短編
名前変換
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
『福良さんって、私の事本当に好きなんでしょうか。』
「………突然だね。さっきまで僕たちコーヒーの話してたと思うんだけど。」
突拍子もない疑問に、答えてくれたのは河村さん。
オフィスには今、たまたま私と河村さんの二人で、ソファでコーヒーを飲みながら談笑していた。
律儀な性格の河村さんは、私の言葉に驚きつつもコーヒーを置いて、話を聞く体制を取ってくれた。
「なんでそう思うの?」
『福良さんって、こう淡泊というか…。』
年上彼氏の福良さんとお付き合いをして3か月。
福良さんは私が行きたいところややりたいことがあれば、それを最優先にしてくれる。
それはとても嬉しいことではあるんだけど、私が『福良さんは行きたいところありませんか?』と聞いても、「名前の行きたいと思うところかなあ」と毎回言われてしまう。
何かすれば「すごいねえ」と頭をなでてくれるし、新しく買った服をデートに着て行けば「かわいいね」とほめてくれる。
そんな一言に毎回ドキドキしてしまう私と違って、福良さんは通常営業。
福良さんにとって、私は彼女なのかそれとも妹のような存在なのか、時々わからなくなってしまう。
『福良さんって私にドキドキしてくれることあるんでしょうか。』
「さあ…」
『河村さん、福良さんと仲いいですよね。何か聞いてませんか。』
「んー、君を妹のように思っているとは言ってないけど…」
『けど…、』
その先は怖くて聞けなかった。
『私がもうちょっと大人だったら、福良さんも…!』
私はキッチンに駆け出し、冷蔵庫を開ける。
オフィスの誰かが買った缶チューハイを手に取り、
「え、ちょっと…!!」
河村さんの制止の声を無視して、一気に飲み干す。
もう一本に手を付けようとしたところで、駆け寄ってきた河村さんに奪われる。
「あなた馬鹿ですか!急性アルコール中毒にでもなったらどうするんですか!」
『だって…』
「大人って…酒が飲めることで大人になれるとでも?」
『なれないけど…うぅ…』
「ほら言わんこっちゃない」
グラっと頭が回転するような感覚に襲われ、その場にうずくまる。
河村さんは水をコップに注いでくれたが、ちっとも飲む気にはならない。
「河村ー?」
扉の向こうから河村さんを呼ぶ声がする。
その声の主は福良さんだ。
それを認識した瞬間、ガチャッと扉があいた。
「すごい大きな声出してどうした、の…………これどういう状況?」
「俺はもう知らん。あとは二人でやってくれ。」
溜息をついて河村さんはその場から立ち去る。
力の入らない体で、立ち上がった河村さんの足に寄りかかるような形で縋り、『すいませんでした…』と謝ると、途端にベリッとはがされ背面に引っ張られた。
「……福良、睨むな」
「いや、ごめん。河村が悪いわけじゃないってわかってるんだけど…反射で」
「反射で恨まれちゃたまんないよ。とりあえずちゃんと二人で話して。」
「うん、ありがと」
河村さんが部屋から出て行き、私は福良さんに担がれてソファに運ばれた。
度数の低いものだったので、水を何口か飲むと少し落ち着いた。
「…で、何でこんなことを?というか、河村と何話してたの?」
『福良さんのこと、話してました…』
「俺のこと?」
『福良さんのこと話してて、福良さん、年上だから私の事恋人じゃなくて妹みたいに思ってるんじゃないかって思って…不安になって…』
お酒が入っているのもあって、ためていた言葉や気持ちが堰を切ったように出る。
『福良さんに頭なでられるのも、褒められるのも、嬉しいけど、妹にするみたいだし、わたしばっかりいっつもドキドキしてるし、』
福良さんは何も言わずただ私の垂れ流している言葉を聞いている。
『あと、全然手出してくれないし、キスも…1回しかしたことない…私そんなに子供っぽいですか?魅力ないですか?恋人に見えないですか?私こんなに福良さんのこと大好きで毎日ドキドキしてるのに、福良さんは私にドキドキしない?』
もう自分が何を言っているのかわからなくなってきた頃、頼むから何でもいいから話してくれと、だまりこくっている福良さんに念じる。
「…どきどきしてるよ」
『え?うわっ…』
その念が通じたのかわからないが、福良さんは小さな声で何かを言った。私はそれがいまいち聞き取れなくて、聞き返そうとしたが、それと同時にグイっと腕を引っ張られ、福良さんの腕の中にすっぽり入ってしまった。
福良さんの胸に耳があたり、その鼓動の速さに驚く。
「ドキドキしてるよ。ほら。」
『ほんとだ…すごいはやい…』
「妹みたいなんて、そんな風にでも思って自分をごまかさないと名前に触れないんだよ」
でも、それで傷つけてたならごめん、と福良さんは謝った。
「名前は俺にとって初めての彼女だし、名前も俺が初めての彼氏でしょ?
だからゆっくり、恋人になっていこうと思って我慢してたんだけど…」
『我慢しないでください…さみしいです…』
「うん。これからはしない。だからキスしてもいい?」
『…はい』
福良さんの唇が触れる。
久しぶりの、2回目のキス。
唇が離れて、お互いめを合わせる。私はもう一度してほしくて、じっと彼の目を見た。
彼は目線をそらし、
「…だめ。これ以上したら我慢できなくなるから」
と言った。
『我慢しないってさっき…』
「ここオフィスだから!それに、名前のかわいいところは俺だけが知ってたい。他の奴らに見られたくない。」
『じゃあ、ここじゃなかったらしてくれますか?』
「…正直オフィスじゃなかったらもうしてるよ…。
あのさ、もし名前が良いなら、今日俺の家こない?」
私はその福良さんの言葉がうれしくて、さっきまでいた腕の中へ飛び込んだ。
「………突然だね。さっきまで僕たちコーヒーの話してたと思うんだけど。」
突拍子もない疑問に、答えてくれたのは河村さん。
オフィスには今、たまたま私と河村さんの二人で、ソファでコーヒーを飲みながら談笑していた。
律儀な性格の河村さんは、私の言葉に驚きつつもコーヒーを置いて、話を聞く体制を取ってくれた。
「なんでそう思うの?」
『福良さんって、こう淡泊というか…。』
年上彼氏の福良さんとお付き合いをして3か月。
福良さんは私が行きたいところややりたいことがあれば、それを最優先にしてくれる。
それはとても嬉しいことではあるんだけど、私が『福良さんは行きたいところありませんか?』と聞いても、「名前の行きたいと思うところかなあ」と毎回言われてしまう。
何かすれば「すごいねえ」と頭をなでてくれるし、新しく買った服をデートに着て行けば「かわいいね」とほめてくれる。
そんな一言に毎回ドキドキしてしまう私と違って、福良さんは通常営業。
福良さんにとって、私は彼女なのかそれとも妹のような存在なのか、時々わからなくなってしまう。
『福良さんって私にドキドキしてくれることあるんでしょうか。』
「さあ…」
『河村さん、福良さんと仲いいですよね。何か聞いてませんか。』
「んー、君を妹のように思っているとは言ってないけど…」
『けど…、』
その先は怖くて聞けなかった。
『私がもうちょっと大人だったら、福良さんも…!』
私はキッチンに駆け出し、冷蔵庫を開ける。
オフィスの誰かが買った缶チューハイを手に取り、
「え、ちょっと…!!」
河村さんの制止の声を無視して、一気に飲み干す。
もう一本に手を付けようとしたところで、駆け寄ってきた河村さんに奪われる。
「あなた馬鹿ですか!急性アルコール中毒にでもなったらどうするんですか!」
『だって…』
「大人って…酒が飲めることで大人になれるとでも?」
『なれないけど…うぅ…』
「ほら言わんこっちゃない」
グラっと頭が回転するような感覚に襲われ、その場にうずくまる。
河村さんは水をコップに注いでくれたが、ちっとも飲む気にはならない。
「河村ー?」
扉の向こうから河村さんを呼ぶ声がする。
その声の主は福良さんだ。
それを認識した瞬間、ガチャッと扉があいた。
「すごい大きな声出してどうした、の…………これどういう状況?」
「俺はもう知らん。あとは二人でやってくれ。」
溜息をついて河村さんはその場から立ち去る。
力の入らない体で、立ち上がった河村さんの足に寄りかかるような形で縋り、『すいませんでした…』と謝ると、途端にベリッとはがされ背面に引っ張られた。
「……福良、睨むな」
「いや、ごめん。河村が悪いわけじゃないってわかってるんだけど…反射で」
「反射で恨まれちゃたまんないよ。とりあえずちゃんと二人で話して。」
「うん、ありがと」
河村さんが部屋から出て行き、私は福良さんに担がれてソファに運ばれた。
度数の低いものだったので、水を何口か飲むと少し落ち着いた。
「…で、何でこんなことを?というか、河村と何話してたの?」
『福良さんのこと、話してました…』
「俺のこと?」
『福良さんのこと話してて、福良さん、年上だから私の事恋人じゃなくて妹みたいに思ってるんじゃないかって思って…不安になって…』
お酒が入っているのもあって、ためていた言葉や気持ちが堰を切ったように出る。
『福良さんに頭なでられるのも、褒められるのも、嬉しいけど、妹にするみたいだし、わたしばっかりいっつもドキドキしてるし、』
福良さんは何も言わずただ私の垂れ流している言葉を聞いている。
『あと、全然手出してくれないし、キスも…1回しかしたことない…私そんなに子供っぽいですか?魅力ないですか?恋人に見えないですか?私こんなに福良さんのこと大好きで毎日ドキドキしてるのに、福良さんは私にドキドキしない?』
もう自分が何を言っているのかわからなくなってきた頃、頼むから何でもいいから話してくれと、だまりこくっている福良さんに念じる。
「…どきどきしてるよ」
『え?うわっ…』
その念が通じたのかわからないが、福良さんは小さな声で何かを言った。私はそれがいまいち聞き取れなくて、聞き返そうとしたが、それと同時にグイっと腕を引っ張られ、福良さんの腕の中にすっぽり入ってしまった。
福良さんの胸に耳があたり、その鼓動の速さに驚く。
「ドキドキしてるよ。ほら。」
『ほんとだ…すごいはやい…』
「妹みたいなんて、そんな風にでも思って自分をごまかさないと名前に触れないんだよ」
でも、それで傷つけてたならごめん、と福良さんは謝った。
「名前は俺にとって初めての彼女だし、名前も俺が初めての彼氏でしょ?
だからゆっくり、恋人になっていこうと思って我慢してたんだけど…」
『我慢しないでください…さみしいです…』
「うん。これからはしない。だからキスしてもいい?」
『…はい』
福良さんの唇が触れる。
久しぶりの、2回目のキス。
唇が離れて、お互いめを合わせる。私はもう一度してほしくて、じっと彼の目を見た。
彼は目線をそらし、
「…だめ。これ以上したら我慢できなくなるから」
と言った。
『我慢しないってさっき…』
「ここオフィスだから!それに、名前のかわいいところは俺だけが知ってたい。他の奴らに見られたくない。」
『じゃあ、ここじゃなかったらしてくれますか?』
「…正直オフィスじゃなかったらもうしてるよ…。
あのさ、もし名前が良いなら、今日俺の家こない?」
私はその福良さんの言葉がうれしくて、さっきまでいた腕の中へ飛び込んだ。