学べ!職場体験
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病室から署長さん達が出ていって、ようやく4人揃って息を吐く。そして私にとっては重要なことを思い出す。
「これってさ、学校連絡いくよね」
「う、うん。もう行ってると思うけど…」
「だよねぇ……ああ、殺される」
「殺されはしないと思うぞ!」
事情を知らない飯田くんに突っ込まれるので苦笑いで返すしかないが内心ガクブルだ。焦凍くんはこっそり「大丈夫か」と声をかけてくれたけど首を振る。いやほんと、怖いっす。
なんて話をしてたから呼び寄せたのかな。コンコン、とノックをして緑谷くんが返事をすれば入ってきたのは消太さん、改め相澤先生だ。ビクッと体が固くなるのはもう反射だ。
「ったく…お前らなあ…」
「あ、相澤先生!?」
「まあ色々話はされてんだろうし特に何も言わん。でかい怪我がなくて良かったが、迷惑かけてることには間違いないからな。考えろよ。あとのことは体験先の指示に従え」
「はい…すみません…」
お前らには用はこれで終わりだが…と視線が私に向く。ひっ、と情けない声が出て隣の焦凍くんが若干の哀れみの視線を送って来てるけどそれどころじゃない。
静かにこちらに来た消太さんは絶対零度の視線のまま、私の頭をガシッと無言で掴んだ。そして徐々に力を入れていく。
「いた、ちょ、いたたたたっ」
「俺は職場体験の前にお前になんていった」
「えっと、無茶しない、突っ走らない、ちゃんと指示を聞く……いたたたた!!!」
「だよな、お前も返事したよな」
ギリギリと締められてく頭。けが人相手になんてことを!と思うけど、どうせ「頭は怪我してない」と言われて終わるオチなので黙って締められておく。嘘そろそろ痛い無理。
「心配かけてごめんなさい!」
「ん…お前、自分の立場わかってんのか。ヒーロー殺しと敵連合の繋がり聞いたろ」
「……はい」
「ならいい。あんまり心配かけさすな」
「本当にごめんなさい」
USJの後に聞かされた敵連合のこと、その際に死柄木に言われた「ヒーローの目じゃない」という言葉を思い出す。目を付けられてない可能性はゼロじゃない。他の生徒よりも覚えられている確率は高い。
ギリギリと締め付けがなくなり、その後軽く2回重みがのってようやく離れていく。満足したんだろう。「じゃあ俺は行く」とあっさりとかえって行った。
痛かった…と頭をさすっていると緑谷くんと飯田くんから刺さる視線。分かってます。ちゃんと説明しなきゃだ。
「あ、あの〜翠蒼さん、どういうことか…」
「説明します…」
そして2人に向き合って、焦凍くんに前にしたような話をする。両親のこと、消太さんに引き取ってもらうまで、今日に至るまで。
話終えると2人は深刻そうな顔をしていた。病室の空気も自然と重くなる。まあ、軽い話ではないけど私的には割り切ってるだけに申し訳ない。
「ごめんね〜空気重くしちゃった」
「いや…あのさ!翠蒼さんのご両親ってもしかして、フローシェとストフリーであってる…?」
「すごい!あってるあってる、よく知ってたね!」
さすが緑谷くん。久しぶりに聞いた両親のヒーロー名に嬉しくなる。名前しか知らないらしいが、オールマイトとも親しかったことから覚えていたらしい。
「でも全然情報ないから…」
「そうなの。私も詳しくは知らないんだ、情報規制かかってるらしくてさ」
でもね、と話を切る。
「最期まで立派なヒーローで、私のことをちゃんと愛してくれてたこと。これだけは何があろうと変わらないことはしってる」
笑ってそういえばようやく部屋の空気が軽くなった。すぐ隣にいた焦凍くんに頭をわしゃわしゃと撫でられ声を上げて笑う。くすぐったいなあ。
「そ、そういえば翠蒼さんと轟くん。その、名前…」
「まあ、お互いヒーロー名だしね。緑谷くんと飯田くんも呼ぶ?」
「えええ遠慮します!!」
「僕も翠蒼くん、の方がしっくりくるからな!遠慮させてもらおう!それにしても随分仲良くなったのだな!」
「元から悪くはねぇだろ」
昨日の出来事が嘘みたいに、3人のあいだに穏やかな時間が流れていく。
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