学べ!職場体験
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「何故…3人とも…何故だ…やめてくれよ…」
倒れてる飯田くんが、いつものハキハキした声とは違う。弱々しく振り絞るかのような声で言う。その最中でもヒーロー殺しは容赦なく襲い掛かる。私と焦凍くんは同時に氷壁をはる。視界は遮るけど後ろに動けない人がいる、しょうがない。
「兄さんの名を継いだんだ…僕がやらなきゃ、そいつは僕が…」
「継いだのか、おかしいな…俺が見たことあるインゲニウムはそんな顔じゃなかったけどな。おまえん家も裏じゃいろいろあるんだな」
「焦凍くん!上!!」
氷を張り巡らした死角からヒーロー殺しの後ろに回り込もうとした隙に、ヒーロー殺しは頭上に迫っていた。ダメだ今から行こうにも追いつかない、狙いは焦凍くんじゃなくて、倒れてたプロヒーロー。抜かった……!
あともう少しで焦凍くんのはった氷に触れる、という所でヒーロー殺しごと人影が動いて消える。
「緑谷!」
「なんか普通に動けるようになった!」
緑谷くんだ。なんか見た事ない動きしてるけど、今はそれどころじゃない。緑谷くんの援護をするようにヒーロー殺しと緑谷くんのあいだに水の壁を割り込ませる。ヒーロー殺しはそれごと緑谷くんの足を切ろうと刃を伸ばしていた。
「緑谷くん!手離して!!」
「ただの水…」
手を離したのをみて、いっきに蒸発させる。水を真正面から突破しようとしてたヒーロー殺しはさすがに熱かったのか一旦引いた。
そりゃそうだ、一気に蒸発させるってことはそれだけ一気に温度を上げてるんだから。
「ただの水かと思ったでしょ。残念でした」
「下がれ!緑谷!心!」
焦凍くんの氷結でさらに距離をとる。いったん彼らのところに戻る。焦凍くんの左腕は、どうやらヒーロー殺しのナイフが刺さったらしく血が出てる。
「ごめん、焦凍くん。ちょっと触る」
「悪ぃ。…血を摂り入れて動きを奪うって感じか」
「僕だけ先に解けたってことは、考えられるのは3パターン…」
5人いる状況でも舐めようとしてきたこと、血液型によって効果が異なる説が濃厚。実際プロヒーローはB、飯田くんはA、1番最後にやられたらしい緑谷くんがOならその説はほぼ間違いないだろう。
「わかったとこでどうにもなんないけど…」
「さっさと2人担いで撤退してぇとこだが…氷も炎も避けられるほどの反応速度だ、そんな隙見せらんねぇ」
「プロが来るまで奴の間合いを避けて時間を稼ぐのが最善だと思う」
緑谷くんが状況を判断して作戦を立てる。一応止めたが、それでも表面的なもの。ということで轟くんは後方支援、緑谷くんが主に気を引いて私はそのサポートだ。
「3人で、守るぞ」
「うん」
「3人か……甘くはない」
飛び出した緑谷くんに続いて、私も氷で足場を作りつつ一歩後ろで水や氷結を出しつつヒーロー殺しの動きを少しでも制限させる。瞬間、緑谷くんの足に刃が触れてそれを舐めたのが見えた次には私の目の前。…こいつ、さっきまでと動きが違う。まだ上があるのか。
「翠蒼さん!!!」
「だい、じょうぶ!!」
今私がやられるわけには行かない。ひとまず距離を取るために氷壁を出し下がったところに降ってくるナイフ。ここまで読んでたのか、左腕にもろに刺さる。それを抜こうと手を伸ばされる前に腕ごと凍らせた。血を舐められる方が困る。
ひとまず動けない緑谷くんの周りに氷壁を、とまだ動かせる左腕を振りかぶったところで焦凍くんの方へヒーロー殺しが。彼自身の氷壁で防ぐが簡単に破られる。
「やめて欲しけりゃ立て!!!なりてぇもんちゃんと見ろ!!!」
「焦凍くんっ!」
炎を出すより先に焦凍くんの胸元へ迫る刃。そこに行きたくても間に合わない。叫ぶように呼んだ彼の名前を遮るように、そしてきっと、飯田くんに向けてであろう彼の叫びに答えるようにエンジン音が響く。
そのままそれはヒーロー殺しを押しやる。スピードに押され数歩下がった。
「轟くんも緑谷くんも翠蒼くんも関係ない事で…申し訳ない……」
「またそんなことを…」
真っ直ぐヒーロー殺しを見据えるその目は、やっといつもの委員長だった。
「だからもう、君達にこれ以上血を流させるわけにはいかない」
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