鬼百合
君の名前教えて?
名字じゃない方、教えて?桃川夢子
全てのモブ系女子。
主軸のストーリーには一切かまない、悟が付き合ってるわけではないけと手を出した大勢の女の総称。
この章の夢小説設定黒百合と同じ主人公
天風 世良(あまかぜ せら)
元ギャルの今清楚系。
幼馴染みの復讐を果たすために悟と交際中。
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
すごい大雨が降ってデートの予定が流れたと思っていた土曜日、悟が部屋に初めてやって来た。
「どうしたの?急に。」
玄関のドアを開けると傘を持っているわりにはびしょ濡れの悟が立っていた。
「たまにはお家デートもいいっしょ?」
部屋見たかったし、と相変わらずの能天気な笑顔を彼は浮かべて言う。
「来るならメールしてよ。」
ため息を吐いて言うと、どうせ断るじゃんと拗ねた顔を見せる。
たしかにメールされたら断っただろうな、と思い苦笑いを浮かべる。だって密室で二人きりになったら危なそうだし。
「……とりま、入って。」
ここまで来てしまったら今度は断る方が大変かもと考えて渋々迎え入れる。
「傘さしても意味なかったわ~」前髪から顔に落ちた滴を拭いながら彼はダルそうに言う。
「服乾かすから脱いで。」
「え!全裸になっていいの?」
洗濯籠から洗濯済みのタオルを出して彼の顔目掛けて投げると見事ヒットした。
「パンツは脱がなくていいからね。」
「……分かったよ」
冗談だって、怒るなって、などとブツブツ言いながら服を脱いで寄越した。
服を干す間、彼はキョロキョロと部屋を見回していた。幸い部屋は片付いていたので放っておいて作業をさっさと済ませる。
湿気を取るためにエアコンを付けると、俺寒いんだけど、と彼は言うのでベッドの上の毛布を渡した。
「世良の匂いする。」
自分の両肩を覆うように毛布をかけて少し照れているような顔をして私を見た。
「ちょ…恥ずかしくなってくるじゃん。」あはは、と笑いながら彼の肩を軽く叩いてからキッチンに向かう。
「ホットココアでいい?」
ん、と小さい返事。よく聞き漏らさなかったな、と自分を心の中で褒めた。
お湯を沸かしながら、甘い系のお菓子はあったっけ?などと考えていると、後ろから急に抱きつかれて驚く。
「……何?びっくりしたんだけど。」
すぐ沸くから待ってて、と言うとやだ、と彼は言ってキスしてきた。
毛布が落ちて素肌があらわになるのも気にも止めず深く口付けをされて戸惑いながらも敢えて抵抗をせず受け入れる。ここ一ヶ月の付き合いの中でキスは抵抗してもいい事にはならないと理解したからだ。
キスの後で耳元でそろそろ抱かせてよ、と囁いた。
「もう一ヶ月経ったしさ。」
「まだ一ヶ月、だよ?」
「これ以上待てる自信ないんだけど……」
世良俺の事本当に好き?と私の目を覗きこむように顔を近づけて来る。
圧を感じてつい根負けしそうになる。そんな目で見ないでよ、と思いながら誤魔化すために私からキスをして好きだよ、と言った。
その気持ちは嘘じゃなかった。だからこそうっかり流されて抱かれて後悔するのは私の方だと思う。抱かれたら本気になっちゃいそうでそれがたまらなく怖い。
「もうすぐ沸くから、大人しくあっちで待っててよ。」
毛布を拾って彼の肩に掛け直す。
彼は不満げな顔をしながらも頷いてキッチンを出ていった。
少しほっとしながらも、いつまでもこのままではいられないんだという事実を重く感じていた。
次へ →