Trouble?
桃「という訳なので7月から1人ずつ毎月リリースでバトンを繋ぎます。」
11月でソロリリース終了、12月1日にiRunの発表、プリソンの出演者が決まる。
7月までは曲のリリース、それから各メンバーが各々で人気の獲得、cm出演、ドラマ等々活躍しつつ知名度を上げるということらしい。
華々しくデビューを飾ったCrystalは
今の時点でも名前は世間にとってまあまあ周知されたような状態でスタートしている。
これも事務所存続のための
切り札であるからだった。
結「優さんも中々の難題押し付けるよね」
葵「橙歌さんの負担が…」
橙歌「でも決まった以上、やるしかないだろうって思ってたからね…」
苦笑するしかなかった。
みんなの夢が早く叶う且つ、事務所も続くなんてwinwinの関係なのだ。いや、交渉が成立した、というべきなのか。
橙歌にとって、学園時代から温めていた曲が数曲あったため、それを基にアレンジを加えてCrystalの曲を作りたいと試行錯誤を重ねていたものがあった。
そこでこの曲が活かせるなんて夢にも思っていなかったけれど。
杏「柚子、iRunに名前あるよ」
柚子「そりゃあるでしょ。笑」
里央「でも、なんか嬉しくなる反面、
複雑っつーか。」
存続危機がかかっているのだ。
勿論、他事務所のアイドルもみんなプリンシパルを狙っている。
デビューして直後、切り札だと告げられた彼らにとっての名前の重さは計り知れない。
柚子「とりあず、プリンシパルになればいいんでしょ」
橙歌「そんな簡単に…」
柚子「他より断トツだと思ってるから簡単でしょ」
橙歌はその言葉に
何故かプリンシパルは難しいことではない、彼らが連れて行ってくれるのだと確信が持ててしまっていた。
周りを少し見てみても、
頷いたり、笑顔だった。
どうやら消える選択肢は彼らには無く、橙歌にとって杞憂だったのだと苦笑した。
橙歌「桃、彼らの時間また取れる?」
桃「空く時間も其々あるけど、今日は17:00で一旦空くよ。あ、あと、葵さんにドラマ頼んでみたいって先日お話頂いたの」
葵「お…俺に?」
桃「なんか雰囲気が次製作しているスペシャルドラマの主人公の雰囲気に合ってるんだって、原作の人が推してたみたいだよ」
里央「すげーな!葵!!!」
祝福ムードだった。
初めてのドラマだったから。
メンバーの中でも多かれ少なかれ
羨望はあったはず。
でも、そんなこと考えている余裕が彼らにはなかった。
桃「あ、あと…準主演で柚子くんにお願いしたい、と。」
橙歌「だったら、葵さんスタートじゃない方がいいかもしれないね」
ドラマで忙しくなるから、と
付け足そうとすると遮られてしまった。
__俺に歌わせてほしい。
そう、一番言わなそうな彼、
若桃葵によって。
杏「葵のスケジュール凄くハードになるのに気遣って…」
葵「分かってる…分かってるよ。
でも俺が皆にいいバトンを渡したい。」
そこまで言って
止める理由などなかった。
寧ろ、その心意気がいいスタートダッシュを切れるのではないかという確信がメンバーにも橙歌と桃にもあった。
橙歌「では7月リリースするのは葵さんで、よろしくお願いします!」