いださせるように不安を煽ってきたので、ありがたく出ていこうとしたら逆に止められた。
この学園には思い出はあるし、みんなともう一度会いたい気もする。しかし、初見の態度は最悪だしロクな人間がいないので、あの人数ともう一度最初から人間関係を築くのは面倒くさいと思った。前世の知識を生かして、外の世界で生きていけるスキルは身につけている。なんやかんや学園にみんなもスキルを身につけるのに手伝ってくれたし。もし戻れなかった場合のために、雇用とか頼れる機関とか調べていた。すべて終わってから学園長に、異世界人が迷いこんで来たら保護する機関があると教えてくれた時は、学園長このヤロウ!と思ったものだ。最初からこの人…鴉の掌の上だったんだからさ。
なので、今回はこの人には振り回されない。一度目の学園長の恨みはこの世界の学園長に関係ないが、振りまわそうとするなら私は防衛手段にでるよ。
出て行く気満々の私を、引き止めるために条件がどんどんパワーアップしていった。最終的に、オンボロ寮は学園長の高度掃除魔法で綺麗にしてもらって魔法でセキュリティ厳重してもらった。生活費も充分もらった。式典で女の子バレしてるからそこらへん不安だし。この時ばかりは、アズール先輩の弁舌講義術に感謝した。
なのに。
「私、優しいので!」
いつもの口癖を言うクロウリー学園長から、どう見てもスカートが渡される。おい、どういうことだ。男子校なのになんで女子の制服あるんだ。
「ここは男子校のはずですよね。〝自分〟は男子の制服でいるべきでは?たださえ女子なのにそれを象徴するスカートなんか履きたくありません」
「貴女は〝特別〟です。女の子らしく生活できるように、危なくないよう配慮しましょう」
「話聞いてねぇ!」
学園長はあいかわらず、話を聞いてくれないし押し付けがましい。ズボンもらえなかった。ズボンはどこかで入手しねぇと。もろもろ条件は変わったものの、雑用からはじめる手筈になった。
仕方がないので、せめて髪をばっさりきった。ズボラなので切るのめんどくさくて放置していただけだからすっきり。ちょっとアニメっぽい髪型になったが、ここではそんなに目立たないだろう。個性的自己主張激しいやつ多いし。
「お、おまえ、女の子なんだろ?そこまでしなくてもいいんじゃないか…?」
「グリム、よく聞いて。この学園はロクなやついないから自己防衛しなきゃダメなんだよ。大丈夫、グリムは私が守ってあげるからね」
「おまえがオレ様守るの!?」
グリムがオバブロしたとき絶望したからね。ツノ太郎がいなかったら本当にツンデタ。ディアソムニア時も大変だったけれど。
それからゴーストのおっちゃんたちに、再会した時はついに涙腺が号泣した。二度目の人生で初めて泣いた。やっぱり私はここが好き。仲良くなって、学園からでていく時にゴーストたちもついてきてくれるようになんとかしよう。グリムのしつけは確実に優先するし、絶対目は離さないからな。
おまえは私と幸せになるんだよ!
◆◆◆
だいしゅきホールドでグリムを抱きかかえ、石像黒焦げシャンデリア破壊事件は阻止したはず。なぜかエースとデュースが食堂に入ってくるタイミング。強制的に言うこと聞かせたグリムと窓拭きしていたら、シャンデリアが壊れた。そして、濡衣を着せられ鉱山へGO!
髪のことで学園長は驚いていたがスルーした。仲良くなったエーデュースに、土下座で頼み込み予備のズボンを買い取る。これでなんちゃって男装セットは揃ったゾ!胸はまな板だから大丈夫!つぶすほどでもない。ワイシャツ、カーディガン?、このブレザーぶかぶかだし大丈夫でしょ!
それからは、トントン拍子に事件は起こっていく。回避しようと思ってもオバブロは起こってしまう。これが世界の修正力?と厨二病思考になったが、学園長が暗躍してるに違いない。
スカラビア事件までかれこれ四ヶ月あっという間だった。
どうやら、この世界は〝一度目のツイステッドワンダーランド〟ではないようだ。
いくつもの相違点。
まあ、私もグリムのイソギンチャクとか、グリムの失言とかフォローしまくったり、グリムのオバブロ絶対阻止のため、グリムや他の人に見つかる前にすべての黒い石を回収した。オバブロは私が回避する!
前回と同じようにある程度の物事は進むが、どの寮へ行ってもなぜかみんな好意的なのである。さほど関わってないにも関わらず好感度MAXだし、女の子扱いしてくれる。スカートとか勧めてくる。抱きついてくる。
一度目と違いすぎてビビった。前回は年数が経ってそこそこ仲良くなったけれど、ギブアンドテイクだったし。距離感が違いすぎるのだ。ゲロ甘なのツノ太郎くらいなものだったのに、ツノ太郎並みのゲロ甘ヤロウどもが増えた。え?ナニコレ?逆ハーですか?
特に期末テスト事件後の、オクタ悪徳三人衆の変貌ぶりには白目向きそうになった。好感度MAXで迫りくる1メートル90センチの巨人ならぬ人魚ウツボブラザーズとか、優しすぎるアズール先輩とか前回との解釈違いで脳が追いつかない。
話すときは話すし絡む時は絡むけど、基本的にタダで情けはかけてくれない人魚たちだった。シビアでドライ。予定調和を嫌い、束縛を嫌い、運だのみをきらい、自分たちの実力で成り立ち。時に学園長すら脅すそこら辺の大人より大人らしい一つ上の先輩。自分たちで商売してるくらいだから、ものすごい忙しい人たちだった。フロイド先輩は機嫌がいいとき絡みにきたけどさ。無駄話に付き合ってくれるのなんて、元の世界に帰る間際くらい。ガッツリ絡んだのスカラビア事件くらいだ。でも、すごく感謝してるし尊敬してる。色々なスキルが役立ったから。
比較して、この世界。
フロイド先輩はどこでもギュと抱きついてくるし、ジェイド先輩はなにかと部活とかラウンジに誘ってくるし、アズール先輩はテンプレツンデレかましてくるし、距離感バグってる。おまえら誰だ。ツノ太郎か。この三人が近づいてくるたびに、同年代が逃げるし。グリムは常にだいしゅきホールドしてし、ジャックは一緒にいてくれるけど。
でも、ツノ太郎とはエンカウントしていない。マジフト事件のとき出会わなくて、エキシビションの円盤直撃回避したから、マジフト大会普通に楽しんで試合も見た。凄かったな。選手のツノ太郎のプレイ。期末テスト事件の時も出会わなかったから、今回は仲良くはなれないかもしれないな。後からホリデーカードくれたの知ったとき嬉しかったのにな。ツノ太郎との思い出がありすぎるから、かえってよかったとも思った。ドラゴン姿見せて乗せてくれるくらいの仲だったもん。なんか仲良くなって違っていたらイヤだし。今回は遠い人なのでツノ太郎て呼ばないように気をつけてる。
そして、一番の相違点。
どうやらこの世界には私と同じ存在の子がいるらしいと、期末テスト事件のとき学園長から聞いた。その情報に食いついた。詳しい事情を聞いたら、一年前に同じ感じで来たらしい。
一回目の時にはいなかった存在。
彼女はオクタヴィネル寮の二年生。
しかも魔法が使える。うらやま。
学園長曰く、みんなから愛されている子なんだそうだ。男装させずにオンボロ寮に住まわせてあげようとしたら、断られて自ら男装してひっそり暮らす奥ゆかしい子なんだと。大袈裟に泣き真似していた。
それなら、私も奥ゆかしい子なんですけど?と言うと、学園長からこんな返答。
「貴女、図太すぎるんですよね」
仲良くなったらアズール先輩とジャミル先輩に、学園長の弱味バラしておこうと思った。
◆◆◆
他の先輩や、オクタ三人衆からその存在を聞いたことがない。一番安全圏そうなアズール先輩におだてて、それとなく聞いてみたら実情が語られた。この世界のこの人ちょ……ゲフンゲフン。
ものすごく努力家で、一生懸命で……ベラベラと1時間は語ってくれた。彼女は僕たちに隠れて泣いている。無理矢理男装してるとか髪は切りたくなかったとか、悲痛そうな表情で語られる内容に学園長との話の差異に不思議に思う。
その姿を確認できたのは、スカラビア事件のときにプリズンブレイクして魔法の絨毯でラウンジにツッコンだときだった。ジェイド先輩いがいの反応は前回とよく似ていたと思う。フロイド先輩は知らない先輩を庇っていたし、アズール先輩はツンデレ成分多めの同じ台詞だったけれど、助けを求めた。また監禁されたくないからね!
ツケは学園長に払わせるとして、オンボロ寮に帰ろうとしたら捕獲された。やっぱりダメか。スカラビア事件はヤバイので誰かが止めなきゃいけないのはわかってはいるんだけどね。
話し合いを黙って聞いていたその人は、フロイド先輩はサンゴちゃんと言っていた。
「俺はここに残っているよ」
「え[D:12316]サンゴちゃんいないと楽しくないよ」
「足手まといになるし、ここにいるよ」
「一人は危ないよ」
食い下がるフロイド先輩と残るというサンゴちゃん先輩。
フロイド先輩の初めて見る優しい顔に驚いた。
(おお、これはこれは……?)
こちらを辛そうに見たから、バッチリ目を合わせた。どっからどう見えても女の子だった。サラシで胸潰しいるのであろうがたわわなお胸であることはわかった。おっぱいデカいぞあのねーちゃん。こちら見るその視線に、どんな人物かを見定める。二度目の人生が散々だったから、人間性を見る癖がついてしまった。
「先輩も力を貸していただけないでしょうか?」
サンゴちゃん先輩は、驚いた表情する。まさかそう言われると思っていないかのような表情。
「俺はこの三人みたいにすごい力なんてないからね。それに、キミみたいに〝特別〟な〝魅力〟も持っていない。足を引っ張るよ……」
(魔法使えちゃう人間がそれを言いますか)
辛そうな表情。どっかで見たことあるぞこの演技。ああ………ジャミル先輩だ!あの人演技本性知ってるとわざとらしくて何回か吹きそうになった。わかりやすいのになんで前回騙されちゃったんだろう。ユニーク魔法はしっかり使われた!
視線の中に嫉妬を感じた。オンナのジュラシーだ。たぶん、この人フロイド先輩にホの字だ。ため息つきそうになる。仲良くできなさそうだな。男の絡みは、女と女は色々あるんだ。
それから、ちょっと起こるエピソードが違ったりして、だいたい前回と同じだった。
それからさらに数ヶ月経ったある日だ。成り行きでフロイド先輩の恋バナ相談にのる機会があり、アオハルなフロイド・リーチの17歳部分を目撃してキュンとしたので、私は赤飯炊きたい気分。あの、フロイド先輩が好きな女の子の話をして顔を赤らめているのである。サンゴちゃんとのラブ、ぜひ応援したい。
しばらくサンゴちゃん先輩周辺を見ていたが、サンゴちゃん先輩人気あるんだな。コレが。
サンゴちゃんへのおそらくラブ抱いているのを、知ってる二年生全員だ。ヤベェ。いや、ジェイド先輩だけちょっと謎。一年生は関わりあんまないっぽいし、三年生は見守っているような感じだ。ツノ太郎はサンゴちゃん先輩にも関わっていない。この世界のツノ太郎ぼっちなのかな……
◆◆◆
そんな時、ジェイド先輩が奇妙なことを言っていた。
「貴女は〝彼〟に嫉妬しないんですね」
楽しそうな歪んだ表情。その表情に懐かしさを覚える。
「ジェイド先輩楽しんでますよね」
「さて、なんのことでしょう?」
「フロイド先輩のアオハル、大切して下さいね」
「は?」
「大事な片割れの初恋くらい応援してあげて下さい。先輩ひっかき回しそうだし」
「えっと、貴女はフロイドに好意を抱いているんじゃないんですか?」
「先輩としては好きですが……恋愛したいわけじゃないですよ?」
なぜ、そう思ったんだろうか。
end
◆
【フロイド先輩の恋バナ相談】
サンゴちゃんが冷たくて、サンゴちゃんのことになると胸が苦しくなるらしいフロイド。
「フロイド先輩はそれは、恋です!」
「深海に引きづりこめばいいじゃないですか。両思いなんだからハッピーエンドですよ!」
「ヤだよ!引かれるじゃん!」
ビシッと人差し指をフロイド先輩に指摘する監督生。サンゴちゃんが冷たいのは、他のメス(監督生)へのスキンシップのせいだと監督生は主張する。陸に女はめんどくさいことと、陸の女の恋愛(少女漫画の知識)をフロイドに教えていくが……サンゴちゃん先輩にオクタ三人衆を押しつけよう。なんか嫉妬されるのイヤよ。
◆◆◆
【偶然、胸触るお約束ハプニング】
アズール「あの、その、まさか。貴女、サラシか下着身につけていないんですか……?」
監督生「必要ないんでつけてないです。ブレザーごついし」
ジェイド「いや、ダメでしょう」
アズール(鼻血噴出)
鼻血が顔面にかかる監督生「ぎゃあああああ」
アズール「さ、さ、触ってしまっ………」
ジェイド「アズール、落ちついて下さい。監督生さんの顔が血塗れです」
監督生「ジェイド先輩、顔拭く振りしてどさくさにまぎれて胸部触ってません?」
ジェイド「気のせいじゃないですか?」
◆◆◆
【善意だったんだ】
サンゴちゃんと監督生に、帰る方法があると知らしめる学園長。軽く不穏な空気のNRC生徒陣。
部屋に呼ばれる二人。女監督生のくせに、男装のフリして何がしたいのと思い通りいかなかったオバブロしそうなサンゴちゃん。
フロイド先輩と相思相愛だと知ってる(思い込んでる)監督生
「じゃあ、帰らなきゃいいんじゃん!」
そおおおいと鏡を叩き割る監督生。
バッリーンと割れる鏡(被害者)
騒ぎを聞きつけて駆けつける二・三年生。
アオハル展開が修羅場に。
監督生「エースーーー!デュースーーー!ジャックーーー!エペルーーー!セベクーーー!助けてええええええ!!!いやああああああ。フロイド先輩がオーバードロップするうううううううう!!!」
「「「「「はああああああああ!?!?」」」」」
セベク「どういうことだ!?」(馬鹿でかい声)
監督生「うるさっ!サンゴちゃん先輩とのアオハルを成功させようとしたんだよ!?だってあの二人両片思いじゃん!気持ちを告げずに、引き離された方が残酷じゃない??」
ジャック「何した!?」
監督生「目の前で帰る鏡をこう、バリーンと割った!!それで、サンゴちゃん先輩も喜ぶと思ったのに発狂しちゃって、フロイド先輩が慰めようとしたら、フロイド先輩のラブが全否定されてジェイド先輩との比較で地雷をタップダンス、修羅場!!」
デュース「意味がわかんねぇ!馬鹿か!?」
エペル「バカかオメェ!」
エース「お前まで帰れなくなっちまっただろう!」
監督生「え?帰らないよ。グリムとこの世界で永住するし」
「えっ???」
◆
監督生
前回
性別不明/あんまり性別気にされなかった
今回
性別はっきり女の子/自ら男装監督生に変身/家庭環境が最悪/ヤバい世界線に転移
名前
ユウ/メンタルオリハルコン/モロバレ男装ノリノリ/女の子らしさは皆無/フラグ検定一級建築士
ゲームより監督生が一回目を色んな困難を乗り越えながら無事ハッピーエンドクリアして、キャラとの関係は友情円満のまま元の世界に戻って普通に長生きして寿命で死んだ。なぜか元の世界で転生したが、一回目より家庭環境が最悪でなんとか脱出しようかなと思っていたところに、またツイステ世界に招かれてしまう。正直ラッキー。一回目は元の世界の未練で後悔しない選択をしたけれど、今回はツイステ世界で永住してグリムと生きてこうと思ってる。キャラたちには友情的な感情しかないので、二回目のキャラたちの行動や態度におま誰状態。もしかしてパラレルワールド?一年前からきたnot監督生男装主に勘違いされてるの誤解ときたいし、別に彼女のこと嫌いじゃないしよく知らないから好きでもない、その辺にいる先輩という認識。無自覚にヴィラン、二度目なので吹っ切れてる。
◆◆◆
not監督生男装主
名前が思いつかない/あだ名サンゴちゃん(思いつかなかった)/オクタヴィネル寮二年生
二回目の世界にいる存在。ツイステのことはゲームで知ってる世界の子で、ゲームの予定通りに登場した監督生の存在に居場所を奪われ絶望ーーーと思いきや、それが目的だったりする。テンプレ展開キタコレ!この位置にいるのをいいことに絶望して暴走したりして、みんなから愛されたいタイプ。傍観主の亜種系。でも、別に誰かを陥れたいとか仲違いさせたいとかじゃない。ただある程度ちやほやされたかっただけ。お気に入りは特にジェイドとフロイド。本気でこっちで住む気はない元の世界にその内帰れるでしょと思っていたんだけれど……加害者であり被害者でもある。
◆◆◆
二回目世界線ツイステキャラ
ゲームよりベースの二次創作夢より/考察系の世界線要素/ランダム周回ループ記憶持ちはヤンデル/倫理感も歪んでいる/前回とは違う世界戦なのでこの監督生との記憶はない/監督生やnot監督生の存在がめちゃ特別になる世界線
これまで
最初の方はなんとか彼らなりのハッピーエンドを目指していた。周回ループで色んな情報・記憶すり合わせ最悪の未来を回避しようとしてーーーそれでも辿りつかなかった。もう、いいや。疲れた。どうせその先になんて進めないんだと諦めた。久しくゲームのような展開はおこっていない。くるくる廻る世界でそれなりに楽しもうとした。それからは、色んな監督生やnot監督生が来るたびに恋愛したり取りあったり恋人になっても、最悪の未来で死んでしまったり、途中で帰り方がわかり帰ってしまう。中には監督生・not監督生にガチ恋してヤンデレしてしまったら全力で嫌がられて泣かれトラウマになちゃった奴もいる地獄。学園長はすべての記憶を持ってるので更に地獄。心が灰になってしまっている。ランダム周回記憶持ちは監督生と関わらずにいるタイプが多い。なにしても精神削り取られるから。今回not監督生男装主が優勢
監督生に対して
いつもの監督生よりバグってて困惑してる。普通に接してるのに不気味がられるので『??』状態。監督生が積極的オバブロ解決していくので、少しだけ希望を見いだし始めていた。助けにいこうとしたら自分で打開される。助けてあげるから大人しくしてて!
not監督生に対して
自分たちも言えないがお願い話を聞いてくれ。彼らなりに男装主を大切にしてるのになにが気にくわないんだ?なおモブいがいの主要キャラは女の子と気づいている。記憶なしガチ恋勢は結婚する前提で大切にしようとしている。記憶あり勢は頼むからあいつら(ガチ恋勢)のこと大切にしてくれよと祈ってる。
周回記憶ループ設定
三年生
全員周回ループ記憶あり、周回回数はバラバラ。not監督生男装主と監督生にはあまり関わらず。傍観だけど、監督生に希望を見いだしはじめてる?マレウスさん、以前女監督生にガチ恋してトラウマ持ち。もう貝のように心を閉ざしている。今回に限って大誤算。立ち回り方で監督生、お前の眷属になってくれるかもよ。ツノ太郎に好意的だし。グリム魔獣だから長生きだし。リリアさん、監督生の様子に観察してる。マレウス、早く気づかいないととられてしまうぞ。
二年生
ジェイドいがい周回ループ記憶なし。彼女の努力は知ってるから、同年代の二年生は彼女のことが好きなってるけど、できれば両片思いのフロイドと幸せになってほしいと思っていたけれど………?カリムは圧倒的光属性なので、監督生の可能性に期待している。それに加えてサンゴちゃんの存在もちゃんと大切にしている。ジェイドさん、元々愛情重いタイプのジェイドなので、周回ループで倫理感がぶっ壊れている。その一回のループごと一人の人間を愛す場合、男監督生にも女監督生にもnot監督生にもガチ恋して色々やらかした経験あり。それも楽しんでいたけれどちょっと疲れてる。二年生で自分いがい周回ループ持ちがいないため歯痒い気持ちもある。ゆえに監督生に存在に希望を見いだしてるし利用する気満々。フロイドのことが好きなら、自分も共有してしまおうとか怖いこと考えていた。恋愛感情はなかったが、目論見外れて少し監督生、個人に興味を持つ。鏡破壊事件でガチ惚れてしまうかもしれない。帰る心配がないのなら手に入れる可能性がある。アズールとフロイドいがい(身内になって欲しくないので)他の男は、サンゴちゃんに誘導させればいいと綿密に計画立てはじめるかも。積極的にアプローチが開始される。経験上、サンゴちゃんはさっさと帰ってしまうタイプと見抜いているため。アオハルフロイドのことが心配。
一年生+オルト
全員記憶なし。監督生のことは女と知っているけれど、性格がアレなので男友達の感覚。見た目の男装も効果は発揮してる。ジャックとエペルとエースは、厄介な先輩に気に入れれそうだよなとそっと守っている。デュースとセベクも無意識に守ってる。オルト、ビームは準備OK。一年組は天使、天使しかいない。エースはスカラビア事件のオアシスの時に、ジェイドの監督生を見る目つきヤバイのを気づいたので、一年生たちに相談しようか悩んでる。
グリム
記憶なし。監督生の溺愛っぷりが怯えてる部分ある。でも、少し寂しそうに自分を見る目に誰かを重ねているのを知りつつも、自分なりに大事しようと思った。通常より大人しい。一緒に生きてくれる?と監督生にプロポーズまがいなこと言われて、え?本気??の状態。
学園長
周回ループ全記憶持ち。not・監督生の数だけ振り回されてきた。心は灰。今回の監督生に大きな希望を見いだしているのはこの人だったりする。長命の勘で、逃してはいけないと言っている。そのはずなんだけど、鏡を叩き割られずっこけた。サンゴちゃんのみ返す予定だった。
20/6/21
旧タイトル【二度目の監督生は二人を応援したかった】
その思考回路は、無自覚に。良かれと思った善意は傲慢でヴィランに染まっているとは彼女は気づかない。100%の善意で彼女は今回も捻れに捻れた世界でハッピーエンドを目指すつもりだった。原作軸をハッピーエンドで終了して帰還した監督生が、転生してもう一度並行世界のワンダーランドに迷いこんでしまう。その世界のかつての親友たちや先輩たちの様子が違っていて戸惑う話。オチなし。
二番煎じ/監督生(性別不明→女(男装))/四章までバレあり、五章以降は捏造部分が多い/描写はないものの虐待設定あり/フロイド先輩→←not監督生男装主という要素あり/監督生に現在は矢印向いていなさそうですが?/色んなものがごちゃ混ぜ/書きたいところを書いた(シーン抜粋風)
◆
私には。
前世の記憶がある。
16歳まで普通の子供として生きてきた自分は、ある日突然転移して数年間別の世界で過ごした。ツイステッドワンダーランドという、魔法、獣人、人魚、妖精などなどファンタジーあふれる世界だった。仲良くなった人々と最悪の未来を回避しハッピーエンドで終わり、元の世界に戻った児童文学のような記憶。元の世界に戻ったら、来たときと同じ時間だったみたいで安心した。
あの世界の記憶は誰にも話さなかったけれど、元の世界にもそう馴染めなかった。元から浮いていたのもあったし。友達も必要最低限いらないと思った。
あれ以上の人間関係を作ることなんてできなかった。
なんやかんや巻き込んで利用したりするくせに、本当に困ったときプライド殴り捨ててでも助けに来てくれた同年代の友人たち。腹に底は見えない、本心は話してくれない、タダで助けてくれないくせに、時にそっと力を貸し言い訳つけて誤魔化してなんだかんだ助けてくれた先輩たち。大人の事情でふりまわすくせに、最終決戦は命がけで守ってくれた学園長と先生たち。
自分にとって大切なのは、血の繋がった家族だけだったから。戻ってきた後悔はない。
ーーーううん、違う。
誰かと家族になろうとしても、あの世界での家族。オンボロ寮のことを思いだすのだ。大切な相棒のグリムやゴーストのおじさんたちを思いだすのだ。
『……一緒にいてほしいんだゾ』
寝言でグリムが呟いたのを聞いたことがある。
起きている時は絶対そんなこと言わないし、学園長に元の世界へ帰る方法を発破かけてくれたりした。言うことはあいかわらず聞かないのに、悲しいときそっといつも寄り添ってくれた。彼とも色んなことがあったけれど、彼の本心を聞いてひっそり泣いた。でも、自分は別の世界の人間だ。帰らなければならない。元の世界に未練がある。
ーーー本当に?
この世界とあの世界に通じる道は方法は他にあったんじゃない?探す努力を放棄したんじゃない?戻らなくてもよかったんじゃない?
ほんの少し心のどこかで未練があった。
会いたいと思ったときがある苦しくて苦しくて、日記にあの世界での出来事を物語風に書いたりして紛らしたりしたこともある。
それでも、何事もなく高校生活は送り、普通に大学受験して合格して、成人して、社会人になって、年をとりいつの間にか死んだ。いっぱいガムシャラに働いて金に若干がめつくなったから、老後用の施設にお金が貯めといた。その影響はどこぞの鴉や胡散臭い人魚たちの影響もあるけれど。
両親は寿命で亡くなってから、最期まで一人で生きた。
他者から見たら孤独のように見えたかもしれないが、自分は充実した人生だったように思う。
ボケてたみたいだけれど、愛おしい記憶は最期まで忘れなかったよ。
◆◆◆
死んだら、人はどこにいくのだろう?
そう思っていたら、転生して生きていた。なんでや。
二度目の人生の家庭環境は最悪だった。暴力こそ振るわれなかったがネグレクトだった。自分から催促しなければ、なにもしてくれなかった。毒親から生まれちまったなぁと思い、幼いながら必死に生きていたら不気味がられさらに悪循環。
家にはほとんど人がいなかった。もういっそ児相に自ら通報してやろうかと思ったが、集団生活できるか不安なのでやめた。前世の記憶を持ったまま子供らしくもできなかったので、あいかわらず友達は少ないし。しかし、このままでは大人になる前に死ぬ危機があるから、めちゃまわりの大人たちに媚びまくった。子供の皮を被りいい子演じた。まわりも騙されてくれたずる賢い先輩や、腹黒い先輩たち、たくましく生きる先輩たちの姿を思いだし、必死に生きた。
いじめられたりもしたが、慈悲の精神に基づきやられたらやり返せ精神で、お礼参りしてたらいつの間にかクラスの裏の支配者になってしまった。とんだオクタヴィネルの悪影響。まさか餞別に教えてくれた、ジェイド先輩の裏垢特定技能や、イデア先輩のパソコンスキルが役立つなんて、業の深い世界に生まれてしまった。
そうこう過ごしているうちに、私は無事16歳まで生き残れた。その頃には、心優しい大人たちが私の家の事情を気にかけてくれ、動きだしている時期だった。この生活にもすっかり慣れている。
16歳なら一人でなにかとできるよなとNRCの学生たちを思い出しながら、あいつら精神年齢高かったよなと思い出に浸っていた。
◆◆◆
だから、まさか。
また、あの時と同じようにーーーグリムと出会うと思わなかった。その甲高い声を聞いた瞬間、私はその存在を勢いよく抱きしめた。
「なにするんだゾ!!」
腕の中で暴れる存在を決して離さないように。
今度はこの世界で、この相棒と生きていこう。
◆◆◆
一度目を乗り越えている私は吹っ切れていた。重要と思えない出来事はスキップしようと決めた。
グリムの生意気な態度を懐かしみつつ、だいしゅきホールドしていたので式典の騒動は安全にスキップできた。闇の鏡の公開処刑は回避できなかった。グリムつき図書室のイベントで、学園長が追いださせるように不安を煽ってきたので、ありがたく出ていこうとしたら逆に止められた。
この学園には思い出はあるし、みんなともう一度会いたい気もする。しかし、初見の態度は最悪だしロクな人間がいないので、あの人数ともう一度最初から人間関係を築くのは面倒くさいと思った。前世の知識を生かして、外の世界で生きていけるスキルは身につけている。なんやかんや学園にみんなもスキルを身につけるのに手伝ってくれたし。もし戻れなかった場合のために、雇用とか頼れる機関とか調べていた。すべて終わってから学園長に、異世界人が迷いこんで来たら保護する機関があると教えてくれた時は、学園長このヤロウ!と思ったものだ。最初からこの人…鴉の掌の上だったんだからさ。
なので、今回はこの人には振り回されない。一度目の学園長の恨みはこの世界の学園長に関係ないが、振りまわそうとするなら私は防衛手段にでるよ。
出て行く気満々の私を、引き止めるために条件がどんどんパワーアップしていった。最終的に、オンボロ寮は学園長の高度掃除魔法で綺麗にしてもらって魔法でセキュリティ厳重してもらった。生活費も充分もらった。式典で女の子バレしてるからそこらへん不安だし。この時ばかりは、アズール先輩の弁舌講義術に感謝した。
なのに。
「私、優しいので!」
いつもの口癖を言うクロウリー学園長から、どう見てもスカートが渡される。おい、どういうことだ。男子校なのになんで女子の制服あるんだ。
「ここは男子校のはずですよね。〝自分〟は男子の制服でいるべきでは?たださえ女子なのにそれを象徴するスカートなんか履きたくありません」
「貴女は〝特別〟です。女の子らしく生活できるように、危なくないよう配慮しましょう」
「話聞いてねぇ!」
学園長はあいかわらず、話を聞いてくれないし押し付けがましい。ズボンもらえなかった。ズボンはどこかで入手しねぇと。もろもろ条件は変わったものの、雑用からはじめる手筈になった。
仕方がないので、せめて髪をばっさりきった。ズボラなので切るのめんどくさくて放置していただけだからすっきり。ちょっとアニメっぽい髪型になったが、ここではそんなに目立たないだろう。個性的自己主張激しいやつ多いし。
「お、おまえ、女の子なんだろ?そこまでしなくてもいいんじゃないか…?」
「グリム、よく聞いて。この学園はロクなやついないから自己防衛しなきゃダメなんだよ。大丈夫、グリムは私が守ってあげるからね」
「おまえがオレ様守るの!?」
グリムがオバブロしたとき絶望したからね。ツノ太郎がいなかったら本当にツンデタ。ディアソムニア時も大変だったけれど。
それからゴーストのおっちゃんたちに、再会した時はついに涙腺が号泣した。二度目の人生で初めて泣いた。やっぱり私はここが好き。仲良くなって、学園からでていく時にゴーストたちもついてきてくれるようになんとかしよう。グリムのしつけは確実に優先するし、絶対目は離さないからな。
おまえは私と幸せになるんだよ!
◆◆◆
だいしゅきホールドでグリムを抱きかかえ、石像黒焦げシャンデリア破壊事件は阻止したはず。なぜかエースとデュースが食堂に入ってくるタイミング。強制的に言うこと聞かせたグリムと窓拭きしていたら、シャンデリアが壊れた。そして、濡衣を着せられ鉱山へGO!
髪のことで学園長は驚いていたがスルーした。仲良くなったエーデュースに、土下座で頼み込み予備のズボンを買い取る。これでなんちゃって男装セットは揃ったゾ!胸はまな板だから大丈夫!つぶすほどでもない。ワイシャツ、カーディガン?、このブレザーぶかぶかだし大丈夫でしょ!
それからは、トントン拍子に事件は起こっていく。回避しようと思ってもオバブロは起こってしまう。これが世界の修正力?と厨二病思考になったが、学園長が暗躍してるに違いない。
スカラビア事件までかれこれ四ヶ月あっという間だった。
どうやら、この世界は〝一度目のツイステッドワンダーランド〟ではないようだ。
いくつもの相違点。
まあ、私もグリムのイソギンチャクとか、グリムの失言とかフォローしまくったり、グリムのオバブロ絶対阻止のため、グリムや他の人に見つかる前にすべての黒い石を回収した。オバブロは私が回避する!
前回と同じようにある程度の物事は進むが、どの寮へ行ってもなぜかみんな好意的なのである。さほど関わってないにも関わらず好感度MAXだし、女の子扱いしてくれる。スカートとか勧めてくる。抱きついてくる。
一度目と違いすぎてビビった。前回は年数が経ってそこそこ仲良くなったけれど、ギブアンドテイクだったし。距離感が違いすぎるのだ。ゲロ甘なのツノ太郎くらいなものだったのに、ツノ太郎並みのゲロ甘ヤロウどもが増えた。え?ナニコレ?逆ハーですか?
特に期末テスト事件後の、オクタ悪徳三人衆の変貌ぶりには白目向きそうになった。好感度MAXで迫りくる1メートル90センチの巨人ならぬ人魚ウツボブラザーズとか、優しすぎるアズール先輩とか前回との解釈違いで脳が追いつかない。
話すときは話すし絡む時は絡むけど、基本的にタダで情けはかけてくれない人魚たちだった。シビアでドライ。予定調和を嫌い、束縛を嫌い、運だのみをきらい、自分たちの実力で成り立ち。時に学園長すら脅すそこら辺の大人より大人らしい一つ上の先輩。自分たちで商売してるくらいだから、ものすごい忙しい人たちだった。フロイド先輩は機嫌がいいとき絡みにきたけどさ。無駄話に付き合ってくれるのなんて、元の世界に帰る間際くらい。ガッツリ絡んだのスカラビア事件くらいだ。でも、すごく感謝してるし尊敬してる。色々なスキルが役立ったから。
比較して、この世界。
フロイド先輩はどこでもギュと抱きついてくるし、ジェイド先輩はなにかと部活とかラウンジに誘ってくるし、アズール先輩はテンプレツンデレかましてくるし、距離感バグってる。おまえら誰だ。ツノ太郎か。この三人が近づいてくるたびに、同年代が逃げるし。グリムは常にだいしゅきホールドしてし、ジャックは一緒にいてくれるけど。
でも、ツノ太郎とはエンカウントしていない。マジフト事件のとき出会わなくて、エキシビションの円盤直撃回避したから、マジフト大会普通に楽しんで試合も見た。凄かったな。選手のツノ太郎のプレイ。期末テスト事件の時も出会わなかったから、今回は仲良くはなれないかもしれないな。後からホリデーカードくれたの知ったとき嬉しかったのにな。ツノ太郎との思い出がありすぎるから、かえってよかったとも思った。ドラゴン姿見せて乗せてくれるくらいの仲だったもん。なんか仲良くなって違っていたらイヤだし。今回は遠い人なのでツノ太郎て呼ばないように気をつけてる。
そして、一番の相違点。
どうやらこの世界には私と同じ存在の子がいるらしいと、期末テスト事件のとき学園長から聞いた。その情報に食いついた。詳しい事情を聞いたら、一年前に同じ感じで来たらしい。
一回目の時にはいなかった存在。
彼女はオクタヴィネル寮の二年生。
しかも魔法が使える。うらやま。
学園長曰く、みんなから愛されている子なんだそうだ。男装させずにオンボロ寮に住まわせてあげようとしたら、断られて自ら男装してひっそり暮らす奥ゆかしい子なんだと。大袈裟に泣き真似していた。
それなら、私も奥ゆかしい子なんですけど?と言うと、学園長からこんな返答。
「貴女、図太すぎるんですよね」
仲良くなったらアズール先輩とジャミル先輩に、学園長の弱味バラしておこうと思った。
◆◆◆
他の先輩や、オクタ三人衆からその存在を聞いたことがない。一番安全圏そうなアズール先輩におだてて、それとなく聞いてみたら実情が語られた。この世界のこの人ちょ……ゲフンゲフン。
ものすごく努力家で、一生懸命で……ベラベラと1時間は語ってくれた。彼女は僕たちに隠れて泣いている。無理矢理男装してるとか髪は切りたくなかったとか、悲痛そうな表情で語られる内容に学園長との話の差異に不思議に思う。
その姿を確認できたのは、スカラビア事件のときにプリズンブレイクして魔法の絨毯でラウンジにツッコンだときだった。ジェイド先輩いがいの反応は前回とよく似ていたと思う。フロイド先輩は知らない先輩を庇っていたし、アズール先輩はツンデレ成分多めの同じ台詞だったけれど、助けを求めた。また監禁されたくないからね!
ツケは学園長に払わせるとして、オンボロ寮に帰ろうとしたら捕獲された。やっぱりダメか。スカラビア事件はヤバイので誰かが止めなきゃいけないのはわかってはいるんだけどね。
話し合いを黙って聞いていたその人は、フロイド先輩はサンゴちゃんと言っていた。
「俺はここに残っているよ」
「え[D:12316]サンゴちゃんいないと楽しくないよ」
「足手まといになるし、ここにいるよ」
「一人は危ないよ」
食い下がるフロイド先輩と残るというサンゴちゃん先輩。
フロイド先輩の初めて見る優しい顔に驚いた。
(おお、これはこれは……?)
こちらを辛そうに見たから、バッチリ目を合わせた。どっからどう見えても女の子だった。サラシで胸潰しいるのであろうがたわわなお胸であることはわかった。おっぱいデカいぞあのねーちゃん。こちら見るその視線に、どんな人物かを見定める。二度目の人生が散々だったから、人間性を見る癖がついてしまった。
「先輩も力を貸していただけないでしょうか?」
サンゴちゃん先輩は、驚いた表情する。まさかそう言われると思っていないかのような表情。
「俺はこの三人みたいにすごい力なんてないからね。それに、キミみたいに〝特別〟な〝魅力〟も持っていない。足を引っ張るよ……」
(魔法使えちゃう人間がそれを言いますか)
辛そうな表情。どっかで見たことあるぞこの演技。ああ………ジャミル先輩だ!あの人演技本性知ってるとわざとらしくて何回か吹きそうになった。わかりやすいのになんで前回騙されちゃったんだろう。ユニーク魔法はしっかり使われた!
視線の中に嫉妬を感じた。オンナのジュラシーだ。たぶん、この人フロイド先輩にホの字だ。ため息つきそうになる。仲良くできなさそうだな。男の絡みは、女と女は色々あるんだ。
それから、ちょっと起こるエピソードが違ったりして、だいたい前回と同じだった。
それからさらに数ヶ月経ったある日だ。成り行きでフロイド先輩の恋バナ相談にのる機会があり、アオハルなフロイド・リーチの17歳部分を目撃してキュンとしたので、私は赤飯炊きたい気分。あの、フロイド先輩が好きな女の子の話をして顔を赤らめているのである。サンゴちゃんとのラブ、ぜひ応援したい。
しばらくサンゴちゃん先輩周辺を見ていたが、サンゴちゃん先輩人気あるんだな。コレが。
サンゴちゃんへのおそらくラブ抱いているのを、知ってる二年生全員だ。ヤベェ。いや、ジェイド先輩だけちょっと謎。一年生は関わりあんまないっぽいし、三年生は見守っているような感じだ。ツノ太郎はサンゴちゃん先輩にも関わっていない。この世界のツノ太郎ぼっちなのかな……
◆◆◆
そんな時、ジェイド先輩が奇妙なことを言っていた。
「貴女は〝彼〟に嫉妬しないんですね」
楽しそうな歪んだ表情。その表情に懐かしさを覚える。
「ジェイド先輩楽しんでますよね」
「さて、なんのことでしょう?」
「フロイド先輩のアオハル、大切して下さいね」
「は?」
「大事な片割れの初恋くらい応援してあげて下さい。先輩ひっかき回しそうだし」
「えっと、貴女はフロイドに好意を抱いているんじゃないんですか?」
「先輩としては好きですが……恋愛したいわけじゃないですよ?」
なぜ、そう思ったんだろうか。
end
◆
【フロイド先輩の恋バナ相談】
サンゴちゃんが冷たくて、サンゴちゃんのことになると胸が苦しくなるらしいフロイド。
「フロイド先輩はそれは、恋です!」
「深海に引きづりこめばいいじゃないですか。両思いなんだからハッピーエンドですよ!」
「ヤだよ!引かれるじゃん!」
ビシッと人差し指をフロイド先輩に指摘する監督生。サンゴちゃんが冷たいのは、他のメス(監督生)へのスキンシップのせいだと監督生は主張する。陸に女はめんどくさいことと、陸の女の恋愛(少女漫画の知識)をフロイドに教えていくが……サンゴちゃん先輩にオクタ三人衆を押しつけよう。なんか嫉妬されるのイヤよ。
◆◆◆
【偶然、胸触るお約束ハプニング】
アズール「あの、その、まさか。貴女、サラシか下着身につけていないんですか……?」
監督生「必要ないんでつけてないです。ブレザーごついし」
ジェイド「いや、ダメでしょう」
アズール(鼻血噴出)
鼻血が顔面にかかる監督生「ぎゃあああああ」
アズール「さ、さ、触ってしまっ………」
ジェイド「アズール、落ちついて下さい。監督生さんの顔が血塗れです」
監督生「ジェイド先輩、顔拭く振りしてどさくさにまぎれて胸部触ってません?」
ジェイド「気のせいじゃないですか?」
◆◆◆
【善意だったんだ】
サンゴちゃんと監督生に、帰る方法があると知らしめる学園長。軽く不穏な空気のNRC生徒陣。
部屋に呼ばれる二人。女監督生のくせに、男装のフリして何がしたいのと思い通りいかなかったオバブロしそうなサンゴちゃん。
フロイド先輩と相思相愛だと知ってる(思い込んでる)監督生
「じゃあ、帰らなきゃいいんじゃん!」
そおおおいと鏡を叩き割る監督生。
バッリーンと割れる鏡(被害者)
騒ぎを聞きつけて駆けつける二・三年生。
アオハル展開が修羅場に。
監督生「エースーーー!デュースーーー!ジャックーーー!エペルーーー!セベクーーー!助けてええええええ!!!いやああああああ。フロイド先輩がオーバードロップするうううううううう!!!」
「「「「「はああああああああ!?!?」」」」」
セベク「どういうことだ!?」(馬鹿でかい声)
監督生「うるさっ!サンゴちゃん先輩とのアオハルを成功させようとしたんだよ!?だってあの二人両片思いじゃん!気持ちを告げずに、引き離された方が残酷じゃない??」
ジャック「何した!?」
監督生「目の前で帰る鏡をこう、バリーンと割った!!それで、サンゴちゃん先輩も喜ぶと思ったのに発狂しちゃって、フロイド先輩が慰めようとしたら、フロイド先輩のラブが全否定されてジェイド先輩との比較で地雷をタップダンス、修羅場!!」
デュース「意味がわかんねぇ!馬鹿か!?」
エペル「バカかオメェ!」
エース「お前まで帰れなくなっちまっただろう!」
監督生「え?帰らないよ。グリムとこの世界で永住するし」
「えっ???」
◆
監督生
前回
性別不明/あんまり性別気にされなかった
今回
性別はっきり女の子/自ら男装監督生に変身/家庭環境が最悪/ヤバい世界線に転移
名前
ユウ/メンタルオリハルコン/モロバレ男装ノリノリ/女の子らしさは皆無/フラグ検定一級建築士
ゲームより監督生が一回目を色んな困難を乗り越えながら無事ハッピーエンドクリアして、キャラとの関係は友情円満のまま元の世界に戻って普通に長生きして寿命で死んだ。なぜか元の世界で転生したが、一回目より家庭環境が最悪でなんとか脱出しようかなと思っていたところに、またツイステ世界に招かれてしまう。正直ラッキー。一回目は元の世界の未練で後悔しない選択をしたけれど、今回はツイステ世界で永住してグリムと生きてこうと思ってる。キャラたちには友情的な感情しかないので、二回目のキャラたちの行動や態度におま誰状態。もしかしてパラレルワールド?一年前からきたnot監督生男装主に勘違いされてるの誤解ときたいし、別に彼女のこと嫌いじゃないしよく知らないから好きでもない、その辺にいる先輩という認識。無自覚にヴィラン、二度目なので吹っ切れてる。
◆◆◆
not監督生男装主
名前が思いつかない/あだ名サンゴちゃん(思いつかなかった)/オクタヴィネル寮二年生
二回目の世界にいる存在。ツイステのことはゲームで知ってる世界の子で、ゲームの予定通りに登場した監督生の存在に居場所を奪われ絶望ーーーと思いきや、それが目的だったりする。テンプレ展開キタコレ!この位置にいるのをいいことに絶望して暴走したりして、みんなから愛されたいタイプ。傍観主の亜種系。でも、別に誰かを陥れたいとか仲違いさせたいとかじゃない。ただある程度ちやほやされたかっただけ。お気に入りは特にジェイドとフロイド。本気でこっちで住む気はない元の世界にその内帰れるでしょと思っていたんだけれど……加害者であり被害者でもある。
◆◆◆
二回目世界線ツイステキャラ
ゲームよりベースの二次創作夢より/考察系の世界線要素/ランダム周回ループ記憶持ちはヤンデル/倫理感も歪んでいる/前回とは違う世界戦なのでこの監督生との記憶はない/監督生やnot監督生の存在がめちゃ特別になる世界線
これまで
最初の方はなんとか彼らなりのハッピーエンドを目指していた。周回ループで色んな情報・記憶すり合わせ最悪の未来を回避しようとしてーーーそれでも辿りつかなかった。もう、いいや。疲れた。どうせその先になんて進めないんだと諦めた。久しくゲームのような展開はおこっていない。くるくる廻る世界でそれなりに楽しもうとした。それからは、色んな監督生やnot監督生が来るたびに恋愛したり取りあったり恋人になっても、最悪の未来で死んでしまったり、途中で帰り方がわかり帰ってしまう。中には監督生・not監督生にガチ恋してヤンデレしてしまったら全力で嫌がられて泣かれトラウマになちゃった奴もいる地獄。学園長はすべての記憶を持ってるので更に地獄。心が灰になってしまっている。ランダム周回記憶持ちは監督生と関わらずにいるタイプが多い。なにしても精神削り取られるから。今回not監督生男装主が優勢
監督生に対して
いつもの監督生よりバグってて困惑してる。普通に接してるのに不気味がられるので『??』状態。監督生が積極的オバブロ解決していくので、少しだけ希望を見いだし始めていた。助けにいこうとしたら自分で打開される。助けてあげるから大人しくしてて!
not監督生に対して
自分たちも言えないがお願い話を聞いてくれ。彼らなりに男装主を大切にしてるのになにが気にくわないんだ?なおモブいがいの主要キャラは女の子と気づいている。記憶なしガチ恋勢は結婚する前提で大切にしようとしている。記憶あり勢は頼むからあいつら(ガチ恋勢)のこと大切にしてくれよと祈ってる。
周回記憶ループ設定
三年生
全員周回ループ記憶あり、周回回数はバラバラ。not監督生男装主と監督生にはあまり関わらず。傍観だけど、監督生に希望を見いだしはじめてる?マレウスさん、以前女監督生にガチ恋してトラウマ持ち。もう貝のように心を閉ざしている。今回に限って大誤算。立ち回り方で監督生、お前の眷属になってくれるかもよ。ツノ太郎に好意的だし。グリム魔獣だから長生きだし。リリアさん、監督生の様子に観察してる。マレウス、早く気づかいないととられてしまうぞ。
二年生
ジェイドいがい周回ループ記憶なし。彼女の努力は知ってるから、同年代の二年生は彼女のことが好きなってるけど、できれば両片思いのフロイドと幸せになってほしいと思っていたけれど………?カリムは圧倒的光属性なので、監督生の可能性に期待している。それに加えてサンゴちゃんの存在もちゃんと大切にしている。ジェイドさん、元々愛情重いタイプのジェイドなので、周回ループで倫理感がぶっ壊れている。その一回のループごと一人の人間を愛す場合、男監督生にも女監督生にもnot監督生にもガチ恋して色々やらかした経験あり。それも楽しんでいたけれどちょっと疲れてる。二年生で自分いがい周回ループ持ちがいないため歯痒い気持ちもある。ゆえに監督生に存在に希望を見いだしてるし利用する気満々。フロイドのことが好きなら、自分も共有してしまおうとか怖いこと考えていた。恋愛感情はなかったが、目論見外れて少し監督生、個人に興味を持つ。鏡破壊事件でガチ惚れてしまうかもしれない。帰る心配がないのなら手に入れる可能性がある。アズールとフロイドいがい(身内になって欲しくないので)他の男は、サンゴちゃんに誘導させればいいと綿密に計画立てはじめるかも。積極的にアプローチが開始される。経験上、サンゴちゃんはさっさと帰ってしまうタイプと見抜いているため。アオハルフロイドのことが心配。
一年生+オルト
全員記憶なし。監督生のことは女と知っているけれど、性格がアレなので男友達の感覚。見た目の男装も効果は発揮してる。ジャックとエペルとエースは、厄介な先輩に気に入れれそうだよなとそっと守っている。デュースとセベクも無意識に守ってる。オルト、ビームは準備OK。一年組は天使、天使しかいない。エースはスカラビア事件のオアシスの時に、ジェイドの監督生を見る目つきヤバイのを気づいたので、一年生たちに相談しようか悩んでる。
グリム
記憶なし。監督生の溺愛っぷりが怯えてる部分ある。でも、少し寂しそうに自分を見る目に誰かを重ねているのを知りつつも、自分なりに大事しようと思った。通常より大人しい。一緒に生きてくれる?と監督生にプロポーズまがいなこと言われて、え?本気??の状態。
学園長
周回ループ全記憶持ち。not・監督生の数だけ振り回されてきた。心は灰。今回の監督生に大きな希望を見いだしているのはこの人だったりする。長命の勘で、逃してはいけないと言っている。そのはずなんだけど、鏡を叩き割られずっこけた。サンゴちゃんのみ返す予定だった。
20/6/21