体育祭:Rising
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目が覚めると真っ白い天井。ぼんやりした思考が回りだす。ああ、そうだ、私爆豪くんと試合して、そんで最後キャパオーバーやらかして、気絶したんだったっけ。
「起きたかい?」
「あ、はい」
「全く…近頃の若者は無茶ばっかりする!」
「あはは…すみません」
私の動いた気配を察したのか、リカバリーガールがカーテンをあけて覗いてくる。ゆっくりと起き上がるとホカホカ湯気を立てたマグカップが差し出される。受け取った指先からじんわりと温かさが伝わった。ココアだ。口に広がる甘さが優しい。
「あの、決勝って…」
「あと10分ぐらいで始まるよ。治癒ももう済んでるから気になるなら行ってきな」
「ありがとうございます!」
「あと寒いだろうから、これ着ていきな」
ベッドから降りた私に手渡されたベンチコート。いや、たしかに寒いけどこんなものまで完備されてるの…!?と密かに驚く。雄英すげぇな。ぬくぬくしながら観客席へと向かう。
1年A組は…とキョロキョロしながら探す。あ、あったあった。そこに向かえばみんなが暖かくかつ熱烈に迎えてくれた。
「心〜〜〜!!!!」
「うっわ、三奈!?」
「ちょ〜〜〜〜かっこよかった!!!」
「…負けちゃったのに?」
「うん!」
わざわざ席からたって私の姿を見つけるなり抱きついてきた三奈をなんとか受け止める。やばい、また泣きそう。今日は涙腺ボロボロだ。それを皮切りに透、お茶子も抱きついてきて、ちょっとした団子になった。
ちなみに横でソワソワしてた百も抱きしめたら顔を真っ赤にしてたけどそーーっと手を回してくれたことは本気で可愛かったことをここに記す。あとおっぱい凄く柔らかかった。
「緑谷くん、お隣OK?」
「わ!翠蒼さん!お疲れ様。もちろん」
空いていた緑谷くんのお隣に行かせてもらう。私も包帯なんかは一応したまんまだけど、彼の姿はその比じゃない。聞いてみるとなんと治癒しきれなかったらしく、この姿だとか。そんな状態でもみんなの戦いをみて研究、凄いな緑谷くん。
強くなるため、彼の姿勢は本当に尊敬出来る。きっと他でもない緑谷くんだから轟くんは影響を受けたんだろうなあ。「緑谷くんってやっぱり凄いね」と伝えればめっちゃキョドっていた。そりゃそうだ、いきなり言われたんだから。
でもちょっと反応が面白かったから、ひとしきり笑った後にあることに気づく。
「あれっ、飯田くんは?」
「ああ、飯田くんは早退したよ。……家の事情だって」
「そっかー」
緑谷くんの表情が深刻そうなものに変わる。何かあったんだろうか、でも多分これは無理に詮索することじゃない。気にはなるけど。切り替えて視線をフィールドに向けると、決勝に進んだ2人が入場してきた。途端に会場はこれまでとは段違いの盛り上がり。
「すっごい歓声…さすが決勝…」
「だね…ねえ、翠蒼さんはどっちが勝つと思う?」
不意に緑谷くんに言われ、返事に一瞬詰まる。そして考える。
実力は間違いなく互角、そうなったらあとは気持ちだと思う。轟くんの個性は単純に強いし、それ以外の戦闘能力ももちろん強い。けれど気持ちは爆豪くんの方が圧倒的に強い。何にも捕われることなく、ただひたすらに純粋に勝ちを求める彼の姿勢はさっきの戦いでも嫌ってほど知った。
「…分かんないや。でも勝ちたくなきゃ勝てない」
「…そっか」
質問に対しての答えになっていなかったけれど、緑谷くんには伝わったみたいだ。ひとつ頷いて彼の視線もフィールド向く。私も再び視線をそちらへともどした。
2人の間を、静かな風と熱い歓声が包む。
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