夏だ!海だ!林間合宿だ!
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口の中に入った土を吐き出しつつ、砂だらけの制服を払う。もうこうなったら覚悟決めるしかないか、と諦め半分で歩みを進めようとした瞬間、飛び出した峰田くんの前に正しく魔獣が表れる。魔獣の森ってほんとに魔獣が出んの!?
「静まりなさい獣よ、下がるのです!」
「口田!!」
動物を操る口田くんの個性が効かず、動くそれからパラパラっと土くれが落ちていく…そういうことか。走り出して手のひらをそれを向け、水をぶち当てると簡単に崩れてくれた。
予想通り、ただの土魔獣。そうと分かれば崩せば終わるんだから簡単だ。
フッと横を見ると、緑谷くん、爆豪くん、飯田くん、焦凍くんも同じように飛び出していて同じように魔獣を土くれにしていた。みんなもそれに続き、森に足を踏み入れていく。
林間合宿の始まりだ!
*
「何が"3時間"ですか…」
「腹減った…死ぬ…」
「悪いね、私たちならって意味アレ」
「実力差自慢のためか…やらしいな…」
当初言われた3時間はとうに過ぎて、宿泊施設に到着したのは日も傾き始めた夕方。みんな満身創痍で身も心もボロボロ。お昼ご飯は食べれてないし、ほんと死にそう。お腹と背中がくっつくかと思った、いや冗談抜きで。
でもピクシーボブさんが言うには、彼女の操る土魔獣が思ったより簡単に攻略されたらしい。
「いいよ、君ら…特にそこ5人。躊躇の無さは経験値によるものかしら?」
私含め指された人達は最初に飛び出した5人。……考えてみればなにかしらに巻き込まれたり、もしくは飛び込んだりしたことのあるメンバーだ。私以外は「3年後が楽しみ!ツバつけとこー!」と文字通り唾を付けられてる。
なんで私以外だ?と思ったけど消太さんとマンダレイさんの会話を聞いて納得。まあ多分みんなイケメンに育ってるだろうし有望なヒーローだもんなあ…
そんなことをぼんやり疲れた頭で考えていると、また緑谷くんがピクシーボブさんに殴られてる。本日2回目だぞ緑谷くん。
「ずっと気になってたんですが、その子はどなたかのお子さんですか?」
「ああ違う。この子は私の従甥だよ。洸太!ほら挨拶しな、1週間一緒に過ごすんだから…」
緑谷くんの疑問に答えるマンダレイ。彼女が手をちょいちょいっと招いた先には朝も見た男の子。そうか、洸太くんって言うのか。緑谷くんが早速自己紹介をしにいった。
そしてよろしく、と差し出した手のかわりに帰ってきたのはまさかのパンチ。それも男の人の1番の弱点目掛けてストレート。
「おのれ従甥!何故緑谷くんの陰嚢を!!」
「ヒーローになりたいなんて連中とつるむ気ねーよ」
「つるむ!?一体いくつだ君!!」
うわあ……と思わず視線をそらす。あれ絶対痛いよな…飯田くんがくあ!!!と緑谷くんに駆け寄りながら、洸太くん?にまくし立てる。けれどコチラをちらっと見ただけで一言告げてスタスタと歩いていってしまった。
飯田くんの言う通り、ほんといくつだ!?ってなる。すげえな最近の子供。なんて思ってると近くにいた爆豪くんから「マセガキ」とバカにした声が聞こえてくる。
「……爆豪くんだけには言われたくないな」
「お前に似てねぇか?」
「ぶっ」
「あ?似てねぇよつか喋ってんじゃねえよ舐めプ野郎。あと水タイプてめぇは殺す絶対殺す」
おっと、心の声が出てしまったようだ。やらかしたーと思ってると焦凍くんのどストレートな問いに吹いてしまう。余計に爆豪くんの青筋を増やしてしまった。
「悪ぃ」
「えー生きる」
「生きるじゃねぇよ!!!殺すつっとんだろ!!!!」
「ヒーローなのに殺害予告良くないと思うよ。ね?焦凍くん」
「ああ。爆豪、捕まるぞ」
「茶番はいい、バスから荷物下ろせ」
私は故意に全力で、焦凍くんは天然だけど爆豪くんを煽りに行っていると消太さんにバッチリ睨まれたのでやめる。いやあ、爆豪くん小学生並の煽りでものってくれんじゃん。
「部屋に荷物運んだら食堂にて夕食。その後入浴で就寝だ。本格的なスタートは明日からだ、早くしろ」
消太さんの指示の元、みんながワイワイと施設に入っていく。
ふと、別の方向をみるとさっき歩いていったと思ってた洸太くんがこちらを睨んでいる。おおよそ普通の子供がしないような目付き。
「心ちゃーん!なにしてんのー!早くいこー!」
「あ、うん!いくいく!」
「お夕飯なんだろね!」
「楽しみだね〜お腹ぺこぺこ!」
…気のせいかな。透と三奈に呼ばれ、そちらに駆けだした。
「「いただきます!」」
荷物を置きに行き、待ちわびた夕食。ちなみにお部屋は女子7人なので少し大きい普通部屋でしたやっほい。ご飯が死ぬほど美味しい……。
「美味しい!!米美味しい!!」
「五臓六腑に染み渡る!!ランチラッシュに匹敵する粒立ち!!!いつまでも噛んでいたい!」
「ぐっ!!」
「ちょ、心!?」
1周まわってテンションがおかしい切島くんと上鳴くんに、むせてしまって食べていたご飯が詰まりそうになった。隣の響香が背中を摩ってくれて、向かいの常闇くんが水を差し出してくれる。ありがたや。
ちょっと落ち着いたところで、またその2人が「土鍋…!?」「土鍋ですか!?」とさらに妙なテンションでピクシーボブに尋ねていて、もう1回むせたのは言うまでもない。
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