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第八章 歪な群れ


 フェンリルの四人――クリス、ルーク、ロック、レイルは、廃棄されて久しい小さな工場にいた。
 デザートローズから遠く離れた、本部の管轄内。都市から少し進んだところにある廃工場で、周りには民家もなく人気はない。
 今、四人は入り口から反対側の搬送口の付近にいる。
 入り口の扉は閉められており、カーテンによって上部にある窓からの景色も完全に遮断されている。少し冷たい空気が漂っているので、一応夜間だということはわかった。
 電気も供給されていないので、今は非常用の発電機に頑張ってもらったオレンジ色の微灯だけが頼りだ。
「ルークは敵を牽制。ロックは狙撃を。レイルは……適当に頼む」
 入り口に向かって鋭い視線を投げるクリスが、指示を飛ばす。
「了解。牽制射撃、いつでもいけるぜ」
「この距離の狙撃なんて楽勝過ぎて涙が出る」
 銃の最終チェックを終えたルークとロックが明るく、しかし小声で言った。二人の視線も入り口に向かっている。
「適当に頑張ってやるよ」
 レイルもそう言いながら寄り掛かっていた壁から離れる。
 全員の様子を見、クリスは携帯端末の画面をちらりと確認した。
「……俺は今回は指示だけを担当する。開始だ」
 クリスの言葉と同時にルークが一気に銃弾をばらまく。一弾倉分を撃ち尽くさんばかりの勢いで放たれた無数の銃弾は、真っすぐ入り口に向かって飛んでいく。
 入り口のところで影が動いた。それに合わせるようにロックは狙撃の体勢に入り、レイルは笑いながら飛び出す。
 相手の反応を観察していたクリスは、小さく舌打ちした。
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