教授
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「名無し、それをこちらへ。」
「はい、教授。」
また前の生活が戻ってきた。
私はもう、自分の憑き物を制御できるようになって耳や尻尾が勝手に生えてくることも無くなった。
こうやって、教授の横で好きなだけ横顔を見つめていられるのはとっても幸せだ。
「…我輩の顔に何か?」
「いえ、何でもありません。
…そう言えば、次の防衛術の教授をご存知ですか?」
ジロリと教授が私を睨む。
何かまずいことを言っただろうか?
悲しいことに(?)突然ロックハート教授は体調不良を理由に退職してしまい、明日の新学期から新しい教授が来るらしい。
「優しい教授だといいなぁ…」
書類整理を手伝いながら私は新しい教授について口にする。
スネイプ教授は急に機嫌を損ねたようで、黙りこくって書類を整理していた。
「闇の魔術に関する防衛術担当のリーマス・ルーピンです。どうぞよろしく。」
そう言って、新しく赴任してきた教授は優しい笑顔を私に向けた。
スネイプ教授より背が高くて、笑顔がものすごーく優しい。
普段スネイプ教授の顔ばかり見ているからか、菩薩のように感じてしまう。
「マホウトコロからここに来たと聞いたよ。
とっても気になるな。今度じっくり話を聞かせて欲しい。」
そう言って私の手をギュっと握るルーピン教授から甘いチョコレートの香りがする。
香りもイメージにぴったり…。
話し方も優しくて、一緒にいるとほんわかした気分になる。
「こちらこそ、よろしくお願いします。」
私もルーピン教授に笑顔を返した。
その時、ルーピン教授の背後から鋭い視線を感じてギョッとする。
視線の先にスネイプ教授が座っていて、ルーピン教授の背中を睨みつけている。
恐ろしい視線に私が固まっていると、ルーピン教授が振り返った。
ルーピン教授はスネイプ教授をチラッと見ただけでこちらに向き直ると、私にまた優しい笑顔を向けた。
「セブルスは相変わらずだな…。」
「セブルス??」
突然の名前呼びに私がびっくりしていると、僕たちは同級生なんだよと教えてくれた。
知り合いだなんて一言も言ってくれなかった!
チラッとスネイプ教授を見ると、今度は私を睨んでいる。
『同級生=仲良し』ではなさそうだ…。
触らぬ神に祟りなし。
この学校の薬学教授と防衛術教授の相性はいつも最悪みたい。
ダンブルドア校長先生は面白がって人選しているんじゃないだろうか…。
ルーピンが昼食の席に着くと、すこし離れた場所にマホウトコロから来たという美しい助手先生を見つけた。
彼女の横には意外にもセブルスが座っている。
名無しは顔の大きさほどもあるターキーサンドにかぶりついている。
セブルスは紅茶を飲みながら、時々ちらりと彼女を見る。
教授も食べてくださいとでも言っているのだろうか。
セブルスの皿にあれこれ入れようとする彼女を迷惑そうにあしらいつつも、大人しく席についている。
なんだか意外すぎてルーピンは二人を観察し続けた。
名無しは頬にターキーサンドのソースをつけてセブルスの方を見る。
セブルスはジッとそれを見て、側にあったナフキンを名無しの顔面めがけて投げつけた。
名無しが一瞬静止した後、落ちたナフキンを掴んでソースを拭き取り、ジトッとした目でセブルスを睨む。
素知らぬ顔で紅茶を飲むと、セブルスは日刊予言者新聞に目を落とした。
名無しがセブルスにくっつくようにして記事を覗き込もうとした瞬間、素早く新聞を畳みセブルスは大広間から出て行ってしまった。
セブルスの女性に対する失礼な態度にルーピンは唖然とした。
しかし名無しを見ると対して気にもとめてないのか、上機嫌で食事をしている。
俄然興味をそそられて、ルーピンは名無しの真横に移動した。
「やぁ、横…いいかな?」
口いっぱいにターキーサンドを頬張っていると、ルーピン教授がやって来て優しい笑顔を向ける。
私はすぐに言葉を発せず、口を押さえて頷く。
恥ずかしい…頬張りすぎた…。
慌ててアイスティーを飲んで、ナフキンで口を拭う。
「お疲れさまです。」
私は改めてルーピン教授に挨拶をした。
「今…セブルスと一緒にいなかったかい?」
「あ、はい。
スネイプ教授はよく食事を抜くので強引にお誘いしてます。」
ルーピン教授は私の顔をまじまじ見つめた。
「セブルスはいつもあんな感じなのかい…?」
「…というと?」
ルーピン教授は何が言いたいんだろう。
「さっき、君の顔面に…その…」
「ああ!ナフキン投げてきましたよね。」
眉間に皺を寄せながら私を睨んで、急にナフキンを投げつけてきた教授の顔を思い出したら笑いがこみ上げて来て、思わず吹き出してしまった。
「君は随分変わってるね!」
ルーピン教授もつられて笑い出した。
少年のような笑顔で笑うルーピン教授は可愛らしい。
「名無し、もっと君と話がしたいな。そうだ、夕食後部屋の片づけを手伝ってくれないかな?助手として。」
「もちろん構いません。お手伝いしに伺います。」
私とルーピン教授はその後もたわいない話をしながら楽しいランチタイムを過ごした。