有精卵の出会いと悪意とUSJ
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「ハイ静かになるまで8秒かかりました。時間は有限、君たちは合理性に欠くね」
シンっと静まり返った教室に、のそのそと入ってくるその人を3回ぐらい見直す。嘘でしょ。確かに朝制服すぐ見飽きるって言われたよ、言われたけどまさかそういうこと?まさかでしょ。
「担任の相澤消太だ、よろしくね」
嘘でもなんでもありませんでした。
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体操服に着替えて出ろ、と言われみんながゾロゾロ出て行ったのを見計らって消太さんに詰め寄る。当の本人は分かっていたようにパラパラと手元の資料を見ているだけだ。
「何も聞いてないんですけど、消太さん」
「ここでは先生だ」
「相澤先生」
「言ってないからな。お前は万一があった時の適任は俺だからだ。分かったらとっとと着替えにいけ」
なんにも聞いてないのに、知り合いというか同じ家に住んでいることを学校側も知っているはずなのにどうしてわざわざ消太さんのクラスなのかという私の疑問を秒で察する辺り流石としかいいようがない。
教室から出る間際に暖かくしとけるもん一応持っとけ、と言われたので疑問に思いながらも制服のポッケにネックウォーマーを突っ込んどいた。
駆け足で更衣室に向かうと女子は私以外ほぼ着替え終わっていて、慌てて着替えてみんなの後を追いグラウンドに出るとギリ最後じゃなかった良かった。
そして何をするかと思えば
「「「個性把握……テストォ!?」」」
初っ端から声が揃うあたりうちのクラスは仲がいいのかもしれない。そんなことを考えてると、みんなの声を代弁するように入学式は!?ガイダンスは!?と言う女の子。
消太さん曰くヒーローになるならそんな行事に出る時間はないと。さらに雄英は"自由"な校風が売り文句であり、それは先生側もそうだと。私は昔からこの価値観に慣れてるけど、知らないみんなはポカンとしてる。
そんな様子は一切無視して、消太さんが来る前に飯田くんと揉めてたヤンキー君、もとい爆豪くんに"個性ありで"ソフトボール投げをしてみろと渡す。爆豪くん個性なしで67mだったらしい。すごいな。
「んじゃまぁ……死ねぇ!!」
ヒーローを目指してるのか若干疑いたくなる言葉とは裏腹に記録は正しくヒーローらしい大記録、705メートルだ。いやでも死ねはないな。やっぱりヤンキー君じゃん。
「まず自分の最大限を知る、それがヒーローの素地を形成する合理的手段」
消太さんの言葉が聞こえているのかいないのか、いっせいに騒ぎ始めるクラス。わかる、わかるよテンション上がるの。私も面白そうとか思った、思ったけどお願いだから先生みて。やばいから、300円あげるから。
「面白そう…か…」
ああほら言わんこっちゃない、ろくでもないこと言う雰囲気だ。私はわかる。もうなんかゴーーって冷気というかやばいオーラ出てるよ。みんな気づいて。
「ヒーローになるための3年間、そんな腹づもりで過ごす気でいるのかい?
…よし、トータル成績最下位の者は見込みなしと判断し除籍処分としよう」
ああ…とため息をつきかけて周りを見ると、みんな静かにやる気に満ち溢れていた。…何人か除籍の言葉に震えていたけど、それでもやってやるぞって顔してる。
そうか、ここはヒーロー科だ。みんな上を目指してここまで来た。それも何百と高い倍率と厳しい試験を乗り越えて。それなのにここで終わりです、なんて初日に言われたらたまったもんじゃないよね。私もそれは同じ。
「生徒の如何は先生の自由。
ようこそ、これが雄英高校ヒーロー科だ」
消太さんノリノリだねーと思って眺めてたらちょっと睨まれたので改めて気合い入れます。
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