Viola
名前変換
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
公園でたまたま見かけた名字さんを、土手まで案内する。10分ほどでつく距離だが、その間彼女は心ここにあらず、という感じだった。
彼女の名前と、伊沢さんからの文章うまい子、という情報以外何も知らなかったので、大学やバイトの話なんかをしながら歩いた。
ついでに、ツツジの蜜を吸っていたり、草笛を鳴らしていた理由もちゃんと聞けた。
「ついたけど、なんの植物探すん?」
『えっと、予定しているのはペンペン草とシロツメクサです。』
「シロツメクサは花冠用?」
『はい!』
「じゃあ割と本数いるかな。俺向こうの方でいくつか取ってくる。」
案内だけで帰ろうかとも思ったが、彼女が楽しそうに植物と戯れている姿をもう少し見てみたかったし、草花で遊んだ経験がほとんどない俺は、そっちにも興味を惹かれていた。
彼女はペンペン草を探しに行き、写真を撮ったり遊ぶための手順を動画に収めていた。楽しそうにペンペン草を振っている。その姿をスマホで撮影しておいた。
俺も背の高いシロツメクサを中心に選り好みしながら摘み、どのくらいで花冠ができるのか知らないが、けっこうな数を集めた。
しばらくそうしていると、彼女がこちらに向かってきた。シロツメクサを手渡すと、これで作れます、と言って土手に座った。
すぐに編み合わせて行き、2本、3本と編まれていく様をしばらく眺めていた。
「…すごい、器用やな」
『小さいころよく作ってたので。もう何年もやってないですけど、意外と指が覚えているものですね。』
「俺も作ってみていい?」
意外と同じ動きを繰り返しているだけだったので、不器用な俺でも作れるかもしれない。そう思って、見よう見まねで作り始める。
彼女が時々こちらの手元に視線を送っていたが、特に何も言わなかったので、過程はあっているらしい。二人で特に何も話さず、ひたすらに手を動かしていると、
『………よし、できた』
と彼女の声がした。
その手にはきれいにわっかになったシロツメクサの花冠。
「すごいな」
『ふふ、ありがとうございます。どうですか?』
名字さんは頭にその白い冠を乗せて笑った。
子どもの遊びなのに、どこにでも咲いているシロツメクサで作られた冠なのに、なぜか俺は彼女から目を離せなくなってしまった。
『川上さん…?』
突然黙った俺に、不思議そうに彼女が声をかける。
「あっ、いや似合ってる。写真、撮っておこう。」
慌ててスマホを取り出しカメラを向けると、[#dn=1#]さんが無邪気に笑った。日差しが彼女の白い肌に反射してきらきら光っているからなのか、春の風がやわらかく吹いているからなのか、このどこか吸い込まれるような彼女の魅力は何なのか。
その正体はわからないまま、俺はシャッターを切った。
彼女の名前と、伊沢さんからの文章うまい子、という情報以外何も知らなかったので、大学やバイトの話なんかをしながら歩いた。
ついでに、ツツジの蜜を吸っていたり、草笛を鳴らしていた理由もちゃんと聞けた。
「ついたけど、なんの植物探すん?」
『えっと、予定しているのはペンペン草とシロツメクサです。』
「シロツメクサは花冠用?」
『はい!』
「じゃあ割と本数いるかな。俺向こうの方でいくつか取ってくる。」
案内だけで帰ろうかとも思ったが、彼女が楽しそうに植物と戯れている姿をもう少し見てみたかったし、草花で遊んだ経験がほとんどない俺は、そっちにも興味を惹かれていた。
彼女はペンペン草を探しに行き、写真を撮ったり遊ぶための手順を動画に収めていた。楽しそうにペンペン草を振っている。その姿をスマホで撮影しておいた。
俺も背の高いシロツメクサを中心に選り好みしながら摘み、どのくらいで花冠ができるのか知らないが、けっこうな数を集めた。
しばらくそうしていると、彼女がこちらに向かってきた。シロツメクサを手渡すと、これで作れます、と言って土手に座った。
すぐに編み合わせて行き、2本、3本と編まれていく様をしばらく眺めていた。
「…すごい、器用やな」
『小さいころよく作ってたので。もう何年もやってないですけど、意外と指が覚えているものですね。』
「俺も作ってみていい?」
意外と同じ動きを繰り返しているだけだったので、不器用な俺でも作れるかもしれない。そう思って、見よう見まねで作り始める。
彼女が時々こちらの手元に視線を送っていたが、特に何も言わなかったので、過程はあっているらしい。二人で特に何も話さず、ひたすらに手を動かしていると、
『………よし、できた』
と彼女の声がした。
その手にはきれいにわっかになったシロツメクサの花冠。
「すごいな」
『ふふ、ありがとうございます。どうですか?』
名字さんは頭にその白い冠を乗せて笑った。
子どもの遊びなのに、どこにでも咲いているシロツメクサで作られた冠なのに、なぜか俺は彼女から目を離せなくなってしまった。
『川上さん…?』
突然黙った俺に、不思議そうに彼女が声をかける。
「あっ、いや似合ってる。写真、撮っておこう。」
慌ててスマホを取り出しカメラを向けると、[#dn=1#]さんが無邪気に笑った。日差しが彼女の白い肌に反射してきらきら光っているからなのか、春の風がやわらかく吹いているからなのか、このどこか吸い込まれるような彼女の魅力は何なのか。
その正体はわからないまま、俺はシャッターを切った。