Viola
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あの後、川上さんも自分の花冠を作り上げ、私はその間近くにあった大きめの単子葉類の葉っぱを使って草船を作った。
土手にいたのは1時間くらい。大学では国語専攻の川上さんは、理科も得意だそうで、私が知らない植物の知識を色々教えてくれた。
『まだ季節的にはやいので咲いてないですけど、オシロイバナがあればラッパにできます』
「音鳴らす系は人と一緒に行きや。不審者んなるで。」
『今回は仕方ないじゃないですか!まだ友達がいません!』
最初こそ川上さんの顔をみるだけで体中力が入ってしまい話せなかったが、この何時間かでだいぶ慣れた。もう今は普通に言葉を交わせる。心拍数は高いが。
「俺がいる時は俺呼び。」
『えっ、いいんですか?』
「結構楽しかったよ」
そう言って川上さんは笑った。川上さんを楽しませられたことが純粋に嬉しかった。
二人でオフィスに戻ると、須貝さんがいた。
「おかえり!いい写真撮れた?」
『はい!途中で川上さんに会って、手伝ってもらいました。』
「見てくださいよ、昼間の公園で草笛大音量で鳴らしてたんすよ」
ほら、と言って川上さんは須貝さんに動画を見せる。いつの間に撮ったのか…。須貝さんにスマホを向けたその手を阻止しようとしたが、あっけなく失敗した。
動画を見て須貝さんは大笑いしている。
「いいな!すっげぇ楽しそう!次行く時は俺も誘って!」
未だ笑いすぎて涙目になっている須貝さんに、私は恥じらいでんんん、とかあああとか曖昧に返事をして、部屋に戻った。
記事を書く前に、完成まである程度時間のかかる押し花を作ることにして、ティッシュペーパーの間に摘んできた花を入れ、拝借した広辞苑を置いて圧力をかける。
このまま放置すれば完成。押し花ができるまでは記事を書く。
キーボードをカタカタと打ち、画面と睨めっこしていると、コンコンとドアがノックされた。
『はい』
「川上やけど、入っていい?」
ドキッとして喉が一瞬詰まりそうになったが、こらえた。
『どうぞ』
「執筆中ごめんな。さっきの写真共有しようと思ったけど、名字さんの連絡先知らんかった。」
『あっ確かに、まだ交換してませんでしたね』
川上さんと連絡先を交換した。自分の友だち欄に"川上拓朗"の文字が表示されたことにうっかりときめく。
「よし、じゃあ送るわ」
川上さんが送ってくれた写真を、届いた順に一枚一枚確認していると、
「全部送った」
『ありがとうございます!助かります。』
御礼を言うと、川上さんは「記事、頑張れ」と言いドアの方へと歩いて行った。
しかし、扉を開けて立ち止まった。川上さんは、こちらに背を向けたまま
「……俺、最後の写真結構好き」
とだけ言い、部屋を出て行った。
『最後の写真……って、これ?』
川上さんが最後に送ってきたのは、花冠を被って笑うわたしの写真。
『えっ、どういう意味…?』
自分の経験では処理しきれず、キャパオーバーになってしまって今日はパソコンに向かっていたものの、一文字も進まなかった。
心臓の音が、うるさい。
土手にいたのは1時間くらい。大学では国語専攻の川上さんは、理科も得意だそうで、私が知らない植物の知識を色々教えてくれた。
『まだ季節的にはやいので咲いてないですけど、オシロイバナがあればラッパにできます』
「音鳴らす系は人と一緒に行きや。不審者んなるで。」
『今回は仕方ないじゃないですか!まだ友達がいません!』
最初こそ川上さんの顔をみるだけで体中力が入ってしまい話せなかったが、この何時間かでだいぶ慣れた。もう今は普通に言葉を交わせる。心拍数は高いが。
「俺がいる時は俺呼び。」
『えっ、いいんですか?』
「結構楽しかったよ」
そう言って川上さんは笑った。川上さんを楽しませられたことが純粋に嬉しかった。
二人でオフィスに戻ると、須貝さんがいた。
「おかえり!いい写真撮れた?」
『はい!途中で川上さんに会って、手伝ってもらいました。』
「見てくださいよ、昼間の公園で草笛大音量で鳴らしてたんすよ」
ほら、と言って川上さんは須貝さんに動画を見せる。いつの間に撮ったのか…。須貝さんにスマホを向けたその手を阻止しようとしたが、あっけなく失敗した。
動画を見て須貝さんは大笑いしている。
「いいな!すっげぇ楽しそう!次行く時は俺も誘って!」
未だ笑いすぎて涙目になっている須貝さんに、私は恥じらいでんんん、とかあああとか曖昧に返事をして、部屋に戻った。
記事を書く前に、完成まである程度時間のかかる押し花を作ることにして、ティッシュペーパーの間に摘んできた花を入れ、拝借した広辞苑を置いて圧力をかける。
このまま放置すれば完成。押し花ができるまでは記事を書く。
キーボードをカタカタと打ち、画面と睨めっこしていると、コンコンとドアがノックされた。
『はい』
「川上やけど、入っていい?」
ドキッとして喉が一瞬詰まりそうになったが、こらえた。
『どうぞ』
「執筆中ごめんな。さっきの写真共有しようと思ったけど、名字さんの連絡先知らんかった。」
『あっ確かに、まだ交換してませんでしたね』
川上さんと連絡先を交換した。自分の友だち欄に"川上拓朗"の文字が表示されたことにうっかりときめく。
「よし、じゃあ送るわ」
川上さんが送ってくれた写真を、届いた順に一枚一枚確認していると、
「全部送った」
『ありがとうございます!助かります。』
御礼を言うと、川上さんは「記事、頑張れ」と言いドアの方へと歩いて行った。
しかし、扉を開けて立ち止まった。川上さんは、こちらに背を向けたまま
「……俺、最後の写真結構好き」
とだけ言い、部屋を出て行った。
『最後の写真……って、これ?』
川上さんが最後に送ってきたのは、花冠を被って笑うわたしの写真。
『えっ、どういう意味…?』
自分の経験では処理しきれず、キャパオーバーになってしまって今日はパソコンに向かっていたものの、一文字も進まなかった。
心臓の音が、うるさい。