第九章 繋ぎ合わせたモノ
“ソレ”を運ぶ輸送部隊の前に、三つの影が立ち塞がる。
目隠しのために掛けられた布の足元からは、車輪のついた台座が見える。まるで荷馬車のような外観だが、この輸送“機”の動力源は魔力である。
影の二つがするすると闇に踊り、護衛のために周囲を警戒していた兵士達を一瞬で皆殺しにする。
酷く引き裂かれた死体に、水浸しの死体が半々。二つの影が荷台の布の中を確認している間に、前方に残っていた影が静かに命令を下す。
「さて、これであの狂犬達がどう動くか、楽しみですね」
三つの影は、その身を覆い隠す影たる漆黒を身に纏っていた。死体から流れた血は荷台を汚すことすらせず。倒れた身体はそのままに、荷台は目的地に向けて再度動き出す。