nightmare
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「爆豪くん、俺の合図に合わせ爆風で…」
「てめェが俺に合わせろや」
「張り合うなこんな時にィ!!」
こんな時でも爆豪くんは爆豪くん。けどギャーギャー言いながらも私が落ちないように背中に手を回してくれてるところはさすがというかなんというか…
「まって!後ろからなんか来る!!追手だ!!」
「ああ!?」
「爆豪くん、凍らせたらごめ、」
唯一後ろをみていた私だけが、なにか飛んでくるのに気づいて声を上げる。首にガシッとすがりついてるので、割と耳元で爆豪くんの怒鳴り声が響いてキーンとする。
空中で凍らせて落とそうと手をそちらに向けるけど、いきなり壁のようなものがぐんっと上がってきた。それは壁ではなく人だった。
「Mt.レディ!」
「救出…優先。行って…!バカガキ……!」
体を張って盾となってくれた彼女が倒れていくのを見つめると、下の方でなにか敵連合らしき人がなにか動いてる、もう1発来るのか、と身構えればそれを蹴り飛ばす人。あれはグラントリノだ。
そして、色んな人の助けがあってようやく地面に着地。爆豪くんから手を離して、街の方へ駆け出す。駅前の電光掲示板がある広場までついて、ようやく息をついた。
「いいか、俺ァ助けられた訳じゃねぇ。1番いい脱出経路がテメェらだっただけだ!」
「ナイス判断!」
「オールマイトの足引っ張んのは、嫌だったからな」
ほんとにどこまでも爆豪くんらしい。でも今回ばかりはそのらしさに救われた。それを本人に言ったら爆破される一択なので何も言わない。
「切島くん、緑谷くん、飯田くん。ありがとう、そして危ないことさせてごめん」
「何言ってんだ!これは俺らが選んだことだ。おめェが謝ることじゃねぇよ!」
「うん、僕たちの意思で自己満足だから。翠蒼さんが背負い必要はないんだ」
「翠蒼くんと爆豪くんが無事でよかった」
優しい彼らの言葉に、なんて答えればいいか分からなくて俯いていると人々が立ち止まり、そして静まり返った。えっ、と顔を上げるとみんな上を向いている。
その視線の先には、電光掲示板。そこに移されていたのはひょろひょろの、オールマイトさんの服を着た男の人。
でもそんなの、あそこにいるのはオールマイトさん以外有り得ない。有り得ないのに、信じられなくてただただ見上げ、言葉を失う。
響くのは、私の、この場にいる多くの人の心情を代弁したかのようなアナウンサーの実況。そこからまた水の波紋が広がっていくように、ザワザワと、言葉が、願いが、広がっていく。
そうだよ。どんな姿でも、あなたはNO.1ヒーローなんだよ。あなたがくれた言葉は沢山ではなくても、確実に残ってる。さっきあなたが来てくれたことで、どれだけ安心したと思ってるんだ。
そのお礼もまだ言えてない。聞きたいことも沢山ある。だからお願い。
みんなが画面に向かって叫ぶ。私も声を上げた。
「負けるなっ、勝ってよ!オールマイトっ!」
空にあのボスが浮かび上がって、そして腕が、キメラのように人の腕と、機械が混ざっていて、見ていて吐き気のするようなそんな物に変わっていく。
それが巻き上げられ、次の瞬間には爆発音と共に土埃が画面いっぱいに巻き起こり2人の姿が見えなくなる。どうなってるのか、オールマイトは。ピタッと空気が止まる。
そして、もう一度爆発音がが巻き起こり、今度は煙が晴れていく。その中心に経っていたのは
『敵は__…動かず!!勝利!!オールマイト!!勝利の!!スタンディングです!!!』
はっ…と無意識に止まっていた息が漏れる。ボロボロの姿、でも突き上げられた拳は何よりも力強かった。
「身動きが取れんな…轟くん八百万くんらと合流したいが…」
「とりあえず動こうぜ。爆豪と翠蒼のことヒーロー達に報告しなきゃいけねーだろ」
「ん…」
移動牢に入れられるあのボスをみながら飯田くんらが会話を始める。百まで来ているのか…なんて落ち着いたのか安心したのか、緩くしか動かない頭で考えていると、湧いていた歓声が止まる。
『次は、君だ』
振り返って、再び見た画面に向かって指を指すオールマイトさんの姿に実感してしまった。
ああ、平和の象徴はもう、終わってしまったんだ。
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