林檎と蜜
君の名前教えて?
名字じゃない方、教えて?桃川夢子
全てのモブ系女子。
主軸のストーリーには一切かまない、悟が付き合ってるわけではないけと手を出した大勢の女の総称。
この小説の夢小説設定福岡から東京校に来た子。
秤と星の同期。
悟と交際中であることを同期には知られている。
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急いで口を濯ぎ、玄関へ向かう。
ポケットから林檎の香りのリップグロスを出して塗って手鏡で確認してからドアを開けると待ち人が姿を表した。思わず抱き付く。
どれほどこの瞬間を待ち望んだ事か。
「いらっしゃい、先生」
「幽結ごめん、待たせたね。」
彼の手が優しく私の頭を撫でる。それだけで幸せで蕩けてしまいそうだ。
「誰か来てたの?」
「うん、綺羅羅ちゃん。」
綺羅羅に寮の前で会った、彼は言った。
「何か…言われた?」
「いーや、睨まれただけ。」
そっか、と笑うと二人で僕の悪口でも話してたんじゃない?と彼は私の顔を覗き込んだ。
目を閉じて、私かそんな事言うと思う?と言うと思わない、と言って優しいキスをしてくれる。それだけで理性が崩れそうになって目眩がする。私はどうかしてる。
「相変わらず、美味しそうな匂いするね。」
彼は私を抱き上げて部屋の奥へと入る。
キッチンを通り過ぎてベッドの上に座ると私のエプロンの結び目をほどいた。
「カレーは?」
「……もう少しあとでいいよ。」
やや乱暴にエプロンを脱がされて、ポケットに入っていた箱が落ちた。
まずい、と思って拾おうと手を伸ばしたが運悪く彼に先に拾われてしまった。
「……これ、自分で買ったやつ?」
「ちがっ!違うの……綺羅羅ちゃんがカレーのお礼にってくれたの……」
初めて見たからすぐ何か分からなくて返しそびれただけと、私は自分でも驚くほど早口で目を合わさすに言った。
どうしよう、と頭で繰り返し呟いた。
やや間があってはは、と彼は笑って私を抱き締めて、大丈夫と言った。
「幽結が男遊びしてる子とか疑ったわけじゃないから!」でも、これは没収ねと上着のポケットに箱は押し込こまれる。
安堵と落胆。相反する気持ちが同時に押し寄せてきて何て言えばいいか分からず黙っているとやっぱカレー食べるかな、と呟く彼。
「先生あのね、私の身体最近、変なの。」
わざと身体を密着させてぎゅっと彼を抱き締めると大丈夫?と優しく大きな手が背中を撫でてくれる。嬉しいけどやっぱり子供扱いされているのかな、思った。
「先生の目に見つめられるのを想像するだけでも身体が熱くなって、奥が疼くの。」
彼は無言で包帯を解き、見てと言った。
見つめ合っていると心臓の音が大きくなってまた少し体温が上がった気がした。
「どう?疼く?」
頷くと彼の指が内腿の上をゆっくりと下から上へ向かってなぞる。
「もっと奥触って確めていい?」
少し怖い、でも触って知ってほしい気持ちでゆらゆらと揺れ動く。
「大丈夫、目を閉じていて。」
不安を見透かしたように優しく宥めるような声で彼は言う。
目を閉じると内腿をなぞっていた指が下着の中に入って来るのを感じて、びくっと身体を揺れる。彼の二本の指が股の一番敏感な部分を優しく何度も撫で擦る。
「あっあっ…ん」
自分の口から出た声が恥ずかしくて顔が熱くなる。多分耳まで赤くなっていると思う。
「こんなに濡らして……」
ますます恥ずかしくて泣きそうになりながら言わないで、と言うと可愛いよ、囁かれてキスをされる。
口内で舌同士を絡ませ合う深い口付けをしながら指で濡れた場所を優しく撫でられ続けられ、快楽に脳まで蕩けてしまっているのか、いつの間にか恥ずかしさを忘れて行為にひたすら夢中になった。
「指、幽結の蜜まみれになっちゃったよ。」長いキスの後でそう言って彼はその蜜を垂らす小さな窪みに指先を沈めた。
「あぁっ…あっ」
指を動かされる度クチュクチュと音が出て恥ずかしさと気持ち良さで気が変になりそうだった。
「会えない時、身体が疼いて困ったらこうすれば楽になれるからね。」
耳元でそう言って指を止めて下着から手を出した。濡れた指先を舌先でペロっと舐めるのを行為の余韻でぼんやりしたまま見ていると大丈夫?と顔を覗きこまれた。
うん、と何とか絞り出したか細い声。
彼は少し焦っているみたいな顔をして私を抱き締めた。
「ちょっとやりすぎちゃった?」
「うんん、ぼーっとしちゃっただけ。」
徐々に通常運転になりつつある頭の中で一つ気になる事あった。
「先生は平気?」
「全然平気じゃないけど ……また今度ね…」
どうして我慢するの?と訊くと美味しいものは一番美味しいタイミングで食べたいんだ、と言った。
多分何となく適当な嘘だな、と思った。でも、本当の事を知ってしまうのが怖くて、騙されたふりをして彼の腕の中でこのまま甘えていたかった。たとえ仮初めの幸福だとしても。
その後カレーライスを食べてすぐ、先生は用事があるからと帰ってしまった。
終わり