有精卵の出会いと悪意とUSJ
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「…い、おい!!」
「っうぇあ、はい!」
「焦げてる」
「え…ああああ!!!」
手元には焦げた目玉焼きになるはずだったもの。あーごめんなさい卵さん。美味しく料理するはずでしたと心の中で土下座する。流石に現実でやったら病院行けと言われます。
入試から1週間。私はずっとこんな調子だ。いやだってさ!?何回思い返してももう少し上手く立ち回れたんじゃないかなとか考えてしまうんだ。救けたことに後悔は一切してないがそれ以外の立ち回りだ。
消太さんにあんなこと言ってもらったのにな。期待を裏切って申し訳ない。きっと結果をもう知ってる消太さんは一切何も言わないから余計に怖い。
「片付けとくから1回息抜きついでに見てこい」
「へ」
そしてポンコツになった原因の【合否通知】がそれはもうスっと簡単に渡された。反射で受け取って部屋までダッシュ。消太さんの前でなんて怖くて見る気になれない。大きく息を吐く。ベッドに座って恐る恐る震える手で開けると、ホログラムがいきなり投影された。
『わたしが!投影された!』
「オ、オールマイトだ…」
唖然としている間にも話は進む。なんでもこの度雄英高校の教師になることが決まったらしい。父と母の関係で何度かはお会いしたことがあるけどいきなりNo.1ヒーローが目の前に現れるとやっぱり驚くな。
『そして、先のヒーロー科入試だが…筆記は文句なし!合格ラインだ!そして、実技の方は…うむ、敵ポイント35Pだね、うん』
どんな反応だよ、やっぱりダメってことなら早く言ってくれと願った私をみすかすようにしかーーし!と続きが聞こえてくる。これほんとに録画だよね!?
『我々が見ていたのは敵Pのみに有らず!救助活動P!君には40Pプレゼント!!計75P!文句なしの合格だ!おめでとう!翠蒼少女!』
後ろには私が最後にあの子を助けた映像が流れてた。合格、の言葉に視界が一気にぼやける。
『ほら!相澤くん!何か言っておあげ!』
『ちっ…合格おめでとう。お前が掴んだものだ』
『おめでとーーーー!!!!心!!!!!!!』
オールマイトさんが促すと後ろから消太さんとひざしさんが出てきてそれぞれメッセージを言ってくれる。その後すぐに消太さんがうるさいと引きずって出ていってまたオールマイトさん1人に。
それを見計らってか、先程までの大きな声と違って囁くようにこちらに声をかける。
『…大きくなったね。君が走り回る姿はご両親にそっくりだったよ。ああ、でも咄嗟の冷静な判断はお師匠譲りかな?
何はともあれ、雄英でまってるぜ!!!』
ぷつり、とホログラムが切れて閉じるのを待たずに部屋を飛び出した。そしてソファに座ってた消太さんに勢いよく抱きつく。いつもならこんなことしたら容赦なく投げられるんだけど今日は違った。
頭にぽんっと大好きな手が乗って、回した腕にちからが入る。今顔あげれない。絶対泣き顔でブサイクだ。
「言ったろ。応援はしてるが心配はしてないって」
「…あい」
「ここが終わりじゃないぞ、スタートだ。気張れよ」
厳しい事言ってるがこれが消太さんなりの激励であり褒め方。だから大好きで、憧れで、私のヒーロー。この人みたいになるために、私はここから始まる。
「ほら、いい加減離れろ。やること沢山あんだろ」
「へへっ、はーい!ね、消太さん!コスチューム隣で考えていいですか?」
「助言はしねえからな。それでもいいなら」
「はーい!」
だけど今日ぐらい喜びをかみ締めて、ちょっとだけ甘えさせて欲しい。消太さんも今日はそのモードだと信じたい。滅多にないから満喫しなきゃ。
紙を広げてうんうんコスチュームについて唸っていると思い出したように消太さんが声を上げる。
「あ、そういえばマイクからご飯行こうって連絡入ってたぞ」
「ほんと?いつ?」
「今夜」
「今夜!?」
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