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本編


 生まれて初めて食べた『パスタ』という料理は、とても美味しいものだった。南部で一般的に食べられる麺とはまた違う食感に驚き、濃厚なクリームソースやトマトベースの挽肉――エドワードから分けてもらったものもしっかり完食した――の深い味わいに目を見開く。
 あまりに美味し過ぎて、会話もそこそこに一心不乱に食べてしまった。フォーク一本でガツガツと口にかき込もうとするエイトの姿に、エドワードは笑っただけだった。彼は品良くフォークとスプーンで、一口サイズにパスタを絡め取って食べていた。どうやらあれが、『マナーの良い食事』というものらしい。
 凄く綺麗に食べるものだから「オレにも教えてくれ」と言ったら、「練習が必要ですので、今のところはそのままで結構ですよ。何より、エイトさんらしくて良い」と笑われてしまった。満足そうに笑う老人の姿に、店員達も顔を顰めたのは最初だけで、服を汚さないようにと紙エプロンを持って来てくれた。穏やかな老人、という偽装は、本当に絶大な効果を持つようだ。
 こんな品の良い穏やかに笑う老人が、昨夜、人殺しの気配を垂れ流し、エイトに向かって手刀を叩き込んだのだ。その全てを飲み込みそうな漆黒の瞳が、冷酷に細められる。怪しく閃く手刀。絡め取られる手足。愛おしそうになぞる舌先。
 歩きながら自らの頬に熱が集まるのを自覚して、危うく思い出しそうになった出来事を頭から掻き消す。ぶんぶんと頭を振っていると、エドワードの声が降って来た。老人のくせに彼は高めの身長をしている。体格の良い人間の多い軍部でも、高い部類に入るだろう。降って来た声の鋭さに、エイトの表情も引き締まる。
「着きましたよ。この角を曲がればスペンサー邸です」
 昨日も身を隠したその曲がり角で、エイトは深呼吸をひとつ。昨日と全く同じ状況で、しかし昨日とは決定的に違う。隣には頼りになる老人がいて、潜入の手筈も出来ているのだ。
 瞳を閉じて愛しいデミのことを想う。話に聞いた恐ろしい実験は、まだ準備不足だということだ。どうかまだ、手遅れにはなっていないように願う。とにかくあの太陽のような笑顔が、失われるようなことはあってはならない。
 軍人として迎えに来ることは出来なかったが、それよりも彼女の身の安全の方が大事だ。
「エイトさん……」
 エイトが瞳を閉じて気持ちを落ち着かせていると、エドワードが小声で名前を呼んだ。さすがに邸宅の近くのために、二人とも神経を研ぎ澄ませている。辺りには、人の気配はない。それでも気をつける。気配を消した人間の動きを、そこかしこに感じるからだ。
「なんだよ?」
「察しが良くて助かります。時たま姿が見えるダークスーツが、特務部隊の人間です。この様子だと邸宅内にも数人は潜入しているでしょう。誰がスパイかわかりません。なので邸宅内では基本的に『設定』通り、言動には気を付けてください」
「ああ。わかってるよ」
 エイトは前を向いたまま小声で答える。視界の隅に時たま、老人の言葉通りの人影がちらりと映り込む。気配を消した偵察部隊、つまり非戦闘員だろう。本物の暗殺者の動きを追えるとは、エイトもさすがに思ってはいない。
「私は約束を破ることはしたくありませんが、この場合は仕方ありませんね……」
「ん? 約束?」
 溜め息まで聞こえてきそうな老人の声に、エイトは思わず振り返り掛けて、そのまま続けられた言葉に遮られた。
「さあ、行くよ。エイト」
 いきなり呼び捨てで名前を呼ばれて、エイトは『演技』だとわかっていても、その言葉に胸の高鳴りを抑えられなかった。エイトとエドワードは『孫と祖父』という設定で潜入するのだ。普通の関係を演出するために、普段の口調でエイトの名前は呼び捨てで、そしてエドワードのことはなんと『じいちゃん』呼びだ。
「ああ……いや、うん」
 なんだかどう答えたら『自然』で『正解』なのかわからないまま、エイトもエドワードに続いて物々しい門の前に立つ。いつの間にか繋がれた手が――震えてる?
「……どちら様でしょうか?」
 口調こそ丁寧だが、随分と高圧的な声が門の横にある扉から響いた。おそらく警護の人間だろう。
 砂漠の国の豪商は、自身の邸宅を守るために軍隊とは別の私兵を用意している者が多い。商人という職業柄か、敵が多い者が多いのだろう。この門を守る警備の者は、エドワード曰く――つまりデザートローズの陸軍の調べた情報によると――近接戦闘以外に、射撃訓練も受けた者達らしいのだ。
 砂嵐によって狙撃の成功率が絶望的なデザキアにおいて、この邸宅の私兵の主装備は剣と銃であるのだという。長い廊下の奥から攻撃出来るために、こういった比較的広い室内戦では有利になるらしい。確かにこちらが近付く前にハチの巣にされたら、たまったものではない。
「今日からこちらでお世話になります、エドワード・ディマーと孫のエイトです」
 門の隣には使用人のための通り道として木製の扉が設置されている。丁度目線のところに覗き穴があるらしく、そこから鋭い視線を感じるが、エイトはわざとそれに気付かないふりをする。胡散臭い名前を平然と名乗る老人の隣で、出来るだけ怯えた表情を作って、不安を取り除くために周りをきょろきょろと見回す、といった仕草をする。
「失礼しました。旦那様から仰せつかっております。どうぞ、こちらをお通りください」
 警備の声が、口調はそのままに言葉だけの謝罪を行うと、それに続いて目の前の扉が開く。使用人として働く人間を通すために、わざわざ門を開く必要もない、ということだろう。案外あっさりと開いた木製の扉は、門よりもよっぽど薄く、扉の向こうには手入れの行き届いた庭園が見えている。
「ありがとうございます。さあ、行くよ。エイト」
「う、うん」
 老人から名前を呼ばれるたびに、どくりと波打つ心を隠し、エイトは彼に続いて扉を抜ける。
 周りを取り囲む塀から見える通り、邸宅に続く前庭は広大で、そして美しかった。砂漠の乾いた大地とは思えない程の草木の種類に、そんなものには興味もないエイトでも思わず感嘆の声が漏れる。
「どうぞ、こちらへ」
 警備兼使用人なのか、使用人の恰好をしたえらく体格の良い男が先導してくれた。砂嵐に負けないように咲き誇る草木は、今まで見たこともないような鮮やかさだ。庭に目を奪われながら歩いていると、先導してくれている使用人の男がこちらを振り返ってきた。
「エドワードさんは庭師の資格をお持ちなんですね?」
「ええ、そうです。なかなか仕事にありつけなかったので、この機会をいただけて本当に、ありがたいことです」
 初耳の『設定』の話を聞き流しながら、もしかしたら本当かもしれないなとも考えてしまう。この品の良い老人は、何をやらせてもそつなくこなす気がするからだ。
「お孫さんは、学校は?」
「オ、オレは――」
「――エイトは親が亡くなってから少し……本当は優しい子なんですが……」
 答えようとしたエイトを遮り、エドワードは酷く哀しそうな顔をしてそう言った。まるで「察してくれ」と言うようなその表情に、男は必要以上に汲み取ったようだ。
「……そうでしたか……大変でしたね。坊主、ここの連中は皆荒っぽいが優しい奴等だから、頑張れよ」
 太い腕で頭を撫でられて、身に覚えのない捏造された出来事のために励まされたことまで理解して、舌打ちをしそうになって顔を背けた。その仕草すらも『哀しみ故の反抗』と取られたようで、大人二人の複雑な表情に、今度こそ舌打ちを我慢することが難しくなる。
「エイト。返事をしなさい」
 聞いたこともないような低い声でそう言われ、エイトは思わず声の主に目をやった。そこには孫を叱る祖父の表情があって、これはもう逆らうことは出来そうもない。
「……ごめんなさい」
 演技ではなく自然と出たその声に、エイト自身の心がじんと熱くなった気がした。









 使用人としてスペンサー邸へと潜入したエイトとエドワードだが、まずはこの邸宅に慣れるためにと、今日一日は邸宅内の案内と身体を休めるようにと言われたため、その言葉に従って宛がわれた部屋の扉を開いた。
 この広大なスペンサー邸には、現在二十人程の使用人がおり、そこにプラスして警備の兵士、そして公には隠されているが、地下施設にて実験を行っている研究員が居住していることになる。
 使用人用の部屋と兵士の部屋、そして研究員の部屋はそれぞれ遠く離れており、特に地下への隠し階段に近い場所に押し込まれている研究員達の部屋は、牢獄のような警戒態勢が敷かれていた。
 豪奢なカーペットが敷かれた廊下を歩いただけで、その隠し階段の位置を突き止めたエドワードは、その警戒態勢に思わずため息が漏れそうになったと言う。
「あの様子では研究員達もおそらく、自ら志願して実験を行っているようではなさそうですね」
 通された部屋の中を捜索し、どうやら盗聴や監視カメラの類は見つからなかったらしい。持って来ていた荷物を丸テーブルに置いて、その傍の椅子に腰を下ろして、“普段通り”の口調に戻ったエドワードが、エイトに少し悲し気な笑みを向けた。さすがに扉を隔てた廊下を警戒してか、声は少しばかり抑えているが。
 孫と祖父という設定なので、部屋も一緒にしてもらえた。昨日泊まった宿よりも豪華な家具なので、エイトからしたら触ることすら躊躇わせるような内装だ。もちろん例に漏れず豪奢なベッドは、今まで経験したこともないふかふか加減だった。
 広い空間に充分美しいカーペットが敷かれ、高そうな木製のベッドが二つに簡単なキッチンがついている。シャワーは使用人全員共用らしく、男女別の大きなシャワールームが廊下の向こうにあると聞いた。トイレも共用。食事は主人が食べ終わった後に時間差で順番に。仕事は基本的には五日連勤で、休日もだいたいはこの邸宅内で過ごすとのことだ。
「他の使用人や兵士は、研究員や地下があるってことだけは知ってるみたいだったな」
 エイトも答えながらもう一つあった椅子に座る。エイトの荷物はベッドの傍に放り捨てていた。
「おそらく研究の内容までは知らされていないようでしたがね」
 邸内を案内されている間、すれ違う使用人や警備の兵士の様子を窺っていたのは、どうやらエイトだけではないらしい。彼等は穏やかに新参者を迎え入れてくれた。それは大きな秘密を抱える者達の顔ではなかった。
「なら悪者は、フリン・スペンサー一人ってわけだ」
 狙うべき目標が定まって、エイトは両の拳を打ち付け気合の満ちた声を上げる。その姿にエドワードもうんうんと頷き、「犠牲は少ない方が良いですからなぁ」とうすら寒いことを笑って言った。
「そういや、デミは? もしかしてもう地下に運ばれたとか?」
 邸内の案内に秘密の地下が含まれているはずもなく、しかし地下以外のほとんどの場所に顔を出したというのに、愛しい幼馴染の姿は、そのどこにもなかった。もし出くわしたら話の辻褄を合わせるために、ここに至る設定を説明しなければならないので、意識的に姿を探して歩いてはいたのだが。
「まだ早いと思いますが、姿が見えないのは気になりますね。エイトさん。彼女が配属されそうな仕事が何かわかりますか?」
「……え?」
 心地の良い呼び方から戻されたその言葉に、エイトは一瞬反応が遅れる。
「……エイトさん」
 エイトの心を察したのか、エドワードは立ち上がり、エイトの前まで歩み寄る。さっきまで挟んでいた丸テーブルなんて無視して、エドワードはエイトの前で屈むと視線の高さを合わせてくれる。
「……何をむくれているのです?」
「……その呼び方、嫌だ……」
 この老人相手に嘘をつくことなど出来るはずがない。それを本能に刻まれてしまっているエイトには、もう素直に白状するしか道は残されていない。頬を染めている自分の顔が、部屋に置かれた鏡台に映り込んでいる。
 予想通りの言葉だったに違いない。エドワードはその答えに満足げに笑うと、思わず見とれるくらいに怪しく口元を歪めた。
「困った子ですね……」
 突き放すような台詞にすら、甘き誘惑の香りが漂う。
「……名前、呼べよ……」
「……エイト……?」
「うん……っ」
 無理矢理呼ばせたその名前。だがやっぱり、その名前の裏側には、確かな愛が隠されていて。根負けしたように落とされたその“愛の言葉”に顔を向けたら、狂おしいまでの口づけを落とされた。
 椅子に座った身体を掻き抱くように強く抱かれ、その身が零れ落ちるような錯覚すら覚える。乾いた肌に触れられて、喜びが汗と一緒に噴き出したようだった。
 見詰め合う甘い空気にまだ慣れないエイトは、その一時だけでもう恥ずかしさでじんわりと汗を掻いてしまう。どくどくと鳴る心臓の音が耳元で鳴っているかのようだ。早鐘に合わせて身体の代謝まで上がったように感じる。
「まだ、ですかな」
 しかしそんなエイトの様子など知らん顔で、エドワードは意地悪くそう言った。
「っ……ま、まだ?」
「ええ」
「まだ、ダメ……なのか?」
「はい。まだ背を預ける程には成長されていないので」
「……」
 老人はきっと、一度決めた約束は守る人間だ。良くも悪くも絶対に。エイトが今より強くならなければ、この老人に、親し気に名前を呼んで貰うことは叶わないのだ。
「……なら、もっとオレを鍛えてくれよ」
「もちろんですとも。二人部屋を戴けたのは幸運でした。さすがに敵地で庭にて手を晒すことは出来ませんが、室内でも出来る訓練はたくさんありますからなぁ」
 この邸宅のことを自然と『敵地』と呼ぶエドワードの顔は、軍人のそれである。人の殺気に敏感なはずのエイトだが、この邸宅の住人からそういった負の感情は感じ取れなかった。外からの人間への好奇心と親切心、そして多少の嫌悪感ぐらいで、すれ違う人間そのものからも、酷い血の匂いも感じなかった。
 そう、この老人程に、血の匂いを感じることはなかったのだ。警備に当たる人間が、人を傷つけたことのない人間ばかりのはずがないのに。
「私のことが、怖いですかな?」
 突然、エドワードがそんなことを聞いてきた。視線は絡まり合ったまま、心の奥まで見透かされる。
「……オレは、あんた程血の匂いがする人間を、見たことがねえよ……」
「それは私が軍人だから、という訳ではないのでしょうか?」
「……多分、違う。そうだろ?」
 上目遣いに尋ねると、老人は満足そうに笑って頷いた。合わさっていた視線を解いて、部屋に燃えるような橙の光を招き入れている大きな窓へと向かう。まだ夕方なのでカーテンは閉めていない。目隠しのためのレースは敷かれていて、その細かい刺繍にも金が掛かっていそうだなと思ってしまう。
 エドワードは窓から夕陽を眺めながら、少し言葉を選ぶように話し出す。
「私は現役時代から、軍人としての実力はあまり高くありませんでした。しかし上官達からは戦場の指揮を任されることが多く、それによってこの歳まで生き延びただけの老いぼれに過ぎない。血の匂いは、きっと……これでしょうな」
 エドワードはそう言って、エイトに背を向けたままシャツを脱ぐ。元から露出していた鍛えられた腕の先――長年に渡り鍛え上げられた軍人の上半身が晒される。ごくりと生唾を飲み込むエイトの目が、硬く盛り上がった肩、引き締まった背筋を捉え、そして……
「……なんだよ、それ」
 老人は腰の部分にサポーターのようなものを巻いていた。ぱっと見は腰を痛めた老人がつける腰痛対策に見えるように“偽装”されているが、黒色のその表面は時折どくりと脈動していた。布地、でもないかもしれない。これは、水……だろうか?
「エイトさんにはもう気を許してしまっているので、動いてしまっていますね」
 私もまだまだですなぁと笑いながら、エドワードはその黒い物に手を触れる。するとその物体はぶるりと震え、エドワードの腰から逃げるように離れると、空中に黒色の水疱となって留まった。リンゴくらいの大きさにまとまったその黒の塊には、悍ましいまでの赤が滲み、そして酷い血の匂いを発していた。
「これは、そうですなぁ……デザートローズの『汚点』とでも言っておきましょうか。とにかくバイオウェポンの類になります。人の悪意を液体に溶かし込んだ、形を自在に変えることが出来る私の得物です」
「液体が、武器ってことか?」
「簡単に言えばそうですなぁ。私は元より銃器の扱いの方が得意なのですが、さすがにこの街に武装まで持ち込むことは出来なかったので。その代わりにこの得物を“少量”持ち込んだ次第です」
 エドワードが手を伸ばすと液体はその手のひらに吸い付くようにして形を変える。ずぶずぶと水音を立てながら、次の瞬間には赤黒い剣の形をエドワードの手の上で成していた。人の悪意から出来たということがよくわかる、そんな忌々しい色合いだ。エイトの気配に反応してか、その“水剣”がどくりと脈動した。
「……薄気味わりぃ武器だな」
「これを使うのは最終手段です。この邸宅の警備レベルならば、素手で充分制圧可能でしょう。問題は……」
「特務部隊、か?」
 水剣を元のサポーターの形に戻しながら視線を廊下への扉へと投げるエドワードの言葉を、エイトは先読みして引き継いだ。
 先程すれ違う者達のことをエドワードはしっかりと観察していた。しかしそれはエイトも同じだった。獣じみた勘が鋭いエイトは、それこそ野生動物のように相対する者の力量を、ある程度は見ただけで計ることが出来る。
 この邸宅を守る私兵の警備達は、素人とまでは言わないものの、エドワード程腕が立つものはいないように思えた。しっかりと統率も取れているし、兵士達同士の関係も良好のようだが、単純な戦闘力で言えば、きっとエドワード一人で殲滅出来るだろう。
 しかし、この邸宅には特務部隊が紛れ込んでいる。これはおそらく間違いない。すれ違った程度で尻尾を出すような、そんな半人前が紛れ込んでいるわけがない。表をうろついていたのは情報収集役の非戦闘員だが、単身潜り込んでくる人選は、きっと戦闘に長けた凄腕だ。
「先程案内された際に見つけられれば良かったのですが、さすがにそんなヘマはされませんね。明日以降、仕事の時間に割り出すしかありません」
「もし見つけたら……どうすんだ?」
「それは、もちろん……」
 続けられる言葉等安易に想像出来るのに、思わずエイトは尋ねてしまった。そこに不吉な予感が的中しないようにと願って。そんなエイトの心中を察してか、エドワードは敢えて優しい声で続けてくれた。
「……裸にひん剥いて放り出してしまいましょうか」
 ふぉっふぉと笑ったエドワードに、エイトも思わず「クソホモジジイ」と悪態をついてしまった。わざとふざけた返答をされたという事実は、胸の中に押し留めて、せめて笑顔の彼の言葉に騙されてしまいたかった。
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