気張ってこーぜ!期末テスト!
namechange
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「入試のロボとはね〜びっくりだ」
「うん。拳藤さんが教えてくれたんだ」
「そかそか。ありがとね」
放課後。何人かで集まって教室で勉強をしながら、お昼に緑谷くん達が仕入れてきてくれた情報を私もありがたく聞いた。やっぱり分かってるのと分かってないのじゃ気持ち的にも違うし、対策もいくらかやりようがあるので情報は大事だなーとしみじみ思う。拳藤さんに感謝だ。
それにしても、と区切る。
「爆豪くん拗らせてんねー、久々じゃない?緑谷くんとにあんなに突っかかるの」
「あはは…」
ついさっき帰って言った爆豪くんのことを話題にすれば緑谷くんは乾いた笑いを浮べる。いやー思い出してもあからさまだった。
「体育祭みたいなハンパな結果はいらねぇ…!次の期末なら個人成績で否が応にも優劣がつく…!
完膚なきまでに差ァつけて、てめェぶち殺してやる!」
ビシッ!と緑谷くんをさして、さらに「お前もだ!」と焦凍くんも指して行って帰った彼は理由は知らないけど焦ってるようにも感じられる。
にしても2人は幼馴染みだと言うから驚きだ。真反対の性格…なんだけど、似てるとこも無くはないような気がするし…うーん。
「心ちゃん!ここ教えてくれへん?」
「お!ここはね〜」
まあ人のことを気にしてばっかりいられない。まずは自分のことをクリアしてからだ、とお茶子と問題に向き合った。
*
5日間の筆記試験の後、いよいよ実技試験の本番。集合場所に指定されたバスやらなんやらが止まってる駐車場で、コスチュームに着替えて集まった私たち。
「それじゃあ演習試験を始めていく。この試験でももちろん赤点はある。林間合宿行きたけりゃみっともねぇヘマはするなよ」
消太さんのお言葉を聞きながらも、集まっている先生の数に気が行く。響香と透が数えつつ「多いな…」と零したのに全力で頷いた。なんかもう怖いし、消太さんがずっと"一学期にやった総合的内容"としか言わないのも引っかかるしなあ…
「諸君なら事前に情報を仕入れて何するか薄々わかっているとは思うが…」と消太さんが言うので、やっぱりロボなのか?と「花火!カレー!肝試しーーー!!!」と騒ぐ三奈達の声を聞きながら考える。ん??なんか消太さんの首元あたりめっちゃモゾモゾしてる?
「残念!諸事情があって今回から内容を変更しちゃうのさ!」
モゾモゾの正体は校長先生で、消太さんの首元から飛び出してきたと思えば捕縛武器をつたってスルスルと降りてくる。え、ちょっと楽しそう…と思って見つめてたらめっちゃ睨まれた。
「これからは対人戦闘・活動を見据えた、より実践に近い教えを重視するのさ!というわけで諸君らにはこれから基本、二人一組でここにいる教師一人と戦闘を行ってもらう!」
「先生方と…!?」
「尚、ペアの組と対戦する教師は既に決定済み。動きの傾向や成績、親密度…諸々を踏まえて独断で組ませてもらったから発表していくぞ」
ポカン、とする私たちを置いて話はドンドン進んでいく。てか"基本"2人1組って言ったってことは、うちのクラス奇数だからだよね。どっか3人のところが出来るのかな?
「まずは轟と八百万がチームで、俺とだ。そして緑谷と爆豪がチーム。」
「デ…!?」
「かっ…!?」
「で、相手は…」
「私がする!協力して勝ちに来いよ、お二人さん!」
うわあ…これ結構、じゃないな。かなり厳しいやつだ。ロボが可愛く見えてくる程度には厳しい。今の2組聞いただけでも考え込まれてペアも相手も決められてるのがわかるし。けど緑谷くんと爆豪くんか。なんか一波乱ありそうだな。
そしてその後も次々と校長先生の口からペアと対戦相手の先生が発表されていくんだけど私の名前は一向に呼ばれない。え、え、なんで、とキョロキョロしていると「翠蒼」と消太さんの口から呼ばれた。
「基本10組一斉スタートだが…お前は別だ。轟、八百万の試験が終了し、フィールドを移動したあと、俺とお前の1VS1だ。いいな」
一瞬、息が止まる。消太さんが相手。返事すら出来ない私を特段気にすることも無く試験の概要は各々対戦相手の先生から説明してもらうためバスに乗れ、と急かされる。
「…い、おい。心、行くぞ?」
「え、あ、ごめん、焦凍くん。ありがとう」
「…大丈夫か?でも、なんでお前だけ1人…」
「意図は、何となくわかってるから…うん!大丈夫。お互い頑張ろう!ね、百!」
「ええ…頑張りましょう」
停止していた思考を動かす声に答えて歩き出す。なんで、なんて思ったけど本当は理由なんてわかりきってる。ただそれを認めるのが、クリアしなきゃいけない課題として出されるのが、怖かっただけだ。
でもそんなこと言ってらんない、と頬を叩く。合宿行くし、あの人の持ってるもん背負いたいとか、まずは越えなきゃそんな偉そうな口叩けない。
絶対クリアしてやるんだ。
.