夏だ!海だ!林間合宿だ!
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合宿2日目、午前5時30分。みんなぽけっとしながら集合した。お茶子やべぇな、髪爆発してる。
昨日は散々騒いだあと、朝も早いからということで12時にはみんなお布団に入ったんだけど、なんだかよく眠れなかった。テンション上がってたのかな〜?普段あんまり寝れないことないのにな……と出そうになるあくびを噛み殺しながら話を聞く。
「お早う諸君。本日から本格的に強化合宿を始める。今合宿の目的は全員の強化及びそれによる”仮免”の取得。具体的になりつつある敵意に立ち向かう為の準備だ。心して臨むように」
"具体的な敵意"…恐らくヒーロー殺しの事件以降活性化しつつある敵、そして敵連合のことか。「仮免」を取ればヒーローでなくても緊急時には個性許可がおりるもの。自衛の術を持てるように、ということなのだろう。
でもそれを取れば、私たちはヒーローのひよっ子としてやれる事の幅も当然広げられる訳で、つまりは大切な誰かを守れる手段も増えるということ。
……うん、頑張ろう、と気合いを入れ直す。
「というわけで爆豪、これ投げてみろ」
そう言って消太さんが投げたのは、既に懐かしの個性把握テストの時に投げさせたソフトボール投げの測定ボール。前回からの成長値を見るようだ。705.6mからどれだけ伸びているか、みんな興味津々。1kmいくんじゃ!?との声も上がっている。
「んじゃ、よっこら……くたばれ!!!!」
前回と同じように、やっぱりヒーローらしくない掛け声と共に投げ出されたボール。そして表示された記録は"709.6m"
とたったの4mしか伸びていない。嘘でしょ、もっと伸びてると思ってた。
全員逆の意味で予想外の記録に驚いていると、こちらは予想通りと言った顔で淡々と語っていく消太さん。
「約3ヶ月間、様々な経験を経て確かに君らは成長している。だがそれはあくまでも精神面や技術面。あとは多少の体力的な成長がメインで”個性”そのものは今見た通りでそこまで成長していない」
確かに、思い返してみればたくさんの経験はしたけれど"個性"そのものを伸ばすような訓練は特にしたわけじゃないし、記録としては当たり前なのかもしれない。
「だから、今日から君らの”個性”を伸ばす。死ぬ程キツイがくれぐれも……死なないように」
消太さんの楽しげな顔に思わず引きつった声が出た私は悪くない。そしてその訓練は地獄としか言えなかった。
「轟、翠蒼、お前らはこれだ」
ぼん、と目の前に置かれたのは人が丁度1人入れるようなドラム缶が2つ。何をするのか全くわからなくて首を傾げる。まさかこれに入れとかじゃないよね。
「やり方は違うが、この中に入って水に漬かりながら温度調節しろ。轟は氷をだして、その次に炎、と言った具合だな。翠蒼の場合はドラム缶の中の分子運動を丁度いい状態にコントロールしつつ、ひたすら氷を出しては昇華させて自分自身の体温も調節しろ」
それじゃあはじめ、と言われ消太さんはスタスタと歩いていく。まじで中にはいるんだった。てかこれひたすらお風呂に入り続けるみたいなもんか。
「……とりあえず入ろっか」
「……ああ。水、入れてもらっていいか」
まさか合宿に来て、ドラム缶で煮詰められるなんて誰も思ってはない。
戸惑いは一切晴れてないけど、もう既にクラスメイトの叫び声が聞こえた始めた時点で考えるだけ無駄だと察したので大人しくドラム缶の中に足を入れたのが多分、3時間くらい前な気がする。正直、時間の感覚が狂っている。
『翠蒼さん、氷の量少なくなってるわよ!プルスウルトラ!』
「プ、プルスウルトラ…」
人それぞれの個性に合わせた訓練をバラバラで行っているのだが、それを可能にしているのがワイルドプッシーキャッツの連携。
まずラグドールさんの"サーチ"で情報管理、ピクシーボブさんの"土流"で鍛錬場の形成、マンダレイさんが個々に"テレパス"で一度に複数人にアドバイスをさて、最後に虎さんが…気合いを注入している。
「あっつ!!」
「翠蒼、気ぃ抜くな」
「はいっ」
両方一度に、それもコントロールがまだ難しい"三態操作"の方で別々のことをやり続けるというのは並の集中力だとすぐにブレる。
正しくプルスウルトラ、限界突破しまくった2日目だった。
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