有精卵の出会いと悪意とUSJ
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いざ実際の試験会場に運ぶとそれはそれは大きな町。これがあと複数個あるんだから雄英高校やっぱり半端ない。そして少しの緊張をほぐすため、軽くストレッチしてみたり。
『はいスタート!!』
マイクからひざしさんの声が聞こえた。それと同時に駆けだしてまずは一体ぶっ壊す。そしたら周りみんないなくてびっくり。賽は投げられてる、との声にこの時ばかりは消太さんの教えに感謝。時間は有限、1秒たりとも無駄にするなと教えてこられましたからと少しのドヤ顔を内心でしといた。
とはいえみんな一斉に気を取り戻してロボットの元へ駆け出してくる。一瞬の判断がポイントを取るか取られるかの境目。少しでも多く、そして判断をしてロボットをガンガン壊していきたいとこ。
それはこの場にいる全員がきっと思っている。だからそういう時はみんな周りが見れてないもので、個性で壊された建物などのがれきに埋もれている子とか怪我をしている子が目に入ってしまう。
そうなったらほっとけないのが人ってやつの心理だ。
「大丈夫!?3カウントで浮かすから動ける?」
「お、おう…でも、あんた」
「いいから!はい、3、2、1!」
ぐっと瓦礫の下に手を入れて水圧で浮かせる。その間に出れたのを確認して、今度は怪我の確認。ああ、やっぱり血が出てる。
「ちょっとごめん!触るよ!」
「えっ、あ、うお!?」
「止めただけだから痛みは取れないんだ。ごめんね!お互い頑張ろ!」
「ありがとう!」
その言葉にニヤけそうになるのをこらえて走り出す。まだまだ試験は始まったばかり。とはいえ特別長いわけじゃないこの時間を無駄には出来ないと駆け出して、けが人を見つけたら助けて、倒せるロボットは倒して。
そんなこんなで残り5分のアナウンスがあった時、周りの人が急に走り始めた。それも今まで進んでいた方とは真逆だ。もしかしてと思って見上げれば予感は的中。巨大なゼロポイント敵ロボットだ。思ってたよりもでかいし、なにより一撃の威力がすごい。
私としてはまだまだポイントが足りていない気がするからここは逃げるのが得策。みんなに習って逃げようとした。したんだけどその足は簡単に止まってしまう。
「きみ!!動ける!?」
「っ!」
ロボが数十メートル手前に迫っているのに、立ち上がれない子。その子に向かって叫べばフルフルと首を振る。今にも泣きそうだ。とはいえ1人であのロボを止めるには限界がある。
かといって怪我人を背負うほどの余裕は私にも体力的にない。あと1人、誰かいれば。
「おい!なにやってんだ!」
「っ、この子を助けたい!」
「わかった!俺は何をすればいい!?」
いた。でもあと1分のアナウンス。私の自己満足にこの子を巻き込んでいいのか一瞬迷ってしまう。…ロボットもすぐそこまで来てる、迷ってる暇も、時間も今はない。
「私があのロボットを3秒、3秒は完全に固める。でもその後パワー負けしたら色々落ちてきちゃうかも、」
「それなら俺が適任だ!硬化の個性だから多少のもんはぶっ壊せる!行くぞ!」
その子が駆け出すと同時に"2つの個性"を同時に使う。そして瞬く間にロボットは氷に包まれる。まだだ、まだ"止めろ"。限界まで止める。そして男の子が挟まれていた子を背負いこちら側まできた所でようやく終了のアナウンス。
個性の使いすぎで体温がおかしい。思わずその場に座り込む。手伝ってくれた男の子に大丈夫か!?と声をかけられるけどまともに返事すらできない。
せっかく助けたのに、こんな姿見せちゃ情けないなあ。
そんな状態で、試験のことを一気に思い返す。点数は最初に取っただけで思い返してみれば後半まともに取っていた試しもない。きっと平均には乗ってない。
それでも、たった一言。
「あの、ありがとう!」
この一言を聞いただけで、後悔なんて全て飛んでいくんだ。
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