体育祭:Rising
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「…できれば襲われたくなかったぐらいなのに」
「……そうだな」
放課後、約束通り轟くんと帰ろうとすると人が集まっていた。
調子づいてるとか、そんなん知らない。爆豪くんの言いっぷりのおかげで少し落ち着いた隙をぬって外に2人で出てきたけど、何だかモヤモヤは止まらない。
だって、あれがなかったら少なくとも消太さんは商売道具を傷つけられることはなかった。そんなことも知らない人達に外野から言われる筋合いはない。消太さんだけじゃない、みんな何かしら怖い思いをして、傷つけられたんだ。
「翠蒼?大丈夫か?」
「ごめん。考え込んじゃってた。どうしよう、そこの公園で話そうか」
「ああ」
轟くんに名前を呼ばれてハッとする。いけない、たまに考え込んでしまうのは私の悪い癖だ。彼に促して先に座っててもらい自販で温かいお茶とココアを買う。好みがわからないから選んでもらおう。
「はい、どっちがいい?」
「わりぃ。いくらだ」
「お金入りません、この間の迷惑料だと思って。てことでどっち?」
「……お茶」
押し付けるように渡してようやく受けとってもらえた。これから私の都合につきあわすのだ、これぐらいしないと申し訳ない。ただでさえ散々迷惑かけているというのに。
彼の隣に座ってココアを飲むと温かくて、その甘さにホッとした。うん、やっぱりココアは美味しいなあ。しかしそろそろ本題に入らなければ。
「えーっと、改めて。一昨日はごめんね、迷惑かけました」
「いや…大丈夫だ」
「おかげで助けられました。ありがとう。…そのお礼ってわけじゃないんだけど、轟くんが気になったことは全部答えるよ」
「じゃあ…個性は水と、もうひとつなんだ?氷結か?よく氷使ってるのはなんでだ?」
「あ、そこ?」
意外なとこ過ぎて思わず突っ込む。いやまあ轟くんにはちゃんと個性の話したことなかったけども!彼やっぱり天然入ってるな。イケメンの天然とはなんてモテ要素だろう。
当の本人はきょとんとしてるからガチの天然さんだ。ちょっと可愛いとか思ってしまった。
「気になった。…あと、相澤先生との関係は、聞いてもいいのか?」
「あはは、遠慮しないで。…こうなった以上は話すつもりでいたしね、大丈夫。だから少しだけ話に付き合って欲しいな」
彼が頷いたのをみて話し始める。さて、どこから話そうか。そうだな、まずは個性の話からかな。
*
私の個性は、轟くんが言ったように2つあるの。1つは"水"、もう1つは"三態操作"。水の方はまあ、こんな風に水が出せるんだ。自分で出した水は結構自由にコントロールできるの。もう1つの方も、名前の通り。物質を液体、固体、気体に変化させられる。
厳密に言うと物体の分子運動を変化させられるからできるって言った方がいいかな。だから手から出した水で氷が作れるの。こんな感じでね。てことで個性は氷結じゃないんだ。
……っと、本題に入ろうかな。私と相澤先生…消太さんの関係だね。まあぶっちゃけ言うと私の育ての親です。
私の両親、ヒーローだったんだけどね。私が4歳の頃に亡くなったんだ。
詳しくは知らないけど、殉職したんだって。その当時のことは情報規制がかかってて、調べても分からないからやめた。
でも、最後まで立派なヒーローだったんだって。それだけは教えてもらったよ。
けどそんな状態で個性発現したての私が上手くコントロール出来るはずもなく、暴走する私を親戚中でたらいまわし。個性がこんなんだから水浸しにするわ、氷漬けにするわ大惨事だもん、みんな嫌がるよ。
でもね、ある日現れたのが消太さんだったの。両親がたまにうちに連れて来てたから顔は知ってたけどさ、まさか引き取られるなんて思わなかった。
両親が、生前何かあったら私のことをお願いしてたんだって。遺言にも書いてあったらしいよ。かといって赤の他人に預けるわけにもいかないから最初は親戚のとこだったみたい。
でも私の状態と、消太さんの個性のことからちょうどいいよねって感じで預けられたの。
そこからはもう…スパルタ。個性コントロールする特訓毎日したよ。じゃないと生きていけないしね。そのおかげで大分出来るようになって個性で遊べるぐらいの余裕もでてきたの。
でもね、そんなある日たまたま消太さんが居ない時に暴走させちゃって。過信してたのかなあ、自分の出した水で溺れかけたの。
あはは、お風呂だったからね。もう大パニック。挙句の果てに慌ててきた消太さん怪我させちゃってね。
大丈夫、絶対適わないって思ってた人をさ、傷つけちゃったから。しばらく個性なんて使えなかったよ。
最近は暴走することも無かったんだけど、一昨日のは消太さんがあの状態になって多分メンタル的にボロボロだったんだと思う。その結果のあれは、まあ、笑えないよなあ。
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