鬼百合
君の名前教えて?
名字じゃない方、教えて?桃川夢子
全てのモブ系女子。
主軸のストーリーには一切かまない、悟が付き合ってるわけではないけと手を出した大勢の女の総称。
この章の夢小説設定黒百合と同じ主人公
天風 世良(あまかぜ せら)
元ギャルの今清楚系。
幼馴染みの復讐を果たすために悟と交際中。
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「ねー早く、世良」
「先に入ってて」
浴室に悟を押し込んでドアを閉めてから服を脱いでバスタオルをしっかり巻いて覚悟を決めた。
浴室に入ると、彼はあからさまにがっかりという顔をして、タオルきっちり巻いてんのかよ、と言った。
「そう言う悟は前くらい隠したら?」
触る前から元気過ぎない?と笑顔で言うとくるっと後ろを向いて洗い場用の小さな椅子に腰掛けた。
「世良、洗ってよ。」
「まかせて。」
彼の後ろで膝を付いてシャンプーを手に取った。髪を濡らしてシャンプーを付けて優しく擦れば泡が立つ。他人の頭を洗うのは初めてだったが、将来子供の頭とか洗う時にこの日の事を思い出すのかもな、なんて思った。
彼は傑君と銭湯に行った時に頭を洗ってもらった事を思い出す、と言った。傑君って時々お母さんみたいだよねと笑うと、キレるから言うなよ~と、彼も笑った。
「いいな~悟と傑君は。」
二人が羨ましくて何だか切なくなった。南がいてくれたらな、という気持ちと傑君と悟の関係性かいいなという気持ち。
リンスも終えてお湯で流してゆく。ラベンダーの優しい香りがふわっと広かった。
そういえばこのシャンプー南がすすめてくれたんだっけ。
「……南」
え?と悟に聞き返されて、うっかり親友の名前を呟いてしまった事を自覚して焦る。
「何でも無いよ~。」
スポンジを手に取りボディソープを泡立てながら身体洗おうね~と彼の気を反らそうと言ってみる。
でも、いつかは言わなきゃいけないんだ、これはそのモラトリアムとしての嘘の恋愛。なんて甘くて罪深い地獄だろうか。
目の前にある大きい彼の背中を見ながら全部洗いざらい白状して泣いてすがりたい衝動を必死に堪えながら、南の手首の傷を思い出していた。復讐から逃げて私だけ幸せになるなんてやっぱり出来ないと思った。
背中、腕、を洗ったのあとに向かい合うと彼は私を抱き寄せて、手でしてよと甘えてるような声で言ってきた。
「だーめ!スポンジでしっかり泡付けて洗わないとね。」
「つまんない。」
「止める?」
離れようとすると手首を捕まれ、額と額が軽くぶつかる。
「やだ。」
優しくキスをして頬を撫でる。
「じゃあ、いい子にしてて。」
駄々っ子を宥めるように言うと我慢苦手なの知っててやってるだろ、と不満げな顔の彼。
「世良もう焦すなって……気が変になる」
そう言って私の手をとってスポンジ越しに下半身の硬くなっている部分を握らせた。
「せっかちさんだね、悟は。」
握ったまま、優しく付け根と先端を行ったり来たり手を動かす。
彼は吐息まじりに私の名前を呼んで啄むような口付けを繰り返した。
私がその口付けを受けながら手の往復を続けるとそのうちに腰を揺らして先端から白濁の液体を飛ばした。
「楽になった?」
床に飛び散った液体をお湯で流しながら言うとそれをぼんやり彼は眺めながら答えた。
「……うん、でも、やっぱ俺、世良が欲しい……」
私はまた今度ね、と言いながら彼の背中を撫でた。
全て洗い終え、二人で狭い浴槽の中で抱き合っていると温かくて、蕩けてしまいそうだった。このまま心地よさに何もかも諦めて、ただ悟を好きでいたいという気持ちがどんどん育ってゆく。
それは怖い、怖すぎる。気が変になりそうなのは私の方だ。
つづく