黒百合
君の名前教えて?
名字じゃない方、教えて?桃川夢子
全てのモブ系女子。
主軸のストーリーには一切かまない、悟が付き合ってるわけではないけと手を出した大勢の女の総称。
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
遅いな、と思い時計を見る。約束の時間を20分ほど過ぎたところだった。
原宿で人気のパンケーキ屋は混むから先に行って席取りを済ませたはいいものの、悟が来ない。アイスティーも2杯をもうすぐ飲みきってしまいそうだった。
「世衣 悪りぃ、待った?」
象形文字柄のマスタードイエローのシャツに黒のスキニージーンズを着た悟が向かいの席に座った。
いやいや待て待て!!デートでそのシャツは無いでしょ。
「何?そのシャツ。」
少しイライラしながら問うとエジプト展で買った、といい笑顔で悟は答えた。何処かあどけない少年みたいなその笑顔は普通なら魅力的に感じるはずだけれど今の私は感じる事が出来ない。
殴りたいこの笑顔、と心の中で呟いた。
「ねー何食べる?」
こちらの気持ちなど何らか気にする様子もなくメニューを広げる悟。
「20分も待たせたんだから奢りなさいよ。」
そんな事言われなくても奢るって、とチラりともこちらを見ずにダルそうな声で彼は言った。その態度にますます苛立ちながら、氷が溶けきって二層に別れたアイスティーの成れの果てを一気に飲み干して、パンケーキは定番でアイスティーも注文しておくように頼み
、お手洗いに向かった。
ゆっくりメイクを直して硝子と傑にメールで愚痴ってから戻るともう悟の注文したパンケーキは届いたようで食べ初めていた。
「遅くね?」
「うん、メイク直しとかさ。」
「……そんな厚化粧すんなって。」
はは~ごめんね~、と言って怒りを抑えながら届いていたアイスティーのストローの袋を破いてストローを差す。ため息を吐きながら自分を何とか落ち着かせようと努力した。
「これ、うまいよ。食べてみる?」
「いいよ、もうすぐ来るから。」
出来るだけ笑顔で優しく断ると何事もなかったように彼は食事を再開した。
その様子をぼんやりと眺めながら、自分のパンケーキを待った。
本当に幸せそうな顔でパンケーキ頬張る悟を見ていると思わず少し笑ってしまう。
「何だよ?」
「……んー」
笑った理由を誤魔化そうと彼の口元に付いたクリームを人差し指で擦り取って見せた。
「付いてた~」
そう言うと悟は私の指に顔を近づけて来てペロっと舌を出してクリームを舐め取った。
「なな、何すんの!!バカ」
顔がカッと熱くなって目を反らした。手探りでお手拭きを取って素早く人差し指を拭く。
「別にいーじゃん。付き合ってんだから」
「いや、初デートではやんないでしょ?」
と言うと悟はどうせすぐにもっとやらしい事するじゃんね?とニヤニヤと意地悪そうな笑みを浮かべた。
そんな簡単にやらせねぇし、と心の中で中指を立てる。
つづく→