学べ!職場体験
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ゆったりと4人で和やかに過ごす。さっき飯田くんが診察の時間、とのことで出ていって今は3人で談笑タイムだ。焦凍くんとは元から気が合うのは知ってたけど、飯田くんも緑谷くんも優しいし聞き上手だから、話しやすい。
プルルルっとスマホの鳴る音がして、自分のを確認するけど違う。どうやら緑谷くんみたいだ。
「ひゃ!う、麗日さっ」
「お茶子か!心配でかけてきたんじゃない?報道にもなってるし。切れる前にロビーで出てきなよ」
「ううううん!!」
ひょっこりひょっこりと慣れない片松葉で病室を出ていった緑谷くん。…大丈夫かな?と心配になったけどまあ大丈夫だろう。そして焦凍くんと2人きりになる。なんか久々だ。
特に話す訳でもなく、なんとなくスマホをチェックしてると響香と百からLINEが個別に来ていることに気がついた。報道見たのかな。後でちゃんと返そう、と考えてるとこに呼ばれる名前。
「心」
「ん?」
「最後なんで俺を庇った」
包帯が巻かれた私の腕をみながら尋ねる焦凍くん。最後、というのは間違いなく昨日の戦闘でのこと。…なんで、と言われても分からなかった。
理由を考えてみても特になくて、強いて言うなら呼びかけたんじゃ間に合わないと思ったからで。結局本能というかなんというか
「…反射的に?名前呼んだだけじゃ間に合わないって思ったんだと思う」
「別にわざわざ飛び込まなくても…」
「見えてるのに何も出来ないのも嫌じゃん」
私の言葉に焦凍くんがため息を着く。ええ…なんでだ、困惑してると「…跡とか後遺症とか残るのか」と呟くように言われた。
もしかして、責任を感じてるのか。だとしたら申し訳ない。
「ここに来る前診察受けたけど、なんにも残らないって。…それに、私がやりたくてやったことだから、ね?」
「…けど」
「私は大丈夫だから!これぐらいヒーローなら怪我して当たり前!」
「でも」
「あーもう!じゃあ次私がピンチの時は焦凍くんが助けてね!それでチャラ!!OK!?」
どれだけ大丈夫だって言っても永遠と「でも」とか「だけど」しか返ってきなさそうで無理やり納得させる。別に謝って欲しい訳じゃないんだ。私の勝手な判断で焦凍くんが罪悪感を感じる必要は一切ない。
私の圧に負けた焦凍くんは渋々だけど「…おう」と返事をしてくれたので良しとする。それが満足して笑うと、焦凍くんもようやく、口角を上げてくれた。よかった。
ぽかぽかと窓から差し込む木漏れ日があったかくて、思わず欠伸がこぼれる。昨日寝れなかったからなあ…
「部屋戻るか?」
「いや、1人部屋寂しいからここにいる…」
「暇だから来たんじゃないのか」
焦凍くんの言葉にハッとする。そうだ私そういう理由で来てた。気が抜けすぎてついポロッと出してしまった…恥ずかしい。慌てて誤魔化す理由を考えるけど思いつかない。
「今の忘れようか」
「どうかな」
「…ちょっと楽しんでるでしょ」
「さあな」
「焦凍くんが意地悪だ…」と若干拗ねた私にやっぱりどこか楽しげな様子で「悪ぃ」と頭を撫でられる。手暖かいずるい…誤魔化されないぞ…嘘許した。イケメンずるい。そんな会話をしているとコンコン、とノック音がして飯田くんが戻ってきた。診察が終わったみたいだ。
「おかえり!どうだった?」
「ああ。どうも、後遺症が残るみたいだ」
詳しく話してくれたそれは、思っていたよりも良くなかった。なんて言えばいいのか分からなくて、焦凍くんも私も視線を下にさげてしまう。そんな私たちに飯田くんは「2人のせいじゃない」と笑った。
…うん、飯田くんがそう言うなら私がこれ以上どうこう言えない。それなら私も切り替えるべきだよね。
「あ、飯田くん。今麗日さんがね…」
「緑谷。飯田、今診察終わったとこなんだが…」
すぐに緑谷くんも帰ってきて、焦凍くんが彼を一旦制す。そして飯田くんが私たちに話してくれたように、緑谷くんにも診断結果をつたえる。
「奴は憎いが、奴の言ったことは事実だった。だから…俺が本当のヒーローになれるまで、この左手は残そうと思う」
飯田くんの言葉に、緑谷くんは自身の右手をしばらく見つめて考え込んだ後傷だらけの右手をぎゅっと力強く握りしめて「僕も…同じだ」と小さく漏らした。そして飯田くんを真っ直ぐ見て、力強く告げる。
「一緒に強く…なろうね」
その様子を見ていた焦凍くんが、何かハッ!と気づいた様子。え、なんだなんだと思っていると「なんか、わりィ…」と言うから飯田くんと緑谷くんも気づいて、なんだなんだ??と3人で目を合わせる。
そんな私たちの様子は一切気づかず、自分の手を見つめながら口を開く。
「俺が関わると、手がダメになるみてぇな…感じに、なってる…呪いか…?」
「ぶっっ」
「あっははは、何を言ってるんだ!」
「翠蒼さん大丈夫!?轟くんも冗談を言ったりするんだね」
突然の珍発言に吹き出す。ダメだ、この天然ボーイたまにこういうとこある。腹筋やばい、呪いって!それもめっちゃ真面目な顔でイケメンが言うもんだから、面白さ倍増だ。
バイブレーションなみに振動してる私に緑谷くんが心配してくれるけど無理。そして更に追い討ち。
「いや冗談じゃねぇ、ハンドクラッシャー的存在に…」
「「「ハンドクラッシャーー!!」」」
とんでもない言葉が爆誕していよいよ腹筋が辛くなる。笑いすぎて涙出てきた。緑谷くんも飯田くんも、焦凍くんがガッツリ関わった相手は手がまあまあな具合でボロボロになってる…あれ、待てよ。この3人の中で1番過ごした時間は長いはずだけどまだわたし、ボロボロになってない。
焦凍くんも気づいて、ハッとして私に深刻な顔で告げる。
「心、俺に関わるな」
「え!いやいや、仲良くしようよ」
「ダメだ。俺が手壊しちまう」
「ぶっっ」
「翠蒼くん、笑うな…!収まりかけてるのに…!」
「翠蒼さんんん…!!ふっ…」
3人揃ってバイブレーションしてるのに焦凍くんは未だに真面目だ。あ、やばい。横隔膜そろそろ吊る。
「し、しぬ…笑い死ぬ…」
「大丈夫か!?ナースコール…!」
「ひぃっ!」
「轟くん、翠蒼さんほんとに笑い死んじゃうよ…」
ナースコールまで本気でされそうになったのでわらいやんだけど、しばらくこのことの思い出し笑いで悩まされたのは別の話だ。
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