「かっこよかったね…！ううっ…」


大粒の涙を零しながら
泣いている隣の彼女は
華々しいデビューを飾った彼ら、
"Crystal"のマネージャー
遠園桃。

彼女は私、皐月橙歌と同じ
望月学園出身の親友。

内気だし、おっちょこちょい。
けれど仕事に対しては
本当に真面目で
マネジメントコースを
首席で卒業したくらいなのだから。

そんな私と桃とCrystalの5人は
会場から引き返し、
事務所に戻って来ていた。

里央「にしても、話ってなんだろーね？」

彼は柿川里央くんで
音楽に凄く詳しい。
ジャンルも多様な知識を持っていて
私も頼りにすることがあるくらい。

葵「あの人、何考えているのか
分からないことがありますよね…」

結「どーせ仕事の話だろ
今更何考えたって俺たちはやるだけだろ」


ファンの前では紳士でクールな
若桃葵さん。
元から敬語の彼は特に
紳士だと思われているのだと思う。
そしてみんなの纏め役、
梅津結さん。
話出せばCrystalを纏める頼れるリーダーだけど、オカンだとよく言われている。
しかし、低音ボイスの歌がファンの心を掴んで離さないのが彼の魅力だ。


結「…で。柚子は？」

杏「それが…」

柚子「ごめん！間に合った？」


ほっと溜息をついた彼が
陽野杏くん。
優しくて、ダンスが万能な彼は
ファンの目を惹きつける。
そして最後に遅れて入って来たのが
七尾柚子くん。
ファンには"王子"と呼ばれている。
可愛いマスクの彼に
ファンサを受ければたちまち黄色い歓声があがるし、共演者をも虜にしてしまう。

私にはまっったくもって理解できないけど。
それはまた後に話すとして。

『揃いましたね？』

柚子くんが入って来たのを
見計らったように
望月事務所の社長、
望月優雨さん。

優雨「皆さん、今日は大切なお話があります」