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【WT】大和撫子には程遠い【ヒュース】

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『ただいま』と玄関のドアを開けば遠くから陽太郎の元気な声で「おかえり」と返ってくる。リビングに入り鞄を置き、手を洗っていると、ガチャっと開いたドアから陽太郎がひょこっと顔を覗かせた。




陽太郎「くんくん、このニオイは……」



『たい焼きだよ。陽太郎の分もあるけど今食べる?』



陽太郎「たべる!」



お皿を取り出してひとつ乗せれば「ヒュースの分も」と言われたので、もうひとつ追加で乗せた。



『下で食べるの?』



陽太郎「もちろん。いまいいところだからな!」



『ゲーム?』



陽太郎「まぁ、そんなところだ」




そう言って2人分のたい焼きが乗ったお皿を持ちトコトコと部屋を出て行ってしまった。




『大丈夫かな……』



ノートPCを地下室に持ち込み2人で何かしているのは知ってるが「何をしているか」までは把握していない。迅が何も言ってこないところをみれば、大丈夫だろうと思うけど。









B級ランク戦ROUND4。二宮隊、影浦隊、東隊、玉狛第2の四つ巴。今日は私を含む4人で観戦していた。





二宮隊、影浦隊は元A級で東さんも元A級。実質A級対B級の戦いと言っても過言じゃない。そうなると力の差は歴然で。





陽太郎「ひきょうな……!なんでみんなたまこまをねらうのか!」



ヒュース「弱いからだな。この中ではタマコマが一番隙がある」



迅「おっなんだ?詳しいね。おまえ」



陽太郎「おれがデータをたたきこんだからな」



『ふーん。そういうことね』



陽太郎がノートPCを持って行ってた理由は、これまでのランク戦の映像をヒュースに見せていたからだったのか。



ヒュース「……ヨータローには悪いが他の隊に比べて、タマコマは部隊の総合力で数段劣る」



陽太郎「でも、このまえもさいごは勝った!」



ヒュース「今回は敵の戦力もマークのされ方も違う。オレが見る限りタマコマに勝ち筋はない。逆にこれでタマコマが勝つようなら、この組織の兵のレベルを心配した方がいいくらいだ」




それにしても映像を見ただけでここまで分析できるとは。アフトの遠征部隊に所属する軍人だ。




迅「ほう、じゃあ賭けようぜ。玉狛が勝つか負けるか」



ヒュース「…………賭けだと……?馬鹿馬鹿しい……。くだらない遊びはしない」



迅「もし玉狛第二が負けたら、おれに可能な限りなんでも一つ頼みを聞いてやる。例えば……おれが預かってる、おまえの「トリガーを返す」とかでもいいぞ」




ヒュースが自国に帰りたい気持ちを考えると、この話は魅力的に見えるだろう。シンプルに言えば、賭けに勝てばトリガーが返ってくるわけだから。



迅「そのかわり玉狛第二が勝ったら当然こっちの頼みを聞いてもらう。どうだ?自信あるんだろ?」



陽太郎「……よし!おれのおやつも、たまこまにかけよう!」



『じゃあ……私もたい焼きを玉狛に賭けようかな』



「玉狛第二が勝つ」と信じてお菓子を賭けた陽太郎。その気持ちは私も同じだった。



ヒュース「貴様……何を企んでいる?」



迅「何ってただの賭けさ。分が悪い賭けは嫌いじゃないんだ」



ヒュース「…………いいだろう。そっちが出した条件だ。忘れるなよ」



迅「もちろん、さあ応援だ」






修くん、チカちゃん、遊真は緊急脱出ベイルアウトしてしまい玉狛第二の負けが決定。最終的に二宮さん、東さん、影浦先輩だけ生き残り膠着状態のまま時間切れタイムアップ。



結果__二宮隊の勝利。





その結果に不満なのか泣きながら手足をジタバタさせる陽太郎。




陽太郎「ゆるせん!みんなしてゆうまをねらいおって!」



遊真頼りになってしまっている玉狛第二にくらべ、他の隊は個人でも力を発揮できていた。それは玉狛第二に足りない要素だと私は思っている。




迅「賭けはおれの負けだな。賭けの報酬はどうする?お前のトリガー返すのでいいか?」



ヒュース「…………」



ヒュースは「こいつ……何を考えてるんだ?」という表情を浮かべていて、まさか本当にトリガーを返してもらえると思っていなかったようだ。




『決められないなら保留にすれば?』



迅「それでも構わない」



ヒュース「なら……保留だ」



迅「了解」




「トリガー返す」と言われも、すぐには決められないよね。私が同じ立場だったら、きっと同じように迷うと思う。

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