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Discovery


柚希「私、ずっと黒羽に黙ってたことがあるの」

黒羽に言うべきかずっと悩んでいたけれど
言わずに逃げた、と。
黒羽から逃げたのも自分を傷つけたくなかったからとも。


柚希「でも何より黒羽を傷つけたくなかった」

黒羽「は?傷つけたくないという嘘を並べるなよ」


そういうなら黒羽のお姉さん、白花さんの事故現場で
謝っていた言動に理解が出来ないはずだった。
私自身は柚希が行方を眩ませる前に
話を聞いていたから知っている。

彼女がどれだけ葛藤し、苦しみ
何も言わずに舞台から降りたのか。
その哀しみを植え付けられたのはファンであり、
相棒だった黒羽。

白花さんを失い、
理由も言わずただ謝り、
一人逃げた柚希を許せなかったはずだった。
憎んで憎んで。

柚希「事故の前の出来事を話さないといけないの」

勿論、黒羽はその事故前の出来事を知らずに
すれ違い憎んできた。
これを今更話して黒羽が傷つかないか。
心配していたことも知っている。

柚希「私はあることに気付いて
白花さんにあることを尋ねた。
でもそれは白花さんにとって
知られてはいけない事実だった」

信頼していたお姉さんの隠し事なんて
受け入れられるはずもない。
だからこそ、柚希は言えなかった。

黒羽「…言え」

柚希「白花さんは…
ずっと私達の仕事を別事務所に横流しにしていた…」

黒羽「どういうことだ」


柚希はずっと言いづらそうにしながらも
きちんと黒羽に向き合って話を始めた。

白花さんが所属する事務所とは別の事務所に
情報を売っていたことを柚希が知ってしまったこと。
その経緯をすべて洗いざらい黒羽に話した。

柚希「あの事故の罪から逃れたくて、
黒羽に黙ってアイチュウをやめることにしたの。
これが私が知っている事実」

辛そうにしながらも
話した後の柚希はどこかすっきりとした顔をしていた。
確かに受け入れられないかもしれないという
覚悟は持っていたかもしれないけれど。

黒羽「…お前は自分が罪から逃れるために
嘘を吐いているんだ!」

柚希「違う!私はただ黒羽と昔のように…」

黒羽「今更そんな言葉なんて聞きたくない!」


多分、黒羽が受け入れられていないだけだと思う。
だけど、この状況のまま私だけいい思いをして
2人の間にいてもいいのだろうか。
そう思うと黙っていられなかった。
間を割るようにして言葉を続けた。

「私、2人に言わなくちゃいけないことがある!」
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