有精卵の出会いと悪意とUSJ
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「13号!避難開始!学校に連絡試せ!」
私たち生徒の前に達ながら矢継ぎ早に指示を飛ばす消太さん。センサー対策の電気系統の個性を持った敵もいるかもしれないからと上鳴くんにも試せという。この場で戦えるプロヒーローは消太さん1人だけ、私がすることは見ていることしか、少しでも早く避難しかできない。
でも、本当にいいの?今この場で最善はなにか頭はわかっていても本能が拒否する。
「?おい、翠蒼、早く、」
「させませんよ」
私の近くにいた轟くんが、様子が変だと思ったのか声を掛けたその瞬間、目前に迫る黒いモヤ。それは敵連合なんて名乗りを上げた。オールマイトを、平和の象徴に息絶えて貰うことが目的?どういう事だと考えてるうちにそれを飛び出した爆豪くんと切島くんが攻撃し一旦下がる。待って、ダメ、とてつもない嫌な予感が止まらない。そう思った時には遅かった。
13号先生の呼び掛けも虚しく今度こそ散り散りに全員が分断された。
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着地した先は、確か土砂災害ゾーン……だったはずなもの。氷結で覆われてあとも形もない。これはと思い氷の先にいけば一足先に彼がいた。その彼の背後から迫り来る敵に飛び蹴りをかましてから凍らせる。明らかに炎熱系なので申し訳ないが溶かせない氷で氷漬けだ。
「轟くんもここだったんだね」
「ああ…今来たのか?」
「うん。多分みんなバラバラでタイムラグもある」
正直ほぼ轟くんがやってしまって、こちらは大丈夫感がある。そしてその実力から私たち生徒にあてがわれてるのは三下、力をもてあましたヤンキー程度にしか見えない。
だとしたら私たちが今やること、やるべきことは1つ。広場じゃ消太さんが戦ってる。大丈夫、消太さんは負けない。誰よりも私がそんなこと知ってる。
だから私は私のやるべきことを。
「このままじゃあんたらじわじわと身体が壊死していくわけだが…俺もヒーロー志望、そんな酷ぇ事はなるべく避けたい。あのオールマイトを殺れるっつう根拠…策はなんだ?」
「……悪いけどここの氷は溶けないよ。さっさと吐いた方が後遺症、少なくて済むと思うよ?おにーさんたち」
そして聞きだした情報は、あの広場が本命ってこと。あそこには消太さん1人だけ。
「轟くん、私先行く!ここは頼んだ」
「は、お前、1人で」
後ろから轟くんが何か言ってるけど気にしてられない。本命が広場なら消太さんがピンチだ。大丈夫だとは思ったけどそれがいるとなるなら話は違う。
でもそこは、全速力でかけつければ、思ってたよりも100倍絶望的な光景だった。それが目に入った途端、考えるよりも先に体が動いていた。
「…消太さんの上からどいて下さい」
馬乗りになってたデカブツに水をぶつけてどかせる。ついでに濡らしたところから凍らせた。これでしばらく動けないはず。
急いで彼の元にいって名前を呼んでみても掠れた声しか帰ってこない。こんなことして普段なら真っ先に怒る彼が、こんな声しか出さない。その事実が余計に彼の状態を理解させる。せめて今は血を止めて、少しでも時間を稼ぐ。きっと何もしないよりマシだ。
大丈夫、消太さんは生きてる。
「おいおい、単身で突っ込んでくるってバカか」
「あんたが主犯?」
「話聞けよ」
細身の身体中に手のみをつけた男がゆらゆらとこちらに来る。正体も個性も分からない彼と距離を取ろうと氷壁を作ったが一瞬で崩された。あの手に触れられたらダメだ、きっと崩される、氷みたいに。
「ヒーローの目じゃねえぞ、そんなにイレイザーが大事か?」
「…うるさい」
「つっても策なしで飛び込んできたのか。じゃあ大好きな人と一緒にさ、死ねよ」
「うるさい!!」
氷で創った剣を振り回すが、逆に距離を詰められ腕を掴まれる。その瞬間皮が崩れかける手首。すぐに手を凍らせて離させるけど1度崩れたところは止まらない。痛いなんてもんじゃない、でも止まるわけにもいかない。
すると突然吹っ飛ばされた。あのデカブツに。確かに凍らせたはずなのになんでなんて考えさせてくれない。防ぐのに精一杯だ。攻撃しても効いてない、個性確かショック吸収だとかなんだとか言ってる。どうすればいい、考えろ、考えを止めるな、私。
「おい、黒霧。めんどいからあいつ飛ばせ」
「分かりました」
「なっ!」
最初と同じようにまた黒い霧に包まれる。
せめて消太さんを連れていければ。だがのばした手は届かなかった。
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