梅が咲いて恋に落ちた日
君の名前教えて?
名字じゃない方、教えて?桃川夢子
全てのモブ系女子。
主軸のストーリーには一切かまない、悟が付き合ってるわけではないけと手を出した大勢の女の総称。
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もしも五条先生が東京においで、と言ってくれなかったら私は死んでいたかもしれない。
東京は何となく怖い所だと思っていたから自発的に引っ越す事はありえないだろうし。
「お疲れサマンサ~!幽結」
陽気な声に振り向くと五条先生がこちらに向かって片手をヒラヒラと振って笑っていた。
「お疲れ様です」
ところでそのサマンサって何ですか?、と以前会った時からの疑問を訊くとただのノリだよ、と予想通りの答えが返って来た。
何だか可笑しくて、口元が緩む。やっぱりこの人ちょっと変だなんて思っても言わない。でも笑みは堪えられず溢れてしまう。
「なーに?嬉しそうな顔して」そんなに僕に会いたかった?と先生は私の顔を少し覗き込む様に身を傾けた。
「ええ、お会い出来て嬉しいですよ、五条先生。」ジョークにジョークを敢えて重ねた様に見えてこれは私の本心だ。
「ふふ、君は素直で可愛いね。」
そう言って先生はその大きな手で私の小さな頭を撫でた。その時なんだか少しなんだか胸の奥が仄かに温かくなったような気がした。
大人の男の人は苦手なのに、不思議と先生は怖くない。初対面の時は確かにもっと緊張したし、黙って立っているとその身体の大きさやただならぬ独特の雰囲気があってやや圧を感じてしまうけれど、喋り出すとその陽気で軽いノリが私の緊張感や警戒心を破壊した。出会って三分ですごく強い有名人、五条悟は強くて面白くて少し変な五条先生になった。
「ほんとはゆっくり買い物とか付き合ってあげたいし、秤と星も紹介したいんだけどさ~二人には断られたし、僕もあまり時間取れなくてね……」
ごめんねぇ、と先生は謝ってくれたけれど、あまりお金もなく、必要最低限の物は揃っているはずなのでので大丈夫ですと答えた。
ごった返す迷路の様な真っ昼間の東京駅を二人で抜け出して伊地知さんの元へと向かう。
続く